千里ニュータウンは大阪府企業局により計画人口15万人、計画住戸数3万戸(実施段階では12万人、3万7330戸。建設末期の1971年5月時点では12万人、4万戸)の日本で最初の大規模ニュータウンとして計画・開発されました。
(戸) | 計画の段階 | 実施の段階 | 最終の段階 |
---|---|---|---|
公社住宅(A棟) | 3,000 | 5,863 | 6,153 |
府営住宅(B棟) | 9,000 | 10,382 | 10,122 |
公団住宅(C棟) | 9,000 | 10,292 | 10,248 |
給与住宅(D棟) | − | 4,720 | 7,463 |
戸建住宅 | 9,000 | 6,073 | 6,014 |
合計 | 30,000 | 37,330 | 40,000 |
- 山地英雄『新しき故郷:千里ニュータウンの40年』(NGS 2002年)に掲載の表を元に作成。最終の段階は建設末期の1971年5月時点を表す。
- 府公社団地(A棟)の詳細はこちら、府営住宅(B棟)の詳細はこちら、公団団地/UR団地(C棟)の詳細はこちらを参照。
住棟標示
千里ニュータウンの集合住宅の住棟壁面にはA・B・C・Dいずれかの文字が記載されています。これは、次のように集合住宅の供給主体を表しています。
- A:大阪府住宅供給公社
- B:大阪府
- C:日本住宅公団(UR都市機構)
- D:社宅
今でも千里ニュータウンにお住まいの方からはA棟、B棟などの表現を耳にすることがあり、A~Dの分類が定着していることが伺えます。しかし、近年の再開発によって建設された住棟にはA〜Dの住棟標示が掲示されなくなっています。この意味で、A〜Dの住棟標示も今では千里ニュータウンの歴史を表す貴重な資料となっています。
なお、住棟標示が掲示されなくなった理由として、A~Dだと序列をつけているなってしまうからという話を聞いたことがあります。
住棟配置と住棟標示
団地の住棟配置は大きく分けて、平行配置と囲み型配置(コの字型配置)の2つに分けられます。千里ニュータウンの特徴として、公団団地/UR団地に平行配置が、府営住宅に囲み型配置(コの字型配置)が多く採用されたことがあります。
千里ニュータウン開発の主体である大阪府企業局の職員として計画に携わった山地英雄氏が次のように述べている通り、A・B・C・Dは住棟配置に関わってきます。
コの字型配置と平行配置
しかし、私どもの企業局が造成した造成地に住宅を建てるのは戸建住宅以外は同じ大阪府のなかでも建築部であり住宅協会(後の府住宅供給公社)であり、あるいは住宅公団(後の住宅都市公団で現在の都市基盤整備公団)や一部給与住宅(社宅住宅)で、仲々最初に私どもが描いた配置通りにはなりません。彼らは実際の住宅供給の経営責任から、企業局で先に描いたようないわゆる「コの字型」配置に対して従来からの南面重視の平行配置を主張しました。
「コの字型」配置は住宅棟の囲みによるコミュニティの構成を企図したものです。佐竹台の自治会にいまも「コの字会」というのがありますがこれはその名残りです。しかし、このような論争の結果、住居表示決定の際に私どもの考えを前向きに採用した住宅協会の110戸の棟標示には「A」を与え、一部平行配置の持論を固執した750戸の府営住宅を「B」としたのは、いまとなっては後味の悪い思い出です。また、住宅公団は「C」、給与住宅は「D」としました。しかし、このような棟標示の方法も差別排除の立場からか泉北ニュータウンからは一切廃止されました。
*山地英雄『新しき故郷:千里ニュータウンの40年』NGS 2002年
山地氏によると、大阪府企業局はコミュニティ形成のため囲み型配置(コの字型配置)を考えていた。この考えに沿って囲み型配置を採用した大阪府住宅供給公社がA、そして大阪府営住宅がB、一方、平行配置を採用した公団団地/UR団地がCになったということのようです。
団地一覧
府公社住宅(A棟)
府公社住宅(A棟) | 建設年度 | 戸数 | →変更 | |
---|---|---|---|---|
佐竹台(C) | 千里丘陵団地 | 1961 | 150 | →(建替)市営新佐竹台住宅 |
佐竹台(C) | 千里丘陵B団地 | 1962 | 350 | →(建替)OPH千里佐竹台、OPH千里佐竹台II、ザ・パークハウス南千里 |
佐竹台(C) | 佐竹台C団地 | 1965 | 280 | →(建替)ライオンズ南千里佐竹台グランハート |
佐竹台(C) | 佐竹台メゾネット団地【分譲】 | 1969 | 71 | →(建替)ブランズ南千里 |
高野台(B) | × | |||
古江台(H) | 千里古江台(H-A)団地(千里古江台団地)【分譲】 | 1972 | 120 | |
津雲台(A) | 千里丘陵C団地 | 1963 | 550 | →(建替)OPH南千里津雲台、プレミスト南千里津雲台パークブリーゼ |
津雲台(A) | 津雲台団地【分譲】 | 1965 | 96 | →(建替)プレミスト南千里津雲台パークフロント |
津雲台(A) | 千里津雲台第1次団地(千里津雲台団地)【分譲】 | 1969 | 106 | |
津雲台(A) | 千里津雲台第2次団地(千里津雲台団地)【分譲】 | 1969 | 66 | |
藤白台(G) | 千里丘陵G団地 | 1964 | 500 | →(建替)OPH北千里駅前、プレミスト北千里クラッシィ |
藤白台(G) | 藤白台B団地 | 1965 | 300 | →(建替)OPH北千里駅前 |
藤白台(G) | 藤白台メゾネット団地(千里メゾネット)【分譲】 | 1966 | 54 | →(建替)プラウド北千里 |
青山台(F) | 千里丘陵F団地 | 1964 | 200 | →(建替)OPH北千里青山台、ローレルコートアトレ千里青山台 |
新千里北町(I) | 新千里北町団地【分譲】 | 1970 | 112 | |
新千里東町(J) | 千里J団地(新千里桜ヶ丘住宅)【分譲】 | 1965 | 272 | →(建替)新千里桜ヶ丘メゾンシティ |
新千里東町(J) | 新千里東町団地 | 1965 | 110 | →(建替)OPH新千里東町、新千里東町アーバンライフ |
新千里東町(J) | 千里東町第1次団地(東丘住宅)【分譲】 | 1966 | 152 | →(建替)グランドメゾン千里中央東丘 |
新千里東町(J) | 千里東町第2次団地(深谷第一住宅)【分譲】 | 1967 | 128 | →(建替)ガーデンヒルズ千里中央 |
新千里東町(J) | 千里東町第3次団地(深谷第二住宅)【分譲】 | 1967 | 120 | →(建替)ジオメゾン新千里東町 |
新千里東町(J) | 千里東町第4次団地(あかしや)【分譲】 | 1968 | 120 | →(建替)ローレルコート新千里東町あかしやの丘 |
新千里東町(J) | 千里東町第5次団地(深谷第三住宅)【分譲】 | 1969 | 68 | →(建替)シティハウス千里中央 |
桃山台(D) | 千里桃山台団地【分譲】 | 1970 | 181 | |
竹見台(E) | 竹見台団地 | 1969 | 206 | |
竹見台(E) | 竹見台(E-A)団地(千里竹見台団地)【分譲】 | 1972 | 90 | |
新千里西町(K) | 新千里西町団地 | 1966 | 270 | →(建替)OPH千里西町緑地、千里中央エアヒルズ、プレステージ新千里西町 |
新千里西町(K) | 新千里西町B団地 | 1966 | 340 | →(建替)OPH新千里西町、ライフ&シニアハウス千里中央、千里中央プレイムステージ |
新千里南町(L) | 新千里南町B団地 | 1968 | 286 | →(建替)リバーガーデン千里中央あかり絵のみち |
新千里南町(L) | 新千里南町団地 | 1969 | 300 | →(建替)OPH新千里南町 |
新千里南町(L) | 千里南町メゾネット団地【分譲】 | 1969 | 104 | →(建替)シティテラス千里桃山台 |
新千里南町(L) | 新千里南町団地【分譲】 | 1970 | 310 | →(建替)ジオ千里桃山台 |
新千里南町(L) | 千里南町団地【分譲】 | 1971 | 60 | →(建替)エスリード千里桃山台 |
新千里南町(L) | 千里南町第2次(L-B)団地【分譲】 | 1972 | 120 | →(建替)シンフォニア新千里南町ガーデンズ |
新千里南町(L) | 千里南町(L-A)団地(千里南町第1次住宅)【分譲】 | 1972 | 132 |
府営住宅(B棟)
住区 | 府営住宅(B棟) | 建設年度 | 戸数 | →変更 |
---|---|---|---|---|
佐竹台(C) | 千里佐竹台住宅 | 1961〜1963、1990〜1992 | 943 | →(建替)府営吹田佐竹台住宅、プレミスト南千里 |
高野台(B) | 千里高野台住宅 | 1961〜1963、1990〜1992 | 2027 | →(建替)府営吹田高野台住宅、ザ・パークハウス南千里アリーナ |
古江台(H) | 千里古江台住宅 | 1963、1995 | 1499 | →(建替)府営吹田古江台住宅 |
津雲台(A) | × | |||
藤白台(G) | 千里藤白台住宅 | 1964 | 1128 | →(建替)府営吹田藤白台住宅、ローレルコート北千里藤白台 |
青山台(F) | 千里青山台住宅 | 1964 | 485 | |
新千里北町(I) | 新千里北住宅 | 1965〜66 | 1312 | →(建替) |
新千里東町(J) | 新千里東住宅 | 1965 | 781 | →(建替)府営豊中新千里東住宅、ジェイグラン千里中央、パークホームズ千里中央ザレジデンス |
桃山台(D) | 千里桃山台住宅 | 1966 | 1040 | →(建替) |
竹見台(E) | 千里竹見台住宅 | 1966 | 385 | →(建替)府営吹田竹見台住宅 |
新千里西町(K) | × | |||
新千里南町(L) | 新千里南住宅 | 1967〜68 | 1025 | →(建替)府営豊中新千里南住宅 |
公団団地/UR団地(C棟)
住区 | 公団住宅/UR(C棟) | 建設年度 | 戸数 | →変更 |
---|---|---|---|---|
佐竹台(C) | × | |||
高野台(B) | 千里高野台団地 | 1968 | 218 | →(建替)千里グリーンヒルズ高野台 |
古江台(H) | × | |||
津雲台(A) | 千里津雲台団地 | 1964 | 1100 | |
藤白台(G) | × | |||
青山台(F) | 千里青山台団地 | 1965 | 1846 | |
新千里北町(I) | 新千里北町団地 | 1966 | 730 | |
新千里北町(I) | 新千里北町第二団地【分譲】 | 1967 | 280 | →(建替)ジオ千里中央 |
新千里北町(I) | 新千里北町第三団地【分譲】 | 1967 | 162 | →(建替)パークハウス千里中央 |
新千里東町(J) | 新千里東町団地 | 1970 | 1522 | →(一部建替)千里グリーンヒルズ東町 |
桃山台(D) | 千里桃山台団地 | 1969 | 228 | |
桃山台(D) | 千里桃山台第二団地【分譲】 | 1969 | 380 | →(建替)グランファースト千里桃山台 |
桃山台(D) | 千里桃山市街地住宅 | 1971 | 142 | →(名称変更)千里桃山団地 |
竹見台(E) | 千里竹見台団地 | 1967 | 2796 | →(一部建替)千里グリーンヒルズ竹見台 |
新千里西町(K) | 新千里西町団地 | 1967 | 534 | |
新千里南町(L) | × |
- 千里ニュータウン開発時に建設された団地。
- 表では入居が始まった順に住区を並べている。
- ( )内のアルファベットは計画時に用いられていた住区の記号を表す。
- 建設年度と戸数は、千里ニュータウン再生プラン研究会編『千里ニュータウン住宅地再生に向けた提言』(豊中市政研究所 2002年6月)に掲載の「参考資料2 千里ニュータウンにおける公的賃貸住宅の概要」、「参考資料3 千里ニュータウンにおける公的分譲住宅の概要」より。
団地の名称
千里ニュータウンの団地の供給主体はA〜Dの4つですが、このうち府公社団地(A棟)、府営住宅(B棟)、公団団地/UR団地(C棟)の団地には、次のような名称がつけられています。
府公社団地(A棟)
→「○○団地」
- ○○○団地(○○○は住区名)。これを基本として、同じ住区に複数の団地がある場合は「第1次」「第2次」としたり、「B団地」としたりする。また、佐竹台C団地」、「千里古江台(H-A)団地」、「千里J団地」(新千里東町)、「竹見台(E-A)団地」、「千里南町(L-A)団地」、「千里南町第2次(L-B)団地」のように住区名が正式に決定される前に用いられていたアルファベットの住区記号を用いた団地もある。
- 千里丘陵○団地(○はB、C、G、F、J)。BとCは建設された順番だが、G(藤白台)、F(青山台)は住区名が正式に決定される前に用いられていたアルファベットの住区記号を表す。
- ○○○メゾネット団地:(○○○は住区名)。佐竹台、藤白台、新千里南町の3団地のみ。
- 建替後は「OPH千里佐竹台」、「OPH新千里西町」というように「OPH○○」という名称に変更されている。OPHは大阪府住宅供給公社(Osaka Prefectural Housing corporation)の略。
府営住宅(B棟)
→「○○住宅」
- 吹田市域の府営住宅は「千里佐竹台住宅」、「千里高野台住宅」のように「千里+(住区名)+住宅」、豊中市域の府営住宅は「新千里東住宅」、「新千里南住宅」のように「新千里+(東南北)+住宅」と名付けられている。
- 建替後は、吹田市域の府営住宅は「吹田佐竹台住宅」、「吹田高野台住宅」のように「吹田+(住区名)+住宅」と「千里」が「吹田」に変更されている。豊中市域の府営住宅は「豊中新千里東住宅」と前に「豊中」が付けられている。
公団団地/UR団地(C棟)
→「○○団地」
- 吹田市域の公団団地/UR団地は「千里竹見台団地」、「千里津雲台団地」のように「千里+(住区名)+団地」、豊中市域の公団団地/UR団地は「新千里東町団地」、「新千里西町団地」のように「(住区名)+団地」と名付けられている。
- 建て替えられたUR賃貸の団地は、「千里グリーンヒルズ竹見台」、「千里グリーンヒルズ東町」のように「千里グリーンヒルズ+(住区名前)」と名付けられている。
参考
- 山地英雄『新しき故郷:千里ニュータウンの40年』NGS 2002年
- 千里ニュータウン再生プラン研究会編『千里ニュータウン住宅地再生に向けた提言』豊中市政研究所 2002年6月
- 『2007 SENRI NEWTOWN』千里ニュータウン再生連絡協議会 2007年11月
- 大阪府住宅供給公社「府営住宅一覧のページ
- UR都市機構「URの団地について」のページ
(更新:2020年10月22日)