大阪府千里ニュータウンの千里文化センター・コラボでは、2018年1月から「コラボ2坪マルシェ」という試験的な試みが始まっています。
「「既存の市民活動の支援」と「新たな市民活動の芽を育てる」ことで、「千里文化センター“コラボ”の賑わい創出」と「地域活性化の機縁」とする」(*「コラボ2坪マルシェ」チラシより)ために、千里文化センター・コラボ正面玄関前の小部屋を、市民活動団体に開放することで、市民活動団体の活動紹介の場にするという試みです。
試験的な試みであり、現在のところ対象となる市民活動団体は「千里地域連携センターが指定する協働団体、千里公民館登録グループ、千里介護予防センター登録グループ、市民活動情報サロンの市民公益活動団体情報掲載団体」(*事業実施要領より)とされています。
注目すべきは、「コラボ2坪マルシェ」では「成果物や活動資料を団体の活動資金とするため、廉価で販売することも可能」だという点です。売上金の一部(2割以上)は「とよなか夢基金」へ寄付するという仕組みとなっています。
「コラボ2坪マルシェ」は、以下のような理由から千里ニュータウンにおいて画期的な取り組みだと考えています。
千里文化センター・コラボは、新千里出張所、千里介護予防センター(旧:千里老人福祉センター)、千里保健センター、千里図書館、千里公民館が入る公共施設ですが、公共施設において、活動の成果物や資料の販売が可能とされている点です。
千里ニュータウンは大阪都心へのアクセスも良く、地下鉄御堂筋線の千里中央駅・桃山台駅、阪急千里線の南千里駅・山田駅・北千里駅の周りでは集合住宅の建替えが次々に行われるなど、今でもベッドダウンとして人気のある住宅地です。今の時代、集合住宅の建替えが行われ、若い世代がどんどん転入してくるという状況は、他の地域からは羨ましがられるかもしれません。
けれども、良好なベッドタウンであるが故に、市民活動が仕事とは別の領域のものとして成立してしまっているとも言えます。今の時代、地域の活動を解決することが仕事(お金を稼ぐこと)となったり、身近なところで起業するという動きも見られますが、千里ニュータウンではそうはなっていない。千里文化センター・コラボでは盛んに市民活動が行われていますが、そのほとんどは仕事(お金を稼ぐこと)とは別の領域の活動。また、千里ニュータウンは計画された町であるが故に、お店を開こうと思っても地区センター、近隣センターなど限られた場所にしか、お店にできる場所がない。こうした状況が、若い世代の人々にどう映っているのかは気になるところです。
こうした千里ニュータウンにおいて、「コラボ2坪マルシェ」は、公共施設を開放することで、市民活動と仕事(お金を稼ぐこと)とを融合させようとする試みとして、注目すべき動きだと考えています。
以前、大船渡の「デジタル公民館まっさき」に参加されている方から聞いた話では、当初、公民館とは建物のない青空公民館として、生活改良のための運動体だったとのこと。公民館は、お金を稼ぐことも含めた生活と密接に結びついた場所だった。
「コラボ2坪マルシェ」は、現在社会における公民館の役割を再定義するものではないかと思います。
なお、参加させていただいている千里ニュータウン研究・情報センター(ディスカバー千里)では、2月8日(木)〜10(土)の3日間、「コラボ2坪マルシェ」として店開きをさせていただく予定です。
(更新:2018年2月10日)