少し前、中国の北京を訪問した際、最近北京で話題の場所として、いくつかの場所を紹介してくださいました。北京坊(Beijingfang)、白塔寺東西岔街区更新プロジェクト(Renovation project of Baita Temple Dongxicha block)、中海大吉巷(Zhonghai Daji Alley)の3つの場所で、いずれも再開発プロジェクトです。
北京坊
北京坊は、天安門の約1kmのある文化と商業の複合施設。歴史文化保護街区集落設計プロジェクトで、2006年に計画が開始され、2017年1月に建築群が竣工。交通銀行、塩業銀行、宝恒祥金店、三陽金店という民国時代を代表する歴史的な建築が保存、リノベーションされています*1)。
案内してくださった方の話によれば、このエリアにはかつてイギリス、ドイツの外交官や関係者が暮らしていたとのこと。
STARBUCKS北京坊旗艦店は、上海の焙煎工房を除けば、世界最大規模。店は3フロアからなり、3階ではコーヒーをベースにしたビール、カクテルなどアルコールが提供されています。



北京坊には、価格の安さにより中国国内の店舗数で、STARBUCKSを追い抜いたLuckin Coffee(瑞幸咖啡)の店舗もありました。

北京坊では、無印良品のホテル(MUJI HOTEL)も見かけました。



白塔寺東西岔街区更新プロジェクト
紫禁城(故宮)から西北西に約3km、北京市西城区にあるチベット仏教の妙応寺は、境内にある白い巨大な仏塔が有名であるため、白塔寺とも呼ばれています。
白塔寺東西岔街区更新プロジェクトは、白塔寺の近くの胡同(フートン)と呼ばれる古い街区を再開発したプロジェクト。プロジェクトは、2015年~2025年の10年にわたって行われ、2025年7月12日にオープンしました*2)。
プロジェクトは、南北に走る宮門口西岔、宮門口東岔という2つの胡同の再開発で、周辺の建物は飲食店をはじめとする店舗にリノベーションされていました。案内してくださった方によると、白塔を眺めることができるカフェも人気だとのこと。



2つの胡同が接する部分には、広場がもうけられています。訪れた時は夕方で、白塔を撮影する人、持ち込んできた椅子に座っている人などを見かけました。



中海大吉巷
紫禁城(故宮)から南西に約3.5kmの位置にある中海大吉巷も、胡同を再開発した複合商業施設で、開業は2025年5月25日。150以上の店舗の半数以上が、1号店と中海大吉巷の限定店舗になっているとのこと。緑地空間は、1,2000m2に及び、「低炭素ガーデン・フレキシブルシアター」や「フォレストテラス」など、多層的なランドスケープデザインが実現されています*3)。



建物は四合院をモチーフとするデザインとなっています。案内してくださった方の話では、中国では雨が降ることにはお金が降るという意味があり、降った雨を集めることはお金を貯めることを意味する。四合院は、降った雨が中央に集まるようなデザインになっており、中海大吉巷の吹き抜けの空間も、降った雨が中央に集まるようなデザインになっているということでした。



さらに、中海大吉巷には、清朝末期から中華民国初期にかけての中国の思想家、政治家、書家である康有為が住んでいた四合院が修復して保存され、ミュージアムとして公開されています。

それぞれの場所は、少し歩いただけ表面的な印象になってしまいますが、北京の再開発のプロジェクトでは、古い建物を一掃して新しい建物を建てるのではなく、何らかのかたちで古い建物が継承されていることが興味深く、案内してくださった方は、このようなかたちの再開発プロジェクトを魅力的だと考えておられる、ということが印象に残っています。
■注
- 1)※北京観光「グルメも買い物も楽しめる「北京坊」」2020年6月29日、Wikipedia「北京坊」のページより。
- 2)北京市人民政府「十年蝶变提质升级 三条线路沉浸式游览 白塔寺东西岔街区正式开街」2025年7月13日のページより。
- 3)中国・北京「北京に新たな買い物・散策スポット登場」2025年5月27日のページより。