子どもの頃、10円玉や100円玉など、硬貨の上にのせた紙の上を鉛筆でこすることで、硬貨の形や模様を浮かび上がらせる遊びをしたことがあります。
アートの用語では、このような技法は「フロッタージュ」と呼ばれるようで、フランス語の 「frotter(こする)」からきているとのこと。
この「フロッタージュ」の技法を、地域の記憶を収集するために用いたプロジェクトが、東京の荒川区で行なわれているようです。
凹凸面に紙を置き、色鉛筆などでこすって図柄を写し取る「フロッタージュ」という技法で、工場や商店などの痕跡を残す「町の記憶プロジェクト」が13日、荒川区南千住で始まった。商店街の若手らが美術家と連携して企画。子どもたちをはじめ地域ぐるみで、2年かけて1万枚の「記憶づくり」を目指す。
*「こすって町の痕跡」・『朝日新聞』2010年7月14日号
このプロジェクトを企画したのは、「企画したのは若手商店主や会社員、主婦らでつくる「千住すみだ川」(NPO法人申請中)」で、プロジェクトの目的は「新旧住民が地域の歴史を共有したり、失われつつある「記憶」を残したりしながら、まちを考えるきっかけをつくる」こと。
プロジェクト初日となった13日は、百年以上の歴史があり、近く取り壊される工場を、地元の区立第三瑞光小学校の5年生ら約70人が訪問した。酒百さんの助言を受けながら、床に残る機械を固定していた跡や、枕木などに画用紙をあて、思い思いの色鉛筆でこすり取っていた。
*「こすって町の痕跡」・『朝日新聞』2010年7月14日号
地域の記憶を残すということには、色々なやり方、可能性があることを教えられます。