『わたしの居場所、このまちの。:制度の外側と内側から見る第三の場所』(水曜社, 2021年)のご案内

無印良品とURによる団地リノベーション@新千里西町団地

現在、無印良品とUR都市機構により「MUJI☓UR団地リノベーションプロジェクト」が行われています。
戦後の住宅不足を解決するために建設された公団住宅を、現代の暮らしに相応しい住まいとしてリノベーションするプロジェクトで、大阪府下の3つの団地がプロジェクトの対象になっています。そのうちの1つが新千里西町団地(1966年に入居開始)です。

当時、暮らし方のひとつの理想像をつくった公団の団地も、古いものは今の時代には合わないところもでてきました。
しかしこのような団地にはいいところもたくさんあります。何よりその環境です。広々とした配棟計画や、通風や採光の確保された建物、エアコンを使わない事を前提にしてつくられた建物は、現代の低エネルギー住宅への考え方に通じるものがあります。また、緑環境が大変豊かで、休みの日には団地の中を散歩しながら公園で遊ぶ子供たちを眺めたりもできます。
今回のリノベーションプロジェクトでは、古い団地を、こうした良さも残しながら、少しだけ現代の暮らしにあわせてくことが出来ればという思いで取り組んでいます。
*「MUJI☓UR団地リノベーションプロジェクト」ウェブサイトより

2013年2月16日(土)から24日(日)までモデルルームの見学会が開催されました。リノベーションによって、団地がどのように変化するのかに興味があり、見学会に参加してきました。

新千里西町団地のモデルルーム

新千里西町団地では、C9棟4階の1LDKとC7棟4階の3LDKの2つの住戸がモデルルームとして公開されました。

1LDKのモデルルーム

3Kを1LDKにリノベーションされた住戸で、面積は43.98㎡。

130219-152438s

キッチンと和室とがダイニングに。

130219-151347s

キッチンはアイランド型。キッチンカウンターは団地サイズということで、幅が180cmの特注品。カウンターの向かいにも同じサイズのテーブルが置かれています。テーブルは動かせるため、写真のようにアイランド型にしたり、L字型にしたりなど、お住まいの方の工夫次第で色々なかたちで使えるとのこと。
床は白い塩ビシートが敷かれていました。

130219-151727s

リビング。写真の左の収納部分はかつて押入れだったところです。「良いものは大切に受け継ぐ」というリノベーションの方針から、押入れのフレームがあえて残されています。
床に敷かれているのは麻製の畳。フローリングよりは温かみがあり、同時に、通常の畳よりは耐久性があるので家具を置くことも可能なもので、今回のプロジェクトのために開発したもののようです。新千里西町団地にお住まいの方から「うちの部屋にもこれを敷きたい」という声があったとのこと。

130219-151833s

和室とベッドルームの間にある鴨居も、フレームが残されています。この時代の団地では、鴨居の高さが175cmと低くなっていますが、押入れと同様、あえて残しているとのこと。
ベッドルームの床にも、麻製の畳が敷かれています。

この日は曇りでしたが、両面に窓があることと、壁・天井が白で統一されていることもあり、明るい感じがしました。

3LDKのモデルルーム

こちらは3LDKの住戸が、3人で住むためのシェハウスとしてリノベーションされています。面積は64.63㎡。

130219-153152s

入ったところがキッチンになっており、1LDKのモデルルームと同様、幅180cmのキッチンカウンターが置かれています。
キッチンの奥(南側)は、増築された部分。千里ニュータウンの府営住宅では、当初、風呂場がなかったため風呂場を含めた増築が行われましたが、公団の住戸には最初から風呂場があったため、ここでは純粋に部屋数を増やすための増築が行われました。

130219-155206s

C7棟の外観。南側に一部屋増築されています。

130219-153626s

かつてキッチンがあった部分は、キッチンカウンターが取り除かれ、共有のリビングルームにされています。ただし、壁のタイルが残されているなど、ここにかつてキッチンがあったことが伺えます。床に敷かれているのは麻製のござ。

130219-153452s

シェアハウスということで、個室には鍵がかけられるようになっています。1LDKのモデルルームと同様、この住戸でも押入れ部分のフレームが残されたデザインとなっていました。

130219-153014s

風呂場は、浴槽を取り除いてシャワー室とされています(1LDKの住戸には浴槽があります)。浴槽がない分、シャワーヘッドは豪華なものにした、とのことです。


見学に訪れた日までの時点では、見学に来られているのは、20〜30代の方が多いとのことでした。