『わたしの居場所、このまちの。:制度の外側と内側から見る第三の場所』(水曜社, 2021年)のご案内

互いに気にかける、ことが周りにも伝わるということ

「居場所ハウス」には、毎日のように顔を出してくださる2人の女性がいます。1人は90代(Aさん)、もう1人は80代の女性(Bさん)で、お2人は「居場所ハウス」ができてから、頻繁に顔をあわせ、話をするようになりました。

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ある日の出来事。午前中にやって来たAさんは、「最近、Bさん来ないなぁ」とBさんのことを気にかけていました。そのBさんは、Aさんとすれ違いに、午後からやって来られました。「Aさん、最近来てる? 昨日、Aさんの家の近くに救急車とまってたから」とAさんを案じるBさん。

AさんとBさんは、それぞれお互いのことを気にかけておられますが、居合わせた人たちも2人が互いに気にかけているということが伝わってきます。だから、2人の関係を微笑ましく思える。
Aさん、Bさんという2人だけの関係ではなく、居合わせた人たちをも含む地域の人々の関係。これは「居場所ハウス」という具体的な場所があるからこそ、生まれる関係ではないかと思います。
ささやかなことかも知れませんが、無理にイベントをせずとも、日常の中に素敵なことはたくさん発見できます。

こうしたことを発見し、みなで共有できるようにすること。これも、大切な仕事だと思います。