『わたしの居場所、このまちの。:制度の外側と内側から見る第三の場所』(水曜社, 2021年)のご案内

主客の関係が柔軟であること@居場所ハウスから

12月20日(土)、「居場所ハウス」では年内最後の朝市を開催しました(年明け、1月からは毎月第3土曜日に朝市を開催予定です)。

写真は朝市の前日の様子。居場所農園で収穫した白菜をビニール袋に入れたり、保存用として新聞に包んだりする作業をしているところです。いつも「おたすけ隊」のメンバーが中心となって手入れしてくださいますが、この日は居合わせた来訪者の女性も手伝ってくださいました。「おたすけ隊」の1人が女性に「○○さん、監督してていいから」と声をかけましたが、女性は最後まで手伝ってくださったようです。また、朝市のため郷土食の鎌餅(かまもち)の試作をしに来られた方もいます。キッチンで、パートの方と一緒になって鎌餅作りが行われました。

141219-145101 141219-104635

「居場所ハウス」だけでなく、「まちの居場所」の良いところは、通常のお店のように、もてなす方ともてなされる方、サービスする方とサービスされる方が固定されておらず、主客の関係が柔軟であることです。

「居場所ハウス」では月・火・金曜は3人の女性がパートで、水曜は4人の女性が、土曜は「おたすけ隊」が、日曜はコアメンバーがボランティアで運営を担当しています。ある程度、決まったメンバーが運営を担当しているため、このような体制での運営はともすれば主客の関係を固定化する方向に向かいがちです。
では、日々の運営で担当者を決めなければよいのか? と言うと、そういうわけでもなさそうです。「居場所ハウス」ではオープン当初、毎日ボランティアで運営していました。当時、問題になっていたのは、都合のいい時に来てちょっとしたらすぐに帰る、予定が入ったため急に来れなくなるなど、誰が責任を持って運営を担当するかが曖昧なことでした。運営している10〜16時の間、ボランティアがいない時間帯があったことも何日かありました。毎日、入れ替わりで担当者が変わるため、物の管理が十分でなかったということもあります。ちょっとしたことですが、コーヒー豆がなくなったことを誰が、誰に、どうやって伝えるのかも曖昧でした。

運営の担当者を全く決めず、みなが対等な立場で運営に参加するというのがもしかすると理想かもしれませんが、(少なくともオープン当初の)「居場所ハウス」を運営するのは難しかった。「居場所ハウス」の周りで高台移転が進めば、いずれ状況は変わるかもしれませんが、当面は「今日は○○さんが当番(主)である」ことを明確にして、来客が運営に協力するというかたちが必要ではないかと思います。
もちろん、来訪者が完全なお客さんになってしまうこと、逆に、来訪者に対して運営のお手伝いを強制したり、運営の手伝いをしないと居づらい雰囲気を作ってはいけません。来訪者が、ほんのささやかなことでも運営のお手伝いができる、そのようなきっかけがたくさんある場所にしていかねばなりません。そのようなたくさんのきっかけがある場所をどうやって実現するか? そのアイディアを集めていくことが、これからの「居場所ハウス」の課題となりそうです。

「まちの居場所」では主の存在が大切であること、なおかつ、主客の関係が柔軟であること。言葉だけを見れば両立することができないようにも受け取れますが、具体的な場所においては両立できる、それが写真のような光景に現れているのかもしれません。