千里ニュータウンの観光冊子『ぶらり千里:魅力発見ガイドブック』(豊中市市民協働部千里地域連携センター編, 2015年3月)が完成しました。千里文化センター・コラボ市民実行委員の「広報プロジェクト」有志(Oさん、Fさん、Fさん、Kさん、Sさん、Tさん)が中心となり、豊中市のスタッフの協力により完成したものです。「広報プロジェクト」有志の中には、千里ニュータウンの変化を専門家として見つけ続けてこられた方、千里ニュータウンで生まれ長年住み続けてこられた方、あるいは、比較的最近、千里ニュータウンに越してこられた方などがいらっしゃいます。
『ぶらり千里:魅力発見ガイドブック』はB5版、フルカラーの54頁で次のような構成になっています。
『ぶらり千里:魅力発見ガイドブック』目次
- 千里へようこそ!!(p1)
- 千里のあゆみ(p3)
- 千里ウォーキング探訪:千里中央・新千里(東西南北)各町・上新田のモデルコースとみどころ、エピソードを多数の写真で紹介
- 千里中央(p5)
- 新千里東町(p9)
- 新千里西町(p13)
- 新千里南町(p17)
- 新千里北町(p21)
- 上新田(p25)
- 千里のみどころ
- 歴史を辿る(p29):上新田と千里ニュータウンの歴史を解説
- 団地めぐり(p33):日本初のニュータウンとしてあらゆる手法が導入されている千里ニュータウンの各団地の特徴とくらしのいま、むかしを紹介
- 自然散策おすすめコース(p47):千里の自然を紹介。編集委員おすすめの特色ある5つの散策コースを掲載
- 千里ミニ辞典(p47)
- 千里ニュータウン年表、見学できる施設 ご協力いただいた団体・みなさま(p51)
- まちあるきのこころえ、出展・資料提供元(p53)
『ぶらり千里:魅力発見ガイドブック』は一般への販売はされておらず、豊中市内の図書館で閲覧・貸出が可能です。
※2021年4月から豊中市のウェブサイトでも公開されています。
『ぶらり千里:魅力発見ガイドブック』は、「広報プロジェクト」のまち歩きに始まります。「広報プロジェクト」では千里ニュータウンの豊中市域4住区と上新田を歩き、まち歩きを通して発見したことなどを元にマップ作りをしてきました(このマップは今でもコラボに展示されています)。「広報プロジェクト」のメンバーには、マップで紹介したいという千里ニュータウンの魅力を多くの人に紹介したいという思いがあり、同じ頃、豊中市でも観光事業が進められたことから、観光冊子作りが始まりました。
2013年6月20日に第1回目の会議が行われ、2015年2月27日まで40回もの会議が行われたとのこと。会議の間には、実際にコースを歩いて写真を撮ったり、文章を書いたり、図を作ったりという作業が行われました。
千里グッズの会、千里ニュータウン研究・情報センターも写真の提供や、地図や団地の住棟配置図の作成というかたちでお手伝いをさせていただきました。
2015年3月20日、『ぶらり千里:魅力発見ガイドブック』の編集に携わった広報プロジェクト有志の方への取材が行われ、その場に同席させていただきました。取材での発言を聞くと、
- 千里ニュータウンにも歴史がある
- 上新田地区を含めてこその千里ニュータウン
- 開発者(専門家)と居住者との橋渡しをする
観光冊子にはこの3つのメッセージがこめられていることが伝わってきました。
千里ニュータウンにも開発前から続く歴史がある
『ぶらり千里:魅力発見ガイドブック』には、千里ニュータウンが開発される前の千里丘陵についてのページがあります。「千里に住んでる人は、ニュータウンの開発前を知らないので、冊子では竹林や雑木林があった頃どういう生活をしていたかを紹介しました」とある方が話されていました。
ニュータウン開発にまつわる出来事も歴史ですし、まちびらきから半世紀の暮らしも歴史。編集メンバーの1人は「長い歴史の中の1ページに自分が携わらせてもらったという気がします」と話されていましたが、『ぶらり千里:魅力発見ガイドブック』は開発前から現在まで続く千里地域の歴史を教えてくれます。
上新田地区を含めてこその千里ニュータウン
千里ニュータウンとして開発された12住区の中央にある上新田は、ニュータウン開発からは除外された地区ですが、ある方が「千里ニュータウンには、宗教を除くという考えがあったので神社仏閣がないんです。でも、上新田に神社がある。上新田があることで千里ニュータウンの人も初詣ができる」と話されたように、開発された住区にお住いの方も、上新田との関わりをもって暮らしてこられました。
しかし、上新田にお住いの方の話では、今でも千里ニュータウンに関する地図や冊子には上新田の文字すら書かれていないものがあることに気づいたとのこと。『ぶらり千里:魅力発見ガイドブック』では、上新田まで含めて、千里ニュータウンが成り立っていることを伝えたいと話されていました。
開発者(専門家)と居住者との橋渡しをする
ニュータウンは開発者の意図に基づいて計画されました。しかし、「千里は専門家が作ったけど、作っただけで十分に説明してこなかった。なぜこの道はこうなってるのか? どういう考えで中庭が作られたのか? を説明してこなかった」とある方が話されていました。千里に住んでいる人も、開発者の意図を知らないまま住んでいることが多いが、これらの中にはきちんと継承すべきものがある、と。
『ぶらり千里:魅力発見ガイドブック』では、一般の観光冊子には掲載されないような近隣住区論、団地の住棟配置や戸建て住宅地のクルドサックといった考え方も紹介されています。この冊子を読むと千里ニュータウンがどのような考えに基づいて作られたのかを知ることができます。「作る人と住む人をつなげるのもこの冊子の役割」です。
『ぶらり千里:魅力発見ガイドブック』は完成しましたが、この冊子を見て千里ニュータウンを知るための活動はこれからがスタート。「広報プロジェクト」では『ぶらり千里:魅力発見ガイドブック』に掲載したコースのまち歩きも計画されています。まち歩きの日時や詳細は『広報とよなか』などでお知らせいただけるとのことです。
(更新:2021年4月19日)