集合住宅の住棟配置の方法は、「平行配置」「囲み型配置」の大きく2つに分けることができます。
「平行配置」とは、日照の確保を目的として、東西方向の住棟を平行に配置することで、全ての住戸を南面させるという配置方法で、千里ニュータウンでは主に公団(現・UR都市機構)の団地で採用されました。「平行配置」の団地では、各住棟の階段室は北側にもうけられていますが(北入りタイプ)、一部の団地では北側に階段室の入口がある「北入りタイプ」と南側に階段室がある「南入りタイプ」の住棟をペアにして配置することで(NSペアによる配置)、「平行配置」でありながら2つの住棟の居住者の接触の機会を増やすことが考えられました。
「囲み型配置」とは居住者の交流・活動の場所を確保することを目的として、中庭を作り出すように住棟を配置する方法で、千里ニュータウンでは主に府営住宅の団地で採用されました。ただし、千里ニュータウンでも後期に開発された公団(現・UR都市機構)の団地では、一部に「囲み型配置」が採用されました。
ここでご紹介するUR新千里東町団地でも、住棟を中庭を作るように配置する緩やかな「囲み型配置」が採用されています。高層棟、中廊下型棟、階段室型棟という3タイプの住棟を組み合わせるという工夫がされているのに加えて、住棟を通り抜けできるように、高層棟と中廊下型棟の1階はピロティにしたり、両側から階段室にアクセスできるようにしたりという工夫もされています。
新千里東町団地には壁画が描かれている住棟があることに気づきます。これは広場(公園)に面した壁面にものだという話しを聞きました。
Q:建物の壁に絵が描かれてますよね。
居住者:20年ぐらい前かなぁ。公園に面している壁面に絵を描いたんです。
Q:住民がお願いしてやったんですか、それとも、公団がやったんですか?
居住者:自治会じゃないでしょうか。うちの棟の壁にもお猿さんがブランコして遊んでますでしょ。公園に面してるとこ、公園に面してるとこの壁面に描いてある。大体動物シリーズだったのに、25棟だけどういう訳か飛行機かなんかが。動物シリーズでいったのにという話やったねぇ。
※ディスカバー千里で実施したインタビューより。インタビュー実施日は2011年10月11日
壁画が描かれているのは以下の場所ですが、インタビューにあるようにC25棟だけ動物の壁画ではありません。
- C6棟 東側壁面:小鳥
- C7棟 東側壁面:小鳥
- C9棟 東側壁面:コアラ
- C19棟 西側壁面:キツツキ
- C18棟 東側壁面:象
- C22棟 西側壁面:女の子と猿のブランコ
- C25棟 東側壁面:宇宙飛行士とロケット
住棟の壁画、どのような目的で描かれることになったのかはわかりませんが、広場(公園)に面した壁面に描かれていることから、もしかすると子どもたちに親しみやすい広場(公園)にしようという思いがあったのかもしれません。
(更新:2020年11月11日)