『わたしの居場所、このまちの。:制度の外側と内側から見る第三の場所』(水曜社, 2021年)のご案内

暮らしの技術の継承

「居場所ハウス」では、昨年の12月から薪ストーブを使っており、日々、薪ストーブを囲んで話の花が咲いています。ある方は、「居場所ハウス」の煙突から立ち上る煙が自宅の窓から見えるようで、煙が見えたら「居場所ハウス」にやって来ると話されていました。

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薪ストーブを使うには、オープン前のやって来て、火をつけなければなりません。簡単なようで、なかなか難しいのが薪への火つけ。手慣れた人がやるとすぐに火がつくのですが、そうでない人がやるとなかなか火がつきません。高齢の方は、子どもの頃は家に薪ストーブがあったと話されますが、みなが火つけが得意なわけでもありません。

「居場所ハウス」では、ある男性が、毎日、朝早くからやって来て、薪ストーブに火をつけてくださっていますが、この男性に用事ができたため、何日間か、他の人が火つけの作業をせねばならなくなってしまいました。

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先日、この男性がいる時、「○○さん、火、燃すの、方法あるの? みんな○○さんが上手いって言うから」という話に。「薪を組んで、空間をあけて、空気を上にあげないといけない」と男性。薪ストーブの周りで、即席の「火つけ講習会」が始まりました。
写真のように、太い薪を両側に置いて、その上に細い木を並べ、下から新聞紙、落ち葉などで火をつけるとのこと。素人は、薪を並行にして、敷き詰めるように置くから、空気が通らず火がつきにくいとのことです。

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現在では、薪ストーブを使う機会はあまりないため、薪ストーブに火をつけるのが下手でも、生活に支障をきたすこともありません。薪ストーブに火をつける方法をわざわざ教わろうという気にはならず、その気になっても教わる機会がそうそうあるわけでもありません。しかし、災害などで電気やガスが使えなくなった場合には、薪ストーブに人つけることができるか、できないかは大きな違い。
こうした暮らしの技術を教えていただけるのも、みなが居合わせることのできる「居場所ハウス」があるからこそです。