イギリスでは33のニュータウンが開発されましたが、スティヴネイジ(スティーブニッジ、スティーヴニジ、スティーブネッジ、スティブネイジと表記されることもある。英語はStevenage)はその中で最初にニュータウンに指定されました。ニュータウン指定は1946年11月11日。ちなみに、2番目がクローリー(Crawley・1947年1月9日指定)、3番目がハーロウ(Harlow・1947年3月25日)となっています。
日本のニュータウンが大都市に通勤する人々のベッドタウン・郊外住宅地という性格をもつのに対して、イギリスのニュータウンは仕事場ももつ職住近接の自立した小都市として計画されています。
スティブネイジはロンドンの北、約55kmに位置し、面積は25.3km2、計画人口は6万人。ただし、1966年には計画人口が10万5千人に見直されています。2007年の人口は84,651人、2014年の人口は85,997人と今でも徐々にではありますが人口は増加し続けていることがわかります。
*計画人口での人口密度を比較すると、スティヴネイジは計画人口6万人、面積25.3km2なので約2,370人/km2(計画人口10万5千人で計算すると約4,150人/km2)。それに対して千里ニュータウンは計画人口15万人、面積は11.6km2なので約12,900人/km2。千里ニュータウンに比べて、スティヴネイジはゆったりと計画されていることがわかります。
2010年5月にスティヴネイジを訪問する機会がありましたので、その様子をご紹介させていただきます。
スティヴネイジ駅
スティヴネイジに行くには、ロンドンのターミナル駅の1つ、キングス・クロス駅から発車する列車に乗ります。キングス・クロス駅からは列車で25分弱。なお、スティヴネイジからそのまま列車に乗れば、エベネザー・ハワードによる2つの田園都市、レッチワース(ロンドンの北方55km)とウェリン・ガーデンシティ(ロンドンの北方35km)に行くことができます。
タウンセンター
スティヴネイジ駅のすぐ東側にはタウンセンターがあります。ハーロウのタウンセンターが駅から少し距離が離れているのとは対象的。スティヴネイジ駅からタウンセンターまでは歩道橋。歩道橋は、大きく「STEVENAGE ARTS & LEISURE CENTRE」と書かれた建物を通り抜けています。
タウンセンターには店舗が並んでおり、訪れた時は買い物客で賑わっていました。帰りに通りかかった時、中心にある広場では何かのイベントが行われていたようで、踊っている人の姿も。
広場にあるモニュメントは、モニュメントに設置されたパネルには、1959年4月20日の日付。この日、エリザベス二世がタウンセンターの第一期の完成と、タウンセンター内の通りがクイーンウェイ(Queensway)と名付けられたことを記念し、スティヴネイジを訪問されたとのこと。パネルはこれを記念して公開されたもの。なお、クイーンウェイというのはタウンセンターの中心部を南北に走る通りのことです。
タウセンター・ガーデンズ
タウンセンターの東側、大通り(St.Geroges Way)をくぐり抜けたところには大きな公園、タウセンター・ガーデン(Town Centre Gardens)。芝生の広場、池、遊歩道があり、散歩したり、子どもを遊ばせたりする人たちの姿。
駅からタウンセンターまでの歩道橋、タウンセンターから公園までの地下道というように、大きな通りを人が横切ることがないよう歩車分離がなされていることがわかります。
なお、タウセンター・ガーデンズの南側にはスティヴネイジの歴史を展示するミュージアム(Stevenage Museum)があります。
スティヴネイジの街並み
スティブネイジの開発にあたっては、クラレンス・A・ペリーの近隣住区論が取り入れられています。タウセンター・ガーデンズからカティーズ・レーン(Cuttys Ln)、ベッドウェル・クレセント(Bedwell Cres)と歩いて、ベッドウェル(Bedwell)の近隣センターに向かいました。
住宅は、タウンセンターの近くでは15階ほどの高層の住棟を見かけましたが、その他の部分に建っているのは2階建ての連続住宅が大半です。空が広く感じられます。
ベッドウェルの近隣センターは駐車場を囲むように店舗が建ち並んでいます。