先日ご紹介したネパールのソーシャル・ベンチャー「Bihani」の方が、マタティルタという村を案内してくださいました。
マタティルタはネパールの首都カトマンズから西に10数kmのところにある村。
マタティルタ(Matatirtha)という村名は「母」を意味する「Mata」と、「神聖な場所」を意味する「tirtha」という2つのサンスクリット語に由来します(Wikipediaより)。
村にある寺院(Matatirtha Temple)には、村名の由来となっている母の像をまつる神聖な池があり、毎年、母の日にはみなここで水浴びをするという話です。水が湧いているところで洗濯をしている人がいたり、水浴びにきた子どもや若者がいたりと、多世代の人々が集まっているのを見かけました。
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マタティルタでは女性グループが活発に活動されているようで、例えば高齢者住宅でのボランティアをされているとのこと。訪れた際には女性グループは道路の補修工事をしているのを見かけました。
さらに、村内には集まる場所がないからと、女性グループが村にかけあって土地を提供してもらい、女性が自分たちでレンガを積んで作った建物もあります。お金がないので少しずつ作ってきた建物。まだ建設中のため、建物の前にはレンガが積まれていました。昨年の大震災の後にはこの建物で過ごした方もいたと聞きました。
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後日、別の方から聞いた話ですが、マタティルタに限らず、ネパールでは中東の国々の建設現場などへ出稼ぎに行っている男性が多いので、村には男性が少ないとのこと。この話を聞いてマタティルタを振り返ってみると、確かに見かけたのは女性と、子ども・若者の男性、高齢の男性だけで、間の年代の男性は見かけなかったように思います。
「Bihani」の方がマタティルタを案内してくださったのは、「Ibasho」と「Bihani」が連携することで、村の方々に対して何らかのサポートが可能かどうかを確認するため。今回、村を訪問させていただいたので、今後、やりとりしながらどのような可能性があるかを考えるという話となりました。
その際、女性が自分たちで大切に作ってこられた建物も上手く活用できたらいいねという話となっています。建築に関しては素人の女性たちが作った建物なので、構造的には問題ないのだろうかと(昨年の大震災で倒壊することはなかったようですが)。
ただし印象に残っているのは、「Bihani」の方の話では、専門家にこの建物のアセスメントを依頼することはできるが、アセスメントの結果、地元の人には手に入らないような高価な、特殊な材料を使うことを提案されるのであれば意味がないという話です。
確かにお金をかければよい建物に生まれ変わるかもしれません。けれど、高価な、特殊な材料を使わなければならないことは持続可能ではない。お金をかけるのではなく、地元の人でも手に入る材料を使って、地元の人にでも可能なやり方で、この建物をちょっと良くするための知恵が求められているのだと思います。
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- ここで紹介しているマタティルタ村(Matatirtha)は、マタティルタ寺院(Matatirtha Temple)周辺地域の呼称。行政区としては、第三州(Province No. 3)・カトマンズ群(Kathmandu District)・チャンドラギリ市(Chandragiri Municipality)内のWard 6に所属している。近年、Wardの区画が変更しており、以前はWard 9に所属していた。
- チャンドラギリ市(Chandragiri Municipality)は2014年12月2日に設立。チャンドラギリ市設立前、ここで紹介しているマタティルタ村(Matatirtha)は、Mahadevsthan村開発委員会(Mahadevsthan Village Development Committee)に所属していた。現在、Mahadevsthan村開発委員会(Mahadevsthan Village Development Committee)はチャンドラギリ市(Chandragiri Municipality)のWard 5・6・7となっている。
- Mahadevsthan村開発委員会(Mahadevsthan Village Development Committee)の東に隣接してマタティルタ村開発委員会(Matatirtha Village Development Committee、現在のWard 8)があるが、ここで紹介しているマタティルタ村とは別の地域である。
(更新:2019年4月16日)