『わたしの居場所、このまちの。:制度の外側と内側から見る第三の場所』(水曜社, 2021年)のご案内

カエル塾@気仙沼市唐桑町

先日、気仙沼市唐桑町にある「カエル塾」を初めて訪問させていただきました。
東日本大震災後、多くのボランティアが身を置き、また、多くの見学・視察者が立ち寄ってきた場所で、訪れた人の数は述べにして1万人以上ではないかという話でした。

元々、「カエル塾」の隣には母屋があり、「カエル塾」の建物は納屋(兼・子どもの勉強部屋)として利用されていたもの。東日本大震災の津波により母屋、納屋とも浸水しましたが、母屋、納屋とも残りました。
「カエル塾」の壁にはカエルの絵が描かれていますが、壁画の水面の高さ(1階と2階の間くらい)まで津波がきたとのことです。
震災の後、家主の方は母屋をボランティアに提供した後、自身は納屋に身を置いておられたようですが、母屋に滞在していたボランティアを納屋に招いての関わりが次第に始まっていった。そうした関わりを通して「カエル塾」が生まれていったと伺いました。母屋を取り壊し、自身は仮設住宅に入居した後も、「カエル塾」の2階はボランティアらが宿泊する場所として無料で開放されています。
「カエル塾」壁や天井には、これまでボランティアに来られた方々のメッセージがびっしりと貼られており、「カエル塾」が歩んできた歴史を感じさせられました。

東日本大震災からおよそ6年半が経過していますが、かつてボランティアをしていた人がリピーターとして再訪したり、被災地の見学・視察者が立ち寄ったりと、今でも人の訪れが途切れることはない。名前の通り、唐桑町に帰ってくるための場所であり、唐桑町のことを学ぶための場所であり続けています。

「カエル塾」の前には井戸があり、震災直後はこの井戸に助けられたとのこと。「カエル塾」の横には坂道があり、昔、井戸から汲み上げた水をこの坂道を通って集落に運んでいたことから、「井戸坂」と呼ばれていたとのこと。「井戸坂」は家主の方が歩きやすいようにと、ボランティアの方が階段をつけてくれたという話も伺いました。