『わたしの居場所、このまちの。:制度の外側と内側から見る第三の場所』(水曜社, 2021年)のご案内

防災集団移転地での上棟式

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「居場所ハウス」の北側には防災集団移転の敷地があり、現在、住宅の建設工事が進められています。早ければ年内に入居できる家もあるように思います。
先日、建設中の1軒で上棟式(建前)が行われました。今では滅多に行われなくなった神事が行われるということで、様子を見学させていただきました。

屋根の上に立てられたのは矢車。2本の矢を交差させて車にさせたもので、右上には鶴、左上には亀が描かれています。かつてこの絵は、棟梁自らが描いたとのこと。中央の木箱(正式な名前があるかもしれませんが)には、聞いたところ、地鎮祭の際の御札、上棟式の際の御札、家主と棟梁の名前を書いたものを入れるとのこと。

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矢車が立て終わった後、五色の旗が立てられました。東側に青、西側に白、南側に赤、北側に紫(黒)、そして、中央に黄色の旗。恐らくこれは東:青龍(青)、西:白虎(白)、南:朱雀(赤)、北:玄武(黒)の四神と、中央の皇帝(黄色)に由来するのだと思われます。

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家の中(になる部分)で順番に祈願をした後、家の四方に塩・酒(米も?)をまいた清めた後、参加者が御神酒を回していきました。
そして、施工者4人が家の四方に登り、初めに4人が大きな隅餅を中央の矢車に向かってまいた後、4人とも道路側に移動してお餅とお金(ティッシュペーパーに包んだ硬貨)をまきました。参加者は縁起物としてそれらを拾います。
かつて、餅まきには近所の人が大勢やって来たとのことです。

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「居場所ハウス」に戻ってから聞いた話では、五色の旗を妊婦のお腹に巻くと安産になるという言われがあり、夜のうちに五色の旗を持っていく人もいたようです。実際、「居場所ハウス」のあるスタッフは、かつて家を建てた際に五色のうち何色かの旗が夜のうちになくなっていたとのこと。

 なお、「居場所ハウス」の建物は陸前高田市気仙町の民家を移築・再生したものです。民家を移築してくださった方が、少し前、矢車・木箱を寄贈してくださいました。この矢にも鶴、亀が描かれています。

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*追記)後日、「居場所ハウス」で聞いたところ、1人の女性メンバーが五色の旗の黄色は「太陽」だと呼んでいました。その方の話によると、安産の効果があるのは黄色で、昔、黒の旗を持ち帰ったら「何で黒持って帰ったのって言われた」とのことです。また、昔は輪切りにした大根を、お餅を一緒にまいていたという話も伺いました。

(更新:2015年12月2日)