『わたしの居場所、このまちの。:制度の外側と内側から見る第三の場所』(水曜社, 2021年)のご案内

フィリピンから居場所ハウスへの訪問者①

2015年3月14日(土)・15日(日)にフィリピンのオルモック市のメンバーが「居場所ハウス」にやって来られました。オルモック市のバゴング・ブハイ(Barangay Bagong Buhay)は2013年台風30号(台風ヨランダ)の被害を受けた地域。ワシントンDCの非営利団体「Ibasho」の働きかけなどもあり、現在、バゴング・ブハイではIbashoプロジェクトが進められています。バゴング・ブハイでプロジェクトを始めるにあたり、大船渡市の「居場所ハウス」のメンバーと意見交換するため、2015年1月に「居場所ハウス」のメンバー2人がバゴング・ブハイを訪問しました。
今回の訪問は、仙台で開催される第三回国連防災世界会議にあわせて行われたもので、バゴング・ブハイから60代の女性2人と、Ibashoプロジェクトのコーディネーターの男性、あわせて3人が来訪しました。なお、この日は国際NGO「ヘルプエイジ・インターナショナル(HelpAge International)」のスタッフらも一緒にやって来られました。「ヘルプエイジ・インターナショナル」は高齢者の暮らしの質を向上させるために世界各地で活動する団体で、フィリピンでは台風直後の支援物資の配布、地域に根ざした支援活動など様々なプロジェクトを行っています。2015年1月に「居場所ハウス」のメンバーが訪問した時には、訪問の受け入れを行ってくださいました。

2015年3月14日(土)の11時半頃、バゴング・ブハイのメンバーが到着。テーブルに座ってお茶を飲みながら自己紹介。バゴング・ブハイからは手織りの大きなタペストリー。この日の訪問にあわせて作ってくださったもので、バゴング・ブハイの高齢者から大船渡の「居場所ハウス」のみなさまへと書かれています。バナナとアバカと呼ばれる植物で作られたものだとのこと。このタペストリーは今も「居場所ハウス」に飾っています。
巻き寿司作りを体験した後は昼食。昼食はスタッフが前日から準備していた磯花寿司、郷土料理のひっつみ汁など。個人的に漬物を差し入れしてくださった方もいました。

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午後からはデジタル公民館まっさきが主催するキッズデー。海外の方も来るので実施日を変更しようか? という意見も出ていましたが、バゴング・ブハイのメンバーには、子どもが過ごしている様子も見ていただきたいという考えもあり、キッズデーも同じ日に行うこととしました。
今月のキッズデーはお彼岸ということで、ぼた餅作りを行いました。初めに地域の高齢の方に、お彼岸の行事について話を聞かせていただきました。昔はぼた餅をお供えするため、近所の家に持って行ったこと、また春の彼岸は牡丹の時期だからぼた餅、秋の彼岸は萩の時期だからお萩と呼ぶことなどを聞かせてくださいました。「お萩の歌」を歌った後、いよいよぼた餅作り。

サランラップの上にあんを広げ、その上に丸めたご飯をのせ、サランラップの上からあんを全体に広げていきます。その様子を見て、参加した90代の女性からは、最初にご飯を丸めて、その上にあんをのせて広げていったという意見。今回は作りやすく、汚れないようにサランラップを使いましたが、もちろん、昔はサランラップなどありません。小さなことですが、季節の行事もその時代に応じて少しずつ変化していくものです。
ぼた餅作りには子どもだけに体験してもらう予定でしたが、途中からバゴング・ブハイのメンバーやHelpAgeの女性スタッフらも体験し、あんときなこ、それぞれ2つずつぼた餅を作りました。最後に、アメリカから来られていた男性が「はらぺこあおむし」の絵本を英語で朗読してくださいました。今回のキッズデーに参加した子どもは女の子3人でしたが、地域の高齢の方が参加したり、海外の方が参加したりと、年齢も国境も越えたキッズデーとなりました。

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18:00頃からバゴング・ブハイのメンバー3人と、「居場所ハウス」のメンバーら、あわせて20人ほどで夕食。夕食の時、バゴング・ブハイの方が写真でバゴング・ブハイやオルモック市の様子などを紹介してくださいました。

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海外からのお客さんを迎える日ということで、普段の「居場所ハウス」を見ていただくことはできませんでしたが、「居場所ハウス」はこういうメンバーで運営しているのだということは知っていただけたと思います。「居場所ハウス」のメンバーにとっても、顔の見える人との関係を築くことができました。国際交流とは、自分には関係のない遠い世界の出来事ではなく、「居場所ハウス」に来た○○さんたちが住んでる国というように海外を身近に感じるところから、国際交流は始まるのだと思います。