『わたしの居場所、このまちの。:制度の外側と内側から見る第三の場所』(水曜社, 2021年)のご案内

姉妹都市の可能性:千里ニュータウンとグリーンベルト

ニューディール政策によって作られたアメリカの計画住宅地、グリーンベルトにお住まいの方から、千里ニュータウンとグリーンベルトが姉妹都市になるのはどうだろう、という提案がありました。

来年(2012年)、グリーンベルトは1937年のまちびらきから75周年、千里ニュータウンは1962年のまちびらきから50周年を迎えます。いずれの街もエベネザー・ハワードのガーデンシティ(田園都市)の思想を受け継いでいる。グリーンベルトと千里ニュータウン、姉妹都市になるというのはいいアイディアだと思うと。

千里が、先輩であるグリーンベルトから学ぶことは多いと思いますし、姉妹都市として継続的に意見交換をしていくというのは魅力的なことだと思います(千里はグリーンベルトに対して何を伝えることができるかは考えていく必要がありますが・・・)。


このような記事を書いたところ、「千里ニュータウンまちびらき50年企画委員会」に関わられている何人かの方からコメントをいただきました。

「個人的な意見ですが、姉妹都市になること自体が目的ではないような気がしますので、情報交換や人の行き来を継続的に行なうことはできないだろうかと思います(そのために姉妹都市という手が使えるなら、使えばいいのかなと・・・)。」

これまでに、グリーンベルトだけでなく、いくつかの海外のニュータウンを訪れる機会がありましたが、残念ながら千里ニュータウンのことは知られていません。こちら側はグリーンベルトのことを本・ウェブサイトを通して色々と知ることができる反面、こちら側がグリーンベルトの方に対して提供できる情報(本・ウェブサイトなど)がないことも原因の1つだと考えています。

海外のニュータウンを訪問する際には、お土産として「千里グッズの会」で作った絵葉書を持って行くようにしていますが、もう少しまとまった資料があればいいのにと思います。
千里ニュータウンが生まれた経緯、どのような考え方によって計画されたのか(ハワードのガーデンシティや海外のニュータウンとはどのような関係にあるのか)、人々はどのように暮らしてきたのかなど。このような情報を記載した本、パンフレット、あるいは、ウェブサイトを作っていく必要がありそうです。


写真はグリーンベルトの第一期として、つまり、今から70年以上前に建てられた住宅です。

木々は大きく成長していますが、住宅は建替えられることなく(増築されている住戸はある)、当時のまま住み続けられています。
低層の連続住宅で、大きな住戸とは言えませんが、建替が考えられることはなく、これからも住み続けるため、現在、断熱性能を高める等のプロジェクトが行なわれています。そういう街の人が千里ニュータウンを見れば、「えっ、たった50年なのに、もう建て替えたの?」と驚かれるかもしれません。

建替えには良い面と悪い面がありますので一概に語ることはできませんが、「千里ニュータウンではこういう考えに基づいて建替えを進めている」と説明する情報も必要だと思います。

(更新:2020年3月9日)