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Ibashoフィリピンの拠点建設に向けて

2018年2月18日(日)~2月22日(木)までフィリピン・オルモック市のバゴング・ブハイ(Barangay Bagong Buhay)を訪問しました。バゴング・ブハイは、オルモック市に110あるバランガイ(Barangay)の1つで、オルモックの中心部から北西に車で10分ほど走ったところに位置しています。バランガイとはフィリピンにおける行政の最小単位のこと。
バゴング・ブハイでは2015年からワシントンDCの非営利法人・Ibashoの働きかけにより、高齢者を中心とする住民が中心となってプロジェクトが進められています。拠点となる建物はまだありませんが、できる範囲での活動を行うということで、ペットボトルのリサイクル、農園、モバイル・カフェなどの活動が行われてきました。

Ibashoプロジェクトの拠点については、2016年11月の訪問時にワークショップを行い、どのように運営するか、どのような空間にするかについてメンバーと意見交換。バランガイの中心にはバランガイ・ホール、チャペル、バスケットボール・コートがセットになっています。Ibashoの拠点を建設する敷地はバスケットボール・コート脇の空間。また、建物は行政からの補助を受けずに建設することも決まりました。

今回の訪問の目的の1つは、拠点となる建物を建設するか否かについて、Ibashoプロジェクトに参加するメンバーの意思を確認すること。プロジェクトのきっかけは、ワシントンDCのIbashoが作ったと言えますが、プロジェクト自体はあくまでもバゴング・ブハイの人々のもの。2月20日(火)のミーティングでは、

  • ワシントンDCのIbashoのプロジェクトではなく、バゴング・ブハイの人々のプロジェクトであること
  • バゴング・ブハイの人々が、プロジェクトの拠点を必要としているかどうか
  • 拠点を建設する場合には、バゴング・ブハイの人々が手続き、施工プロセス、そして、竣工後の運営に主体的に関わること
  • 大きな建物を建てる十分な資金はないため、まずは小さな建物を建て、必要があれば徐々に増築していくこと

などについて意見交換をし、意思の確認をしました。

ミーティングに参加したメンバーからは、拠点となる建物を建設したいという意見。バゴング・ブハイには多様なスキルをもつ高齢者がおり、そのような人々が日常的に出入りできる場所が必要だとの意見。

建物を建設するためには図面を描いたり、建設コストの見積もりをしたり、土地所有者(バランガイ)の許可を得たりする必要があります。2月22日(木)のミーティングでは、建物の建設手続きについて確認。必要な手続きを模造紙に書きあげた後、それぞれの項目ごとの担当者を決めていきました。
この日のミーティングは、それぞれの手続きの担当者を決めて終わりましたが、その後伺った話では、プロジェクトのメンバーは図面を描くエンジニアと意見交換したり、市役所を訪問するなど既に手続きを始めているということです。

地域の人々が主体となって、自分たちが住む地域のプロジェクトに参加すること。これは簡単なようで、非常に難しいことです。フィリピンに限らず日本においても、「住民に主体的にプロジェクトに関わってもらうにはどうすればよいか」がしばしば課題とされます。
それに対して、バゴング・ブハイでのIbashoプロジェクトには、高齢者を中心とする地域の人々が主体的に拠点を建設するプロセスに関わっている。その理由として、次の2つをあげることができると考えています。

  • 1点目は、取り組んでいる内容が、拠点を建設するという具体的な内容、地域にとって意味ある内容であること。
  • 2点目は、ワシントンDCのIbashoとバゴング・ブハイの人々の間で信頼関係が築かれていること。

2点目について、フィリピンにお住いの方から次のような話を伺いました。特に台風ヨランダの後、国際NGOなど多くの団体がやって来た。その中には被災地の様子を写真に撮って帰った団体もある。地域の人々は、そのような団体のことを信頼することができない。ワシントンDCのIbashoは何度も現地を訪問し、時間をかけて関係を築いてきた。互いに信頼できる関係が築かれていることは重要なことだと。