『わたしの居場所、このまちの。:制度の外側と内側から見る第三の場所』(水曜社, 2021年)のご案内

上海の1933老場坊:屠殺場をリノベーションした場所

2001年9月に上海を訪れた際、虹口区にある1933老場坊(1933 Laoyangfang)というアート、ショッピングの場所を訪れました。

屠殺場(Slaughterhouse)だった建物がリノベーションされた場所です。建物はイギリスの建築家、Balfoursにより設計され、1993年11月に完成。1934年1月から屠殺場としての利用が開始されています。
その後、屠殺場は1937年8月に日本軍に押収され、国営の屠殺場に。1945年8月、第二次世界大戦での日本の敗北により、上海市都市健康局(Shanghai Municipal Health Bureau)の手へ。その後この屠殺場は極東地域で最大の屠殺場に拡大し、上海で消費される肉の2/3を提供するまでになります。
1949年の中華人民共和国の設立後、ここは上海における食肉生産と加工の拠点、高度な生産技術のテストと開発の場所、食品生産と国際交流のための大企業となりましたが、中国の改革開放と経済発展に伴い、屠殺場は都市中心部から郊外へと徐々に移っていくことになります。この屠殺場も年ごとに食品加工産業から徹底していき、2002年に完全閉鎖となりました。その後、改築までは荒廃した場所となっていたということです。なお、1997年には、屠殺場のすぐ南に九龍ホテルが開業しています。
2006年8月、Shanghai Creative Industry Investment Co., Ltdにより、正式にリノベーション工事がスタート。約1年のリノベーションにより、屠殺場は1933老場坊として蘇りました(「1933老場坊」ウェブサイトより)。


『地球の歩き方 上海 杭州・蘇州・水郷古鎮 ’11~’12』でも次のように紹介されており、観光名所になっています。

「レストランやカフェ、ショップなどが集まる集合施設。元々は食肉処理場だった建物を再利用したもの。建物は中心部が円状に、その周囲は四角というユニークな形状になっており、その美しく独特な形状に建築マニアをも魅了する。」
*『地球の歩き方 上海 杭州・蘇州・水郷古鎮 ’11~’12』。

  • 住所:上海市虹口区沙泾路10号 邮政编码: 200000
  • Adress:10 Shajing Rd, Hongkou Qu, Shanghai Shi, China, 200000

1933老場坊は、地下鉄の海倫路駅から徒歩で15〜20分ほどの位置にあります。

1933老場坊の中にはカフェ、レストラン、ショップの他、アーティストのための作業場などがあります。外からは四角い建物に見えますが、中央は円形の「中心圓」に。円形の「中心圓」と周りの部分はブリッジが架かっており、非常に複雑な構造です。

「中心圓」は吹き抜けになっており、天井部分にはガラスが貼られています。ガラスの上は「空中舞台」となっており、ここで記念撮影をしている人も。

1933老場坊の周囲は開発が進んでいますが、まだ昔ながらの低層の住宅が残されており、八百屋、食堂などが並ぶ通りでは多くの人々が過ごしているのを見かけました。