『わたしの居場所、このまちの。:制度の外側と内側から見る第三の場所』(水曜社, 2021年)のご案内

アーカイブズについて

松岡資明氏の『アーカイブズが社会を変える:公文書管理法と情報革命』(平凡社新書, 2011年)を読みました。この本ではアーカイブズが次のように説明され、アーカイブズが抱えている課題と、その可能性について書かれています。

「アーカイブズとは、公文書を含めた多種多様な分野の記録資料、さらにそれらを収納する施設を指す。文書にとどまらず、写真や動画、音声、電子メール、ツイッターと広範囲なため、とらえにくい。が、過去を検証し、未来に資するには不可欠なものである。」

「翻って記録を保存する意味を考えてみると、それはつまり記録に対して責任を持つということに等しい。・・・・・・。突き詰めて言おう。アーカイブズ(記録資料)の本質は、「公開」を前提として自己の行跡に責任を持つことである。それは国でも企業でも個人でも変わらない。」

「情報は何も現在のものだけが大事なわけではない。過去の情報を検証し、そのときの判断や行動が正しかったかどうかを確かめることも大事である。「過去」の情報は、「現在」に少なからぬ影響を及ぼしていることが少なくないからである。
そこには人の行為が働いている。「情報格差」とはつまり、人を、自分と対等な一人の人間として見るか見ないかの違いに起因しているのではないか、と思うようになった。記録を残すという行為も、実はそこに問題の核心があるのではないだろうか。」(松岡資明, 2011)

アーカイブズの事例として、豊中市・箕面市における「北摂アーカイブス」も紹介されています。

この本を読み、MLA連携という考え方があることを知りました。
MLAとはMuseum、Library、Archivesの頭文字で、MLA連携とは博物館、図書館、文書館が連携すること。MLA連携の背景には、記録のデジタル化があると指摘されています。

「昔なら必要な資料を収蔵している博物館や図書館に出かけて行き、現物の資料や図書を自らの目で見、手に取って内容を確かめる必要があった。しかし、デジタル化されてしまえばキーワードを入力するだけで必要な情報を探し出すことができる。そのためには、博物館や図書館、公文書館同士の連携が必要だ。」(松岡資明, 2011)

ディスカバー千里では、千里ニュータウンの歴史を収集する活動を始めています。活動はまだ始まったばかりですが、収集した資料を共有・公開するうえでデジタル化という手段も上手く組み合わせていきたいと思います。

(更新:2023年1月10日)