『わたしの居場所、このまちの。:制度の外側と内側から見る第三の場所』(水曜社, 2021年)のご案内

居場所ハウスの椿の殻むき:高齢者による地元産業への関与

岩手県大船渡市は、藪椿が自生する太平洋岸の北限の地。大船渡市では椿の種を地域資源とし、これを活用した産業を創出する事業が進められています。
かつて、地域では椿油をけんちん汁などの食用や、髪用として利用されてきましたが、最近では次第に使われなくなってきたとのこと。この事業では椿油を、化粧品、お菓子の材料などの製品としても活用することが考えられています。

これまでも「居場所ハウス」は、椿の種の殻むき作業を受託してきましたが、今年は殻むきに加えて、椿の種の指定回収場所としてもこの事業に参加しています。


この日もスタッフ、来訪者を含めて何人かが椿の種の殻むきの作業をする光景が見られました。作業はテーブルに座って行われますが、そうすると自然と会話が生まれてきます。この点で、椿の種の殻むきはよいコミュニケーションの機会を生み出していると言えます。また、何か意味ある作業、誰かの作業に役立てる実感を得られる機会にもなっていると思います。そして、「居場所ハウス」にとっては運営を支える貴重な収入源にもなります。

殻をむいた椿の種は、非加熱で搾油するため透明な椿油をとることができます(※殻を剥かない場合は、蒸してから搾油するため黄色い椿油になる)。
この透明な椿油から作られたのが、三面椿舎による「純粋やぶ椿油」(無香・クロモジ香)で、10月26〜27日に開催された「第39回大船渡産業まつり」でも販売されたとのこと。今後この「純粋やぶ椿油」は東京のデパート、あるいは、海外での販売が考えられているとのことです。