先日の朝日新聞の社説に千里ニュータウンのことがとりあげられました。
その千里では高齢化社会へ向けたさまざまな取り組みが始まっている。
拠点の一つは「近隣センター」だ。建設当時、数千人規模の団地ごとに、商店や幼稚園、銭湯などの施設を徒歩圏に集めた。その後、大規模スーパーが進出し、車社会が到来した。多くの商店は閉鎖され、衰退した。
そんな空き店舗を利用して、住民らが運営するカフェができ、出会いの場となっている。そこから、「千里グッズ」の制作・販売や竹林の保護に取り組むグループが生まれ、大学の研究室や留学生との交流も始まった。
集合住宅の建て替えで、子育て世代の入居もあり、お年寄りと子供らがふれあう場を設ける試みも模索されている。徒歩圏が見直されている。
地元の吹田市は、ニュータウンと万博公園、太陽の塔をあわせて世界遺産の登録をめざす大風呂敷を広げた。
共通するのは、千里の良さをもう一度見つめ直そうというまなざしだ。
*朝日新聞 2011年1月9日付社説「万博公園冬景色:アジアの未来を示す街に」
豊中市の広報紙、『広報とよなか』の1月号にも千里ニュータウンの歴史のことが触れられています。
市長 千里地域は住みたいまちのランキング調査などで、いつも上位に挙がります。ここを第二の故郷にするため、まちづくりに携わりたいという住民もたくさんいらっしゃいます。平成20年には、こうした住民の皆さんの交流・活動拠点として、新千里東町に千里文化センター・コラボを整備しました。現在、カフェ事業や千里コラボ大学校、ラウンドテーブルの開催など、住民同士が学び合うさまざまな事業や交流が進んでいます。また、千里地域の暮らしの歴史を後世に伝えようという取組みもあります。
鷲田 コミュニティをつくっていくときには、その地域がたどってきた歴史を共有する、ということも大事です。ニュータウンというと、あまり歴史がないイメージですが、千里ニュータウン自体がすでに歴史を持っていて、そこに住む人たちの意識がまちの歴史にも向かっていくというのは大変良いことですね。まさに第二の故郷です。
市長 各々の出身地も大切にしつつ、千里地域も自分たちの故郷としてつくりあげていく。そんな活発な動きも千里の良さだと思います。
鷲田 新たにコミュニティをつくっていくためには、人が行き来したり、触れ合ったりする場を人為的に作る必要があります。新千里東町の「ひがしまち街角広場」では、公営住宅の一画にスペースを設け、勉強会や物の交換会などの催しを開いておられますが、これも意識的にコミュニティをつくっている良い例ですね。
*「新春市長対談 大阪大学総長・鷲田清一さんを迎えて:人、学び、まちのにぎわい〜大学とまちづくり〜」・『広報とよなか』平成23年1月号
千里での人々の暮らしの歴史、千里の魅力を見つけて、それをきちんと次の世代に伝えていくこと。変えるべきところはきちんと変えていくこと。
今年が千里にとって重要な一年になるようにしたいと思います。
(更新:2015年6月3日)