イギリスでは1946年にニュータウン法が制定され、ニュータウン建設が進められていくことになります。
グレンロセス(Glenrothes。グレンローゼスと表記されることもあるは、イギリスにおける第1期のニュータウンの1つで、1948年にニュータウンとして指定。スティヴネイジ、クローリー、ハーロウ、ハットフィールドといった第1期のニュータウンがロンドン周辺に建設されたのに対して、グレンロセスはスコットランド地方に建設されました。
グレンロセスの計画、管理、促進のためグレンロセス開発公社(GDC=Glenrothes Development Corporation)が設立。グ当初の計画人口は32,000〜36,000人。当初はMarkrichを中心とする計画でしたが、村のインフラはニュータウンの持続的な成長に耐え得るものでなく、また、村からの反対も起こりました。Leslie、Thorntonの可能性も検討され、結果として、これらの村の間の5,320エーカー(2,153ha)の土地がニュータウンとして開発されることになりました。
レンロセスは当初、新たに開発された炭鉱「Rothes Colliery」の鉱夫のための住宅にすることを目的として開発されました。炭鉱が閉鎖された後、1961〜2000年の間、シリコングレンの重要な産業センターとして発展、いくつかの主要なエレクトロニクスとハイテク企業がグレンロセス内に施設をもうけました。1995年、グレンロセス開発公社(GDC)は解散し、ファイフ・カウンシルがその役割を継ぐことになります。
グレンロセスは園芸、アートでも有名な街です。グレンロセスは、2011年、自治体単位で応募する園芸競技会である王立園芸協会の「ブリテン・イン・ブルーム(大都市部門)を受賞するなど、園芸の分野で度々受賞しています。グレンロセスには数々の屋外彫刻やアーチ作品がありますが、これはニュータウン開発初期のタウン・アーティスト任命によるもの。2011年、「Historic Scotland」はアート作品のアセスメントを行い、最終的に街中に散らばる数々のアート作品に受賞リストのステータスを付与。「Historic Scotland」は、アートが場所の感覚を創造するための重要な要素なるという点で、グレンロセスが果たす重要な役割を積極的に評価しています*1)。
2010年5月にグレンロセスを訪れる機会がありましたので、街の様子をご紹介します。
キングダム・ショッピングセンター(Kingdom Shopping Centre)
グレンロセスは、街の中心部の大部分がキングダム・ショッピングセンター内にあるというユニークな街。
キングダム・ショッピングセンターは1963年にオープン。ファイフ(Fife)における最大の屋内ショッピングセンターであり、スコットランドにおける最大の1階建のショッピングセンター。床面積は約40,000㎡、駐車台数は1,500台に及びます。
キングダム・ショッピングセンターにはファイフで最高レベルの来訪者数があり、現在は100以上の店舗に加えて、カフェ、中央図書館、劇場・市民センターの「Rothes Halls」などが入っています。
グレンロセスのセンターは当初、スティヴネイジ、グラックネルのセンターと同じく、イギリスのニュータウンの原則に基づいて建設されています。それは、歩車分離がなされたショッピング・ストリートと四角い広場(Square)から構成されるというもの。
キングダム・ショッピングセンターの第一段階は、大きく近代的な歩行者専用の広場(Square)として建設され、大きなガラス張りの屋根、近代的な噴水がデザインの特徴として取り入れられました。しかし、メイン広場のガラス屋根から水が漏れる、噴水が壊される、開放されたエントランスが風洞効果をもたらすなど、第一段階のデザインは様々な問題をもたらすことになります。1976年、ガラス張りの屋根、噴水、広場を覆う屋根を取り除くことが決定されることになります。1982年から第三段階の建設がスタートし、ドーム型の屋根を持つユニコーン・スクエアはこの時期に建設されたもの。この時期、センターはさらに西に拡張することになります。第四段階はニュータウン開発の最後の主要なプロジェクトであり、中央政府からの部分的な資金提供を得て進められました。中央図書館、「Rothes Halls」はこの時に建設されたものです。第四段階の主な特徴は、ピラミッド型のガラス屋根、三角形の吊り下げられた時計、特徴的な円形のデザイン、Alfrescoスタイルのカフェのある「Rothes Square」です*2)。
グレンロセスを訪問したのは平日の昼間でしたが、キングダム・ショッピングセンターには非常に多くの人が訪れていました。
グレンロセスの街並み
グレンロセスでは、通過交通のための幹線道路を住区を囲むように配置するグリッド型のスーパーブロック方式が採用されており、幹線道路が交差する部分はラウンドアバウトになっています。
キングダム・ショッピングセンターの南側の住区を歩きました。キングダム・ショッピングセンターの近くには高層の住棟もありましたが、それ以外の部分は2階建の連続住宅が大半。住棟間も広く、広々とした雰囲気の住区でした。
キングダム・ショッピングセンターの近くには教会もありました。
注
- *1)Wikipedia「Glenrothes」のページより。なお、シリコングレン(Silicon Glen)は「イギリスのスコットランドにおける情報技術産業の集積地の愛称。スコットランド中部に位置する三つの都市、ダンディー、インヴァークライド、エディンバラを結ぶ三角形の地域を指し、ファイフ、グラスゴー、スターリングといった都市が含まれている」(Wikipedia「シリコングレン」のページより)。
- *2)Wikipedia「Kingdom Shopping Centre」のページより。
(更新:2018年11月2日)