『わたしの居場所、このまちの。:制度の外側と内側から見る第三の場所』(水曜社, 2021年)のご案内

居場所ハウスと公民館・集会所との違い

「居場所ハウス」では時々、同級会としての食事会が開かれます。今月も2回の同級会が開かれました。
12月7日(金)の同級会には13人が参加。12月12日(水)の同級会は大船渡市の立根町出身の方の同級会で10人が参加。いずれの同級会にも、「居場所ハウス」のスタッフや、様々な活動に参加されている方がメンバーになっており、食事会を楽しんでおられました。

「居場所ハウス」は時々、公民館や集会所と比較されることがありますが、食事会が開かれることに、両者の違いが現れています。

1つは、「居場所ハウス」は日常的な場所であること。
公民館・集会所は普段は鍵がかかっており、予定がある時だけ利用する場所。そのため食事会をする場合は鍵の開け閉め、食事の準備、後片付けまで全て自分たちでする必要があります。
それに対して、「居場所ハウス」はカフェ・食堂を運営しているので、食事や飲み物を注文することができる。このことは食事会を開くためのハードルを下げていることになると思います。

もう1つは、「居場所ハウス」は地縁をベースにした場所ではないこと。
公民館・集会所は地縁に基づいた場所であり、そこで対象とされているのは、基本的にはその地域に住んでいる人(末崎地区公民館「ふるさとセンター」なら末崎町民、末崎町内にある平公民館なら平地域の住民と地縁の広さは異なりますが、地縁に基づいていることに変わりはありません)。そのため、全員が同じ地域に住んでいる場合には利用しやすい反面、上で紹介した同級会のように、参加者が住んでいる地域がバラバラの場合は利用しにくくなります。
「居場所ハウス」は末崎町民が運営する、末崎町のための場所であり、実際に訪れるのも末崎町民が多いですが、地縁に基づいた場所ではないため、地縁によって利用が制限されることはありません。

この2点が、「居場所ハウス」と公民館・集会所との違いです。
また、1点目の日常的な場所であることに付随して、次のような機会が生まれます。つまり、「居場所ハウス」は食事会けで貸切利用するのではありません。運営に関わるスタッフがいたり、他に過ごしている人がいたりと、様々な人が居合わせる場所。そのため、そのため食事会に参加している人が、他の人と偶然顔を合わせることもある。実際、上で紹介した同級会でも、たまたま居合わせた人と話をしている光景が見られました。

「居場所ハウス」と公民館・集会所とは違う場所であること。もちろん、両者のどちらが優れているという話ではなく、性質の違う場所が地域に存在している、ということが重要なのだと思います。