先日、千里ニュータウンの「ひがしまち街角広場」を訪問しました。
新千里東町近隣センターの空き店舗を活用し、2001年9月にオープン。豊中市の半年間の社会実験が終了した後は、住民ボランティアによる自主運営が続けられてきました。
「ひがしまち街角広場」は空き店舗を活用したコミュニティ・カフェのパイオニア的存在として国内各地から、時には海外からも、多くの見学者を受け入れてきました。
千里ニュータウンにおいては、「ひがしまち街角広場」をモデルとして府営新千里東住宅の「3・3ひろば」、千里文化センター・コラボの「コラボ交流カフェ(コラボひろば)」が開かれています。また、「千里竹の会」、「千里・住まいの学校」、「千里グッズの会」(現在のディスカバー千里)など、「ひがしまち街角広場」に集った人々によって立ち上げられた活動もあり、千里ニュータウンの地域活動に大きな影響を与えました。
現在、新千里東町近隣センターの移転・建替の計画が進められているため、2〜3年ほどで(現在の)「ひがしまち街角広場」は閉鎖になる予定です。
運営の担い手や来訪者がいなくなったわけでもなく、運営資金が底をついたわけでもなく、近隣センターの移転・建替により空き店舗がなくなり、地域活動の拠点が失われたという理由で閉鎖されるのは皮肉なことです。
「ひがしまち街角広場」からは、千里ニュータウンが抱える課題として、いくつかのことが浮かび上がってきます。
- 近隣住区論に基づき開発された千里ニュータウンにおいて、近隣センターは各住区の核。その大切な近隣センターの移転・建替の場面において、地権者でない地域活動が関わっていくことは非常に困難である。
- 千里ニュータウンは地域活動が盛んな地域だと言われている。新千里東町には地域自治協議会、千里文化センター・コラボにはコラボ市民実行委員会がある。豊中市と吹田市をまたぐ千里ニュータウン全体をカバーする住民の集まりとして千里市民フォーラムがもある。けれども、「ひがしまち街角広場」の今後について相談したり、千里の住民同士で知恵を出し合ったりする場所がない。千里ニュータウンの地域活動は盛んではありますが、各住区の活動とは切り離されている。
- 千里ニュータウンは同じ世代の人が一斉に入居したため、住民が同時に高齢化する。現在、「ひがしまち街角広場」のスタッフは70代の女性が中心だが、その活動を受け継げる下の世代が少ない。
- 千里ニュータウンの中でも、新千里東町は全ての住戸が集合住宅。千里中央に近いという立地の良さから、近年では集合住宅の建替が一斉に進んだ。新しい住民が急激に増加したことから、地域の歴史を共有するのが難しい。
近隣センターの移転・建替が完了した後、「ひがしまち街角広場」の運営が継続できるか否かは未定です。ただし、少なくとも現在のスタイルでの運営を継続することはできないだろうと思われます。
そうだとしても、「ひがしまち街角広場」が生み出したものを地域がどう継承するかはこれからの課題になってきますが、「ひがしまち街角広場」の歩み、価値、そして、課題をきちんと情報発信していく必要があるという話を先日はしていました。
「ひがしまち街角広場」から多くを学ばせてもらった者としては、次に活かすためにもきちんとした情報を発信していかねばなと考えています。
新千里東町では、現在も集合住宅の建替が進められています。
先日訪れた時は、府営新千里東住宅の新しい住棟が完成した直後だったようで、引越しの車が並んでいるのを見かけました。UR新千里東町団地では高層棟の建替が始まろうとしています。新千里東町の光景は、訪れる度に変化しています。