大船渡市末崎の人口推移

必要があり大船渡市末崎町の人口を調べる機会がありましたので、ここでも調べた結果をご紹介させていただきます。

大船渡市住民基本台帳によると、2016年9月末の末崎町の人口は4,287人。世帯数は1,514世帯なので、1世帯あたりの人数は2.83人となっています。末崎町の面積は28.88㎢であることから、人口密度は148.4人/㎢。
大船渡市住民基本台帳人口から近年の末崎町の人口推移をみると、この30年間、一貫して人口は減少し続けてきたことがわかります。また、2011年の東日本大震災を境として人口ががくんと減少していることもわかります。2010年9月末の人口が4,951人であるのに対して、2011年9月末の人口は4,541人と約400人の減少。
ただし、世帯数をみれば東日本大震災まで、世帯数はこの30年間微増し続けてきたこともわかります。

もう少し時間のスパンを長くとって末崎町の人口推移をみれば、末崎町の人口が最大だったのは1980年代で、当時、人口は6,000人を超えていたことがわかります。
2016年9月末の4,287人という人口は1940年代、つまり、第二次世界大戦の戦中・終戦直後と同じくらい。今の70代の方が生まれた時代の人口と同じくらいです。ただし、当時は子どもが多かったのに対して、現在は子どもの数が減少しているというのが大きな違い。現在は子どもが少なく、統廃合により近い将来、末崎中学校は閉校になるという噂もあります。

近年の人口が減っているのは末崎町だけでなく、大船渡市全体に言えることです。大船渡市の人口もこの20年間、一貫して減少しており、東日本大震災を境としてがくんと人口が減少しているのも末崎町と同じ。
大船渡市の2010年9月末の人口は40,896人であるのに対して、2011年9月末の人口は39,461人と約1,400人の減少。岩手県総務部総合防災室の発表によれば、東日本大震災による大船渡市の死者・行方不明者(関連死を含む)の合計は498人。死者・行方不明者をかなり超える人が、大船渡市から流出していることがわかります。

このように人口が減少している大船渡市ですが、市内の町ごとの人口を見れば、東日本大震災後、人口が増加している町があります。それが、猪川町、立根町。この背景には大規模な仮設住宅が建設されたという理由もありますが、東日本大震災をきっかけとして大船渡市内でも周辺から中心部へと人が移動していると言うことができます。
仮設住宅から高台への移転によって各町の人口は今後変動する可能性はありますが、少なくとも末崎町に関しては、高台移転はほぼ完了しているため高台移転による人口増加はないと思われます。20年前の1997年、末崎町の人口は大船渡町、赤崎町に次ぐ市内内3番目でしたが、2016年には大船渡町、猪川町、立根町、赤崎町に次ぐ市内5番目となっています。

暗い話になってしまいますが、抜本的な手を打たなければ、末崎町の人口はこれから減少し続けるというのが現実。もし人口を増やすまではいかずとも減少の速度を押しとどめるためには、末崎町の魅力をアピールして、人を呼び込むことを考える必要があります。
その時、岩手県内や東北地方だけでなく、首都圏からいかに人を呼び込めるかがポイントとなります。「大船渡は岩手の湘南」という言い方があります。これは、冬でも積雪がほとんどないという大船渡の暮らしやすさを表現したものですが、「岩手の湘南」という言い方は、あくまでも岩手県内、あるいは、東北地方を対象にしたもの。いくら積雪がないとは言え、本場の湘南にはかないません。ここでヒントになるのが、「大船渡は海のある軽井沢」という表現。これは首都圏から大船渡市に派遣職員に来られている方が使っておられる表現ですが、大船渡は春から秋までは軽井沢とほとんど同じ気候だとのこと。しかも、軽井沢にはない豊かな海がある。冬の寒さではなく、夏の涼しさ、プラス、豊かな海というのは首都圏の人々にも届くメッセージではないかと思います。夏でもエアコンなしで過ごせる大船渡は、首都圏から見れば天国のような場所。この意味では、「岩手の湘南」から「海のある軽井沢」へというように、首都圏の人々に届くメッセージをいかに発信するかが重要になると思います。

ただし、さらに暗い話かもしれませんが、日本全国の人口が減少していく時代。首都圏から人を呼び込むとしても、他の地域との奪い合いになるのは必定。そういう中で地方の豊かな暮らしを継承するためには、「住まい」に関する考え方を変える必要があるのかもしれません。
これまで、別荘というのはお金に余裕のある人が、余暇として過ごすものでした。しかし、人口が減少する家余りの時代には、積極的にせよ消極的にせよ、複数の家があるという暮らし方が広がるかもしれません。現状では、選挙権があるのは住民票をおいている地域だけなので、いくら複数の家を持っていても、政治に関与できるのは住民票を置いている1つの地域だけ。しかし、夢物語かもしれませんが、○○地域には選挙権の1/2を、□□地域には選挙権の1/2を行使するというように、複数の地域に対して政治に関与できる仕組みを考えるのも決して無駄ではないような気もします。