『わたしの居場所、このまちの。:制度の外側と内側から見る第三の場所』(水曜社, 2021年)のご案内

大船渡「居場所ハウス」からIbashoフィリピンへ①

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先日、ワシントンDCの非営利組織「Ibasho」の清田さん、大船渡「居場所ハウス」のKさんらとともにフィリピン・オルモック市のバゴング・ブハイを訪問しました。「居場所ハウス」のKさんとは今年1月に次いで2度目の訪問となります。
バゴング・ブハイは2013年台風30号(台風ヨランダ)の被害を受けた地域。現在、「Ibasho」の呼びかけがきっかけとなりIbashoフィリピンのプロジェクトが進められています。高齢者が地域で役割を担いながら、よりよい地域を作りあげていこうとするプロジェクトです。

2015年1月に開いたワークショップでは、最初から拠点を建設するのでなく、自分たちでできることから徐々に始めること、その具体的な活動として①リサイクル活動、②農園での野菜作り、③栄養プログラムの3つを行うことを確認。1月からペットボトルのリサイクル活動、5月から農園作りが始まっています(プロジェクトの経緯はこちらをご覧ください)。


今回の訪問はIbashoフィリピンの今後の活動について意見交換することと、農園をより良くする方法をお伝えすること。
Ibashoフィリピンの農園は今年の5月からスタートし、メンバーが土を耕すところから徐々に作りあげてきた場所です。訪れた時にはオクラ、ウリが大きく育ち、収穫の時期を迎えていました。この他、トマト、唐辛子、ショウガ、ネギ、芋など様々な野菜が育てられています。農園の一画には、これもメンバーが作った東屋があり、この東屋の周りにはメンバーが集まり休憩したり、話をしたりといい雰囲気の場所だと感じました。

Ibashoフィリピンの農園を見たKさんは、土をもっと深く掘った方がいいというアドバイス。ちょうどオクラの収穫が終わった部分があるので、そこでKさんが見本の畑を作り、参考になりそうであれば真似してもらえばいいという話をしました。

土を深く掘るには農具が必要ということで、10月24日、オルモック市内にお住まいの方の紹介でホームセンターのようなお店に買い物に行きました。鍬を探しましたが、鍬は先の金属部分だけしか売っていませんでした。金属部分だけを購入した後、材木屋に連れて行っていただき、柄の部分を取り付けてもらうことに(オルモック市内にお住まいだった方の紹介だったからか、柄は無料で作ってくださいました)。太くて握りにくかった柄は、現地で通訳をお願いしていた方の家族が握りやすいよう柄を細く削ってくださいました。
この日の買い物では、大小のスコップ、有機肥料、野菜の種(大根、ほうれん草、ピーマン、インゲン豆、カボチャなど)の小袋を購入しました。「野菜を何種類か見本に植えるから、気に入ったものをやってもらったらいい」とKさん。

10月25日、Kさんはメンバーに説明しながら、次のような作業を行いました。

  • 土を深く掘る(15cmは掘った方がいいとKさん)
  • 石を取り除き、掘った石を細かく砕く
  • 肥料を混ぜるため、掘り起こした土を両側に寄せる
  • 有機肥料を薄くまく(この日は購入した有機肥料を使いましたが、バナナの葉を腐らせたもの、牛糞、籾殻、木の屑などを混ぜて自分たちで作ってもよいとKさん)
  • 化学肥料をまく
  • 両側に寄せた土を肥料の上にかぶせ、その後、表面を平にする

Kさんが作業しているのを見た女性メンバーたちも、一緒に土作りの作業を始めました。小さな女の子もお手伝いをしてくれました。

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10月26日の朝、8時前農園を訪れたところ、早速、鍬で他の部分を耕している方がおり、行動の早さに驚かされました。

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今回Kさんが伝えた方法は大金をかけず、高度な技術も使わず、誰もができるというささやかな技術だったからこそ、メンバーの方も早速、行動に移すことができたのだと思います。
お金をかければ、高度な技術を持ち込めば、それなりのことはできます。けれども、資金や技術が途絶えた途端にできなくなるというのは持続可能ではありません。簡単な道具さえあればすぐにも取りかかれるものこそが、地域に根づいたものになっていく可能性があります。
また、誰か知らない人から教わるのではなく、顔の見える人から教えてもらったということも大きいと思いました。2014年4月に初めてバゴング・ブハイを訪れて以来の関係の積み重ねの延長として成立したものだと思います。

最初に話していたように、今回の畑はあくまでも見本。この中で参考になる部分があれば真似をしてもらえたら考えていますし、その部分はIbashoフィリピンの農園だけに限らず、メンバーが家庭などで作っている畑などにも使ってもらえたらと考えています。