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グリーンベルト:ニューディール政策によって生まれたアメリカの郊外住宅地

アメリカ、メリーランド州にあるグリーンベルトは、ルーズベルト大統領のニューディール政策によって開発された郊外住宅地の1つ。ワシントン DCの郊外に開発され、まちびらきは1937年(千里ニュータウンより25年先輩です)。
グリーンベルトにはミュージアムがあり、街の成り立ちや、暮らしの歴史を伝えています。2012年はグリーンベルトのまち開き75周年ということで、既に準備が進められているようです。

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グリーンベルトで特徴的なのが協同組合(Coop)。
グリーンベルト市の中心部の1,600戸の住宅・住宅地は、グリーンベルト・ホームズ(GHI=Greenbelt Homes Inc.)という協同組合によって維持管理されています。住宅・住宅地を協同組合で維持管理というと想像しにくいですが、協同組合方式で住宅地を維持管理しているのはグリーンベルトだけに限りません。「Condo or Coop?」という表現がありますが(CondoというのはCondominium、つまり分譲の住宅のこと。CoopというのはCooperativeで協同組合方式の住宅)、これは分譲の住宅に住むか、協同組合の住宅に住むかが選択肢になることがあるという状況の表れだと思います。

グリーンベルトでは、住宅・住宅地の維持管理だけではなく、地域の様々な活動・場所が協同組合方式によって運営されています。現在でも地域新聞保育園、スーパーマーケット、信用金庫、カフェ(新千里東町の「ひがしまち街角広場」とそっくりなカフェ)が活動しています。「自分たちが必要とするものは、自分たちが出資して実現する」という精神が深く根付いたとても興味深い街です。

写真はグリーンベルト・ホームズが維持・管理する住宅。増築はされていますが、住宅は入居当初から建て替えられていません。千里ニュータウンでは最近、どんどん建て替えが進んでいますが、まち開きから70年以上経ったグリーンベルトでは住宅の建替えは検討されていません。
まちびらきから約70年が経過し、木々も大きく育っています。落葉の清掃も大変だし、庭が日陰になってガーデニングもできないし・・・ そんな話も聞きましたが、それでは木々を伐採しようという話はなく、グリーンベルトでは木々が大切にされています。

(更新:2015年6月1日)