スペインのバルセロナを歩いて印象的に残っているのは、屋外のいたるところに座れる場所があること。
交差点や車道を広場(Square)など歩行者のための場所に変えるスーパーブロックや、レセップス広場について紹介しましたが、他にも広場や歩道などいたるところで座れる場所を見かけました。中には飲食店の屋外席もありますが、無料で座れる場所も多い。座れる場所が少ないと言われることのある日本と比べた時、このようなバルセロナの光景が余計に印象に残っています。
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(スーパーブロック・プロジェクトで生まれた広場(Square))
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(レセップス広場)
バルセロナ中心部からやや北に位置するグラシア地区(Gràcia)で見かけた場所をいくつかご紹介します。
道路の歩道部分にはベンチが多数置かれています。歩道が広くとられ、樹木を囲むようにベンチが置かれた場所も見かけました。
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(歩道部分に置かれたベンチ)
公園、教会前の小さな広場にも座れる場所があります。
歩道にもうけられた飲食店の屋外席に座っている人も多数見かけました。特にビールやワインなどの飲物だけ飲んでいる人が多いこと、1人でテーブルに座っている人がいることが印象に残っています。
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(歩道に出された飲食店の屋外席)
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(公園に置かれたベンチ)
グラシア地区にある広場(Plaça del Sol de Gràcia)を土曜の14時半頃通りかかったところ、バルやカフェテリアの屋外席がもうけられ、飲食している人、遊んでいる子ども、音楽を演奏している人、立ち話をしている人など多くの人が過ごしており、魅力的な広場だと感じました。
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(Plaça del Sol de Gràcia)
グラシア地区では多くの座れる場所を見かけましたが、特に印象に残っている場所が2つがあります。
1つは、地下鉄(Metro)6・7号線のグラシア(Gràcia)駅の上にある細長い広場(Plaça de Gal·la Placídi)。広場の中央には卓球台、球型のオブジェがあります。広場の東側は飲食店があり、飲食店の屋外席も出されています。卓球をしたり球型のオブジェに座ったりしている子どもや若者、ベンチに座っている高齢の人、飲食店の屋外席で飲食する人。多様な世代の人々が過ごしていました。
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(Plaça de Gal·la Placídi)
もう1つは、グラン・デ・グラシア通り(Carrer Gran de Gràcia)。アントニ・ガウディ(Antoni Gaudí i Cornet:1852~1926年)が設計したカサ・バトリョ(Casa Batlló)、カサ・ミラ(Casa Milà)のあるグラシア通り(Passeig de Gràcia)から北に続く通りで、通りの両側に飲食店や店舗が並んでいます。土曜・日曜に通りかかった時には車両通行止めにされていました。
車両通行止めになっていること自体は珍しいわけではありませんが、ベビーカーを押した人、子ども連れの人、若者、高齢の人と多様な世代の人々が歩いていたことは印象に残っています。屋外のいたるところに座れる場所がある都市とは、歩きやすい、歩いて楽しい都市ということではないかと思います。
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(車両通行止めにされたグラン・デ・グラシア通り)
ベビーカーを押した若い世代の人々がお酒を楽しんでいる。高齢のカップルが手をつないだり、腕を組んだりして歩いている。世代によって暮らしている場所が分離されているのではなく、世代に関わらず同じ広場で過ごしたり、同じ通りを歩いたりできること。世代に関わらず都市を楽しむことができること。これが都市の大きな魅力です。