男山団地の「だんだんテラス」:関西大学・八幡市・URによるプロジェクト

2018年6月28日(木)、ディスカバー千里(千里ニュータウン研究・情報センター)のメンバーと京都府八幡市の男山団地を訪問し、「だんだんテラス」などを見学させていただきました。
男山団地は、千里ニュータウンの10年後、1972年から入居が始まった大規模団地で、見学会は千里ニュータウンの今後のあり方について学ぶために企画したものです。


「だんだんテラス」は、関西大学・八幡市・URによる「男山地域活性化プロジェクト」の一貫として、2013年11月にオープン。
『だんだん通信』創刊号(2014年5月)には、「だんだんテラス」がオープンした経緯が次のように紹介されています。

だんだんテラス誕生物語
だんだんテラスは、男山団地中央センター商店街の空き店舗を利用し「住民が気軽に集まれるコミュニティ」拠点として開設されました。・・・・・・
※1関西大学団地再編プロジェクトは、2012年から男山団地で実践的な活動に取り組んできました。住民の方々からは「既存の集会所より、もっと気軽に集まれる場所が欲しい」という声が多く寄せられました。
2013年10月「男山地域まちづくり連携協定」を京都府の立会いのもと、八幡市、UR、関西大学で締結し、最初の取り組みとして、だんだんテラスの開設が実現しました。
「だんだん」とは「団地について談話する」の略と「ゆっくり=段々」を意味しています。段々と地域にとってかけがえのない場所となるようにと想いが込められています。
※1関西大学団地再編プロジェクトは、平成23年度〔2011年度〕より5年間、文部科学省から助成を受け実施されています。集合住宅団地の再編(再生・更新)の手法に関する技術の開発を研究しています。
*『だんだん通信』創刊号(2014年5月)より

住民らを交えたワークショップで出された、団地の中には気軽に集まれる場所がないという意見を受けて、「だんだんテラス」はオープン。中央センターのバス停近くで、年中無休で10〜18時まで運営されており、運営時間中は、コーディネーター、関西大学の学生、住民のいずれかが常駐しています。

毎朝10時から前の広場でラジオ体操。月3回(8のつく日)は朝市が開かれており、地元の農家が育てた野菜など約70品目が並びます。毎朝のラジオ体操、朝市に合わせて多くの人が集まって来るとのこと。健康麻雀、俳句、サッカーのワールドカップを一緒に観戦するなど多様な集まりも開かれており、多様な集まりに対応するしつらえとして、組み立て式のテーブルが使われています。
中央センターには既にカフェがあるため、「だんだんテラス」ではカフェは行なっていないとのこと。

2015年3月からは「だんだんテラス」主催で「男山やってみよう会議」が開催。住民、関西大学の学生、八幡市・URの職員らが参加しており、ここから子ども食堂、ガーデニングといった新たな活動の生まれたという話も伺いました。

2018年2月には、「だんだんテラス」の隣の空き店舗に「だんだんラボ」がオープン。

男山団地C地区(UR男山C団地)の全750戸はDIYできる地区「ココロミタウン−樟葉・男山−」として指定されています。団地の中にはDIYの作業をしたり、DIYについて情報交換したりできる場所がないということで、ハンドメイドからDIYまで物作りを共有できる工房として開かれた場所です。工具が並び、見学した日には、まな板を作りたいという人が来ていたとのことです。

「だんだんテラス」は中央センターの空き店舗が活用されています。当初、中央センター店舗の大家であるURに賃貸料を支払っていましたが、現在は店舗としての用途が廃止され、URの施設という位置づけとされています。

運営については、上に書いた通りコーディネーター、関西大学の住民の協力がなされていますが、いずれは住民による自立的な運営が目指されているとのことです。
ただし、関西大学は一方的に住民を支援するのではなく、男山団地を調査や、設計などの実践のフィールドとするなど、関西大学にとっても得るところが多いという話でした。


「だんだんテラス」を見学させていただき、特に次の3つの点が印象に残っています。

  1. 既存の自治会の枠組みにとらわれない新たな活動を生み出す
    「だんだんテラス」は、地域で何かやりたいことのある人を応援する場所、地域で何かを始めるための最初の受け皿として認知されている。既存の自治会によるサークル活動の枠組みでは行えない/行われていない活動をしたい人、男山団地に新たに引っ越して来た人が集まり、自治会とは異なるタイプの活動が生まれている。ただしこのことは「だんだんテラス」と既存の自治会とが無関係であることを意味するのではなく、夏祭りなど「だんだんテラス」と自治会とが協力している部分もある。
    従来、URや行政が相手にしてきた住民は自治会のことだったが、「だんだんテラス」が生まれたことで、URや行政と住民との別の形の関わりが生まれつつある。
  2. 地域にとっての外部の存在の関わり
    既存の自治会とは異なるタイプの活動を生み出すきっかけ作りという点で、地域にとっては外部の存在であり、それゆえ地域にしがらみがない大学が関わることは意味がある。
    また、高齢化が進む地域では、大学生という若い世代との関わる機会があること自体にも意味がある
  3. 物作りという具体的な作業ができる拠点
    「だんだんテラス」の隣に生まれた「だんだんラボ」は、DIYや物作りという具体的な作業ができる場所であり、具体的な作業を通して情報交換したり、やり方を教えてもらったりというように、人々の新たな関わりも生まれている。

見学に対応してくださったコーディネーターの男性は、「だんだんテラス」を開く前、参考として千里ニュータウン新千里東町の「ひがしまち街角広場」の見学に来られたとのことです。
上で紹介した3つの点、既存の自治会の枠組みにとらわれない新たな活動を生み出す、地域にとっての外部の存在の関わり、物作りという具体的な作業ができる拠点については、「ひがしまち街角広場」、あるいは現在、移転・建替の計画が進む新千里東町の近隣センターにとっても必要だと思いました。


*参考