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現代史の常設展

先日新聞を読んでいると、千葉県佐倉市にある国立歴史民俗博物館に現代史の常設展示室がオープン、という記事が目にとまった。

国立歴史民俗博物館(千葉県佐倉市、歴博)に16日、現代史の常設展示室がオープンした。1983年の開館から27年、先史時代から現代まで日本列島の歴史を通して見られる展示がようやくそろった。長い年月は「歴史としての現代」「共有できる現代史」を描き出すことの難しさをあらためて示しているようだ。
歴博の展示には偉人や英雄は登場しない。目指したのは生活の歴史の再現。プロジェクトチームを組んで研究し、現代史では20人の研究者を集め、7年にわたり検討した。
新たな展示室は725平方メートル。1930〜70年代を中心に、戦前を扱う「戦争と平和」と、その後の「戦後の生活革命」の2部の構成だ。
*「歴博に現代史常設展」・『朝日新聞』2010年3月20日

展示室には、日本住宅公団の団地が実物大で再現されているとのこと。団地での暮らしも、歴史として見なされるようになってきた、ということだと思う。

現代史には体験者が生存している歴史だ。展示は、個人的な記憶や記憶を相対化することを目指しているゆにみえる。戦争についても、被害としての体験だけでなく、加害の側面への言及が目立つ。
戦後となると経験者はさらに多い。闇市や登場したばかりの団地の暮らしの復元は、多くの人にとって懐かしさの追体験だが、復興や高度経済成長のためのダム建設で水没した村があったことも示す。個人的な体験や記憶が、そのまま歴史全体ではないことをさりげなく教えてくれる。
*「歴博に現代史常設展」・『朝日新聞』2010年3月20日

「個人的な記憶や記憶を相対化すること」。
千里でも、暮らしの体験や記憶を歴史として残そうという動きが生まれつつある。そうした動きが、「千里には、こんなふうに暮らしている人たちがいるんだ/いたんだ」という気づきを与えることができるようなものになれば、と思う。