『わたしの居場所、このまちの。:制度の外側と内側から見る第三の場所』(水曜社, 2021年)のご案内

「居場所ハウスのあゆみ」が完成しました

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大船渡市末崎町の「居場所ハウス」は2013年6月13日のオープンから2年が経過しました。また、「居場所ハウス」がオープンするまでに何度かのワークショップが開催されました。そして現在、「居場所ハウス」の周辺では災害公営住宅と防災集団移転による住宅の建設が進むなど、「居場所ハウス」を取り巻く環境は大きく変化します。

そこで、「居場所ハウス」のこれまでの活動記録をまとめた冊子を編集しました。この冊子が、「居場所ハウス」に込められた理念と2年間の歩みを共有し、今後の運営を考えていくためのきっかけになればと思います。詳細はこちらのページもご覧ください。完成した冊子は、「居場所ハウス」にて販売しています。

居場所ハウスのあゆみ 2012-2014

  • 発行:Ibasho
  • 発行年月日:2015年6月20日
  • ページ数:A4サイズ 176ページ(表紙:カラー・本文:モノクロ)
  • 値段:2,000円(居場所ハウスにて販売)

■編集後記
「居場所ハウス」はもうすぐオープンから2年を迎えます。日々記入してきたゲストブックの人数を数えると、来訪者数は延べで1万人を超えました。
この2年間を振り返ると、運営がいつも順調だったわけではありません。NPO法人が自立した組織としてなかなか活動できなかったり、当番をする人がいなかったり、行事を開催しても人が集まらなかったり、利用の仕方で揉めたりなど、様々なことがありました。こうした中、試行錯誤しながら運営を継続しているうちに、「居場所ハウス」の雰囲気がだんだん良くなってきました。個人的には、2014年3月の「ひな祭り」、2014年5月の「鯉のぼり祭り」が1つの転機だったと感じます。いずれも高齢者を中心とする「居場所ハウス」のメンバーが、若い世代のために何ができるかと考えながら企画し、開催したイベント。これらのイベントを通して「居場所ハウス」で自分たちの世代だけが楽しむのではなく、「居場所ハウス」を通して地域をより良くできるのだという意識が共有されていったと考えています。
2014年8月から農園(居場所農園)での農作業を、2015年10月から朝市をスタートさせました。そして、2015年5月からは屋外に建設した食堂(料理ハウス)の運営をスタートさせました。これらは商店や飲食店がほとんどないという地域の状況を考え、高齢者など地域の人々の暮らしをサポートするために、それと同時に「居場所ハウス」の運営基盤を確立するためのものです。地域の人々が、自分たちが楽しむためだけではなく、地域をより良くしていく当時者として役割を持てる場所が地域に生まれたこと。これが、「居場所ハウス」がもつ大きな意味です。

この冊子には2年間の「居場所ハウス」の歩みが詰まっています。この冊子を読んで「ああでもない、こうでもない」と議論したこと、朝早くからイベントの準備で忙しかったことを思い出す方もいるかもしれません。「居場所ハウス」で食べた料理やお菓子の味を思い出す方もいると思いますし、何気ない日常のちょっとした出来事を思い出す方もいると思います。今まであまり馴染みがなかった方にとっては、「居場所ハウス」をより知ってもらうためのきっかけになると思います。「居場所ハウス」では、これからも運営の課題や、メンバーの意見の対立が生じることがあると思います。そんな時にこそ、原点に立ち返ること、これまでの歩みを振り返ることが大切です。「はじめに」で書いたことの繰り返しとなりますが、この冊子が「居場所ハウス」が生まれた理念とオープンから歩みを共有し、今後の運営の可能性を探るきっかけになれば幸いです。

加えて、「居場所ハウス」はオープン以来、国内・国外からの多くの方々の協力を受けてきました。「居場所ハウス」でイベントを開いてくださった方、各地の特産品を届けてくださった方、遠くから足を運んでくださった方、寄付をしてくださった方。この冊子が、これまでに「居場所ハウス」を応援し、見守ってくださった多くの方々に、2年間の歩みをお伝えするきっかけになればと思います。