『わたしの居場所、このまちの。:制度の外側と内側から見る第三の場所』(水曜社, 2021年)のご案内

北海道・北広島団地

北海道北広島市に北広島団地というニュータウンがあります。先日、出張で北海道に行く機会があったので、飛行機の時間を少し早め、新千歳空港から札幌に向かう快速エアポートを途中下車して北広島団地を歩きました。

北広島団地は、札幌市南区の真駒内団地、江別市の大麻団地に続く北海道で3番目のニュータウンとして、1970年から開発されました。面積は441ha、計画人口は2万7千人、計画戸数は8千戸です。
1970年は大阪万博の年で、千里ニュータウンの開発事業が終了した年でもあります。JR北広島駅から札幌まで快速エアポートで20分もかからないので、千里中央駅から梅田までと同じくらいの時間で都心に行くことができます。

少し歩いただけですが、北広島団地と千里ニュータウンの景色には共通点があり、広島団地を歩きながら、「そう言えば、千里ニュータウンでもこんな景色を見たことがあるな」と何度も思いました。
似ているのは景色だけではないと思います。北広島団地は、高齢化や建て替えといった課題が生まれているとのこと。これも、千里ニュータウンと同じです。ニュータウンはどこも画一的だと言われることがありますが、このことは、ニュータウン同士で問題意識や取り組みを共有できる可能性があると言うこともできると思います。

もちろん、北広島団地と千里ニュータウンの風景には違いもみられます。
北広島団地の集合住宅の住棟側面には、「広葉町」、「北進町」など地名が書かれていることに気づきました。これは、千里ニュータウンの住棟には見られないものです。

地名ではなく、キツツキのオブジェが取り付けられている集合住宅もありました。千里ニュータウンにも、UR新千里東町団地のように動物などの壁画が書かれた住棟がありますが、オブジェのある住棟は見たことがありません。

集合住宅に風除室が取り付けられているのも千里ニュータウンとの違いです。

広葉中学校のすぐ北側ににある「やまぶき公園」でタコの形をしたすべり台(遊具)を見つけました。

これは、藤白台の府公社千里丘陵G団地(現・プレミスト北千里クラッシィ)にかつてあった白い大きなすべり台(「白すべ」、「像すべ」と呼ばれていた)のことを思い出しました。

このようなタコのような形をしたすべり台は、日本各地に見られ、一般的には「タコの山のすべり台」と呼ばれています。これは前田屋外美術株式会社(倒産し、現在は前田環境美術株式会社に社名変更して営業)によって作られた遊具で、オリジナルのデザインは「プレイスカルプチャー。石の山」で*1)、1970年頃から全国に約400基の「タコの山のすべり台」が作られたということです*2)。しかし、老朽化、2002(平成14)年3月に改正された「都市公園における遊具の安全確保に関する指針」により撤去が行われ、現在は約150基ほどになったとのこと。
オリジナルのデザインに用いられているプレイスカルプチャーは遊ぶことのできる彫刻という意味(スカラプチュア(Sculpture)は「彫刻」の意味)です。


(更新:2022年2月20日)