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スペイン・ビルバオのスビスリ橋:人々が行き交う場所

スペイン・ビルバオでスビスリ橋(Zubizuri)という魅力的な場所を訪れました。設計は、スペイン出身の構造家・建築家のサンティアゴ・カラトラバ(Santiago Calatrava)。ニューヨークのワールド・トレード・センター・トランスポーテーション・ハブの設計者でもあります。

スビスリ橋は、ネルビオン川(Nervión River)にかかる橋で、橋のすぐ脇にはトラムのルビタルテ(Uribitarte)駅。ネルビオン川を北東に向かって数分歩けば、建築家、フランク・O・ゲーリー(Frank Owen Gehry)が設計したビルバオ・グッゲンハイム美術館(Guggenheim Museum Bilbao)があります。

スビスリ橋がなぜ魅力的な場所のか*1)。多くの人が指摘するように、構造・形態の美しさが大きく影響しているのは当然ですが、次の2つも重要だと感じました。

1つは、周辺との連続。橋自体の構造・形態が美しくても、周りが歩きたいと思えない環境であれば橋の魅力も半減してしまいます。
ネルビオン川の両岸は遊歩道として整備されています。多くの人が歩いていましたが、特に印象に残ったのは高齢の人も歩いていること。手を繋いで、あるいは、腕を組んで歩いている高齢のカップルも何度も見かけました。

スビスリ橋の南には、建築家の磯崎新とイニャキ・アウレコエチェア(Inak iAurrekoetxea)が設計したイソザキ・アテア(Isozaki Atea/磯崎ゲート)と呼ばれる高層のツインタワーがあります。スビスリ橋はツインタワーの間にもうけられた広場につながっており*2)、広場の階段をあがって真っ直ぐ歩いたところには、ビルバオの中心であるアバンド(Abando)の円形の広場があります。

もう1つは、スビスリ橋を行き交う人々を眺めることができること*3)。中には、途中でたたずみ景色を眺めている人も。歩行面が薄いため歩いている人が周りから見えやすいという理由もありますし、白い吊りケーブルがトンネルのようになっており、中を歩く人が浮かび上がって見えるという理由もあるのではないかと思いました。夜になるとスビスリ橋がライトアップされるため、白くて細い吊りケーブルで作られたトンネルと、そこを歩く人が一層浮かび上がります。

スビスリ橋を歩く人々。ネルビオン川沿いの遊歩道を歩く人。イソザキ・アテアの広場の方に向かって歩いていく人/広場から歩いてくる人。様々な属性の人が、様々な高さのところを、様々な方向に歩いている。単に橋を渡るというだけでなく、行き交う人々を眺めることができる場所であることも、スビスリ橋の大きな魅力だと感じました。


■注

  • 1)スビスリ橋に対しては、歩行面のガラス製のタイルが滑りやすいという批判があったようだが、現在は、黒いマットを敷くという対応がされている。
  • 2)ビルバオ市が承認したスビスリ橋とイソザキ・アテアを結ぶ歩道の建設によって、スビスリ橋の手すりの一部が撤去された。これに対して、サンティアゴ・カラトラバは知的財産権を侵害しているとビルバオ市を訴えるという出来事が発生している。詳細はWikipediaの「スビスリ橋」のページを参照。
  • 3)行き交うについては、こちらの記事を参照。