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新千里北町・畑のある交流サロンで暮らしの思い出をインタビュー

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2015年12月16日(水)、千里ニュータウン研究・情報センターのメンバーで北丘小学校内の「畑のある交流サロン@kitamachi」(コミュニティ・ルーム)を伺い、地域での暮らしの思い出を聞かせていただきました。思い出を聞かせてくださったのは「畑のある交流サロン@kitamachi」のメンバーら9人の住民の方々です。

昔のことを思い出すきっかけにするため、室内には地図や昔の写真などを掲載した「大きな本」を何冊か展示。「大きな本」を見てもらいながら話を伺っていきました。

この日は、地域での暮らしの思い出をお聞きするのが目的でしたが、思い出だけにとどまらない様々なことを伺うことができました。

話を聞かせてくださった方の中で、何人かは新千里北町に40〜50年お住まいの方もいれば、平成になってから、あるいは、数年前に越してこられた方もいました。お住まいも、公社住宅(A棟)、府営住宅(B棟)、公団(現在はUR・C棟)、戸建て住宅と様々。今回、多様な方々が来てくださったことからは、「畑のある交流サロン@kitamachi」が多様な人々が出入りする場所になっていることが伺えます。数年前に新千里北町に越してきたという女性は、「畑のある交流サロン@kitamachi」に来て知り合いができたと話されていました。「畑のある交流サロン@kitamachi」が、多様な人々が出入りし、人々関係が築かれる場所になっていることの背景には、会議をするだけでなく、野菜作りという具体的であり、かつ継続的な作業をすることができるという点が重要だと思います。

話を伺って気づいたことの1つは、同じ新千里北町に住んでいると言っても、住区内の全てをご存じの方ばかりではないということ。例えば、府営住宅方は、公社住宅の方に対して、公社住宅は全部で何戸ありますか? 建替の計画はりますか? という聞いておられました。今回のように暮らしの思い出を伺う場をもうけることは、結果として、地域の方がお互いのこと、地域のことを知るきっかけになると感じました。

先日は、もちろん地域での暮らしの思い出について貴重な話を聞かせていただきました。府営住宅の方からは、昔、玄関の鍵をなくしたことを警察に伝えたら、警察の人が2階までベランダをよじ登り、部屋の中から鍵を開けてくれたという微笑ましい話も。また、何人かは近隣センターにかつてあった市場にまつわる話をしてくださった方もおり、近隣センターが暮らしの中心であったことも伺えました。

自然環境にまつわる話が出てきたことも印象的でした。これまでも千里にお住まいの方に何度か話を伺ってきましたが、今回ほど自然環境についての話が出てくることはなかったように思います。「畑のある交流サロン@kitamachi」で野菜作りに関わっている方々なので、自然環境に関心をもつ方が多いという理由もあるかもしれません。昔も今も変わらないのは、鳥の声で目が覚めることだという話。春は桜、夏は蝉、秋は紅葉というように四季が感じられるという話。昔は千里緑地につくしを採りに行ったという話。新千里北町の第一印象は、緑が多い町だと思ったという話。
このように自然環境にまつわる話が出された一方で、ライフサイエンスセンターからの夜景が好き、幅の広い道路を車が走り抜ける樫ノ木橋からの眺めが好きという発言もあり、豊かな自然環境と近代的なものが共存するのが新千里北町なのかもしれないと感じました。

ここに紹介した以外でも、「畑のある交流サロン@kitamachi」では貴重な話をたくさん聞かせていただきました。聞かせていただいた話は、今後ご紹介させていただきたいと考えています。
なお、新千里北町の府営住宅では、建て替えの計画が進められています。これまで地域に蓄積されてきた歴史や思い出を、建て替え後の暮らしにどう継承していけばよいか? 千里ニュータウン研究・情報センターでも何らかのお手伝いができればと考えています。

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