『わたしの居場所、このまちの。:制度の外側と内側から見る第三の場所』(水曜社, 2021年)のご案内

デジタル公民館けせんの広域お茶っこ会@陸前高田市広田町の長洞元気村

2019年12月8日(日)、陸前高田市広田町の長洞元気村で、第2回目の「デジタル公民館けせん」の広域お茶っこ会が開催され、50人ほどが参加しました。

「デジタル公民館」の活動は、昨年まで「デジタル公民館まっさき」として、大船渡市末崎町にて個々の活動、及び、東京から定期的に訪問される方々による活動へのサポートが行われてきました。今年度から、これまで個々に行われてきた活動相互の連携をはかることを目的として、「デジタル公民館けせん」と名称を変えての活動となりました。

この日、「デジタル公民館」を立ち上げた一般財団法人高度映像情報センター(AVCC)の方から、改めて「デジタル公民館」の活動が始まった経緯が紹介されました。
昭和30年代、公民館や小学校の校庭で映画の上映会が行われており、AVCCの前進となる組織も上映に携わっていた。当時上映されていた映画に「結核の生態」というものがある。結核で亡くなる人が多かったという当時の状況を受け、結核のこととその予防方法を伝える目的で上映されていた。その後、石鹸での手洗いなどライフスタイルが変わっていったのに伴い、結核で亡くなる人は少なくなっていった。

東日本大震災の後、気仙地域に来て驚いたのは、インターネットのためのインフラがなかったこと。昭和30年代には映画がライフスタイルを変えていったように、現在ではインターネットがライフスタイルを変えており、インターネットを使えばより便利に、より豊かに暮らすことができる。けれども、そのインターネットを使うためのインフラが全くなかった。
また、学校でも教わらないし、社会教育も衰退しつつあるため、インターネットの使い方を教わる機会もない。都会にいれば、周りにいる同じ職場の若い人に使い方を聞くこともできる。それでは、高齢者ばかりの地域では、誰にインターネットのことを聞けばいいのか。

こうしたことが背景となり、都会から定期的に訪れて、インターネットを理解し、インターネットを使える人を増やすことを目的として、「デジタル公民館」の活動をスタートさせた。このような話を伺いました。


広域お茶っこ会の会場は、長洞元気村の集会スペースです。
東日本大震災で、2階の鴨居まで津波に浸かったが、住宅自体は流されることはなかったと伺いました。集会スペースの向かいには、長洞元気村で活動する女性グループ「なでしこ会」の工房である「なでしこ工房」があります。「なでしこ工房」の向こうには田んぼが広がり、さらに、その向こうに防潮堤が見えます。

長洞元気村では、東日本大震災の教訓と地域の資源を活かした「防災教育+観光ビジネス」が行われており、例えば、国内外からの人々を受け入れた防災ワークショップ、子どもを対象とするカマドによる炊き出し訓練、支援会員による年4回への「長洞元気便」の発送など多彩な活動が行われています。「長洞元気便」には、「なでしこ会」のメンバーが作った季節ごとの特産品が入っています。
長洞元気村の活動は、「高齢者が好齢者になる好齢ビジネス」、「高齢者の居場所と出番をつくり生きがいを創出」という表現でも紹介されていました。

広域お茶っこ会では、長洞元気村に加えて、「デジタル公民館けせん」に参加する気仙大工茶館伝承館、末崎地区公民館、末崎地区公民館でのパソコン・スマートフォン教室、どこ竹三鷹inまっさき、碁石地区まちづくり協議会浜の停車場プロジェクト、居場所ハウス、田ノ頭オレンジカフェのメンバーからの活動の近況報告がありました。また、ドローンによる気仙地域の空撮動画の紹介もありました。

最後のお茶っこの時間には、「なでしこ会」のメンバーの手作りのゆべし、ようかん、ホタテのアヒージョ入りのパスタなどをいただきました。