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千里ニュータウンの人口・高齢化率(2019年春)

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吹田市・豊中市の2019年春の住民基本台帳による人口・世帯数が公開されていますので、千里ニュータウンの最新の人口・世帯数を集計しました。
この記事では次の4つに分けて集計しています。

  1. 千里ニュータウンとして開発された12住区(吹田市域8住区+豊中市域4住区)
  2. 吹田市域8住区:佐竹台、高野台、津雲台、藤白台、古江台、高野台、竹見台、桃山台
  3. 豊中市域4住区:新千里北町、新千里東町、新千里西町、新千里南町
  4. 上新田

データは、明記していないものは、吹田市・豊中市の住民基本台帳のデータを用いています(吹田市は3月31日、豊中市は4月1日時点のデータ)。

人口

上新田を含めた千里ニュータウンにおける近年の集合住宅の建替えラッシュにより人口は継続して増加してきましたが、2019年では①千里ニュータウンとして開発された12住区の人口が10万人を超えました。また、②吹田市域8住区の人口は64,130人、③豊中市域4住区の人口は35,883人、④上新田の人口は20,881人と、いずれも近年の最大人口を更新しています。

世帯数

世帯数も集合住宅の建替えラッシュにより継続して増加しており、2019年には①千里ニュータウンとして開発された12住区の世帯数が46,229世帯となっています。②吹田市域8住区の世帯数は約29,766世帯、③豊中市域4住区の世帯数は約16,463世帯。また、④上新田の世帯数は約8,846世帯で、いずれも近年の最大世帯数を更新しています。

一世帯当たりの人員

①千里ニュータウンとして開発された12住区の近年の一世帯当たりの人員は横ばいとなっており、2.15〜2.2人の間を推移しています。ただし、②吹田市域8住区ではやや減少しているのに対して、③豊中市域4住区ではやや増加しています。④上新田で減少傾向が続いていますが、それでも2019年時点で2.36人と、①千里ニュータウンとして開発された12住区を上回っています。

高齢化率

高齢化率の長期の推移

まち開き当初は若い世代が多かったため、①千里ニュータウンとして開発された12住区の高齢化率は全国平均を下回っていましたが、1990年代後半に高齢化率は逆転。ただし、近年は集合住宅の建て替えラッシュにより若い世代が入居しているため、②吹田市域8住区、③豊中市域4住区の高齢化率はいずれも約30%と横ばいとなっています。国勢調査によると、2015年10月1日現在の日本の高齢化率は26.6%であり、①千里ニュータウンとして開発された12住区の高齢化率は全国平均より3%ほど大きくなっています。④上新田の高齢化率は上昇し続けているものの、全国平均を下回っています。

※長期の高齢化率の推移は国勢調査のデータで、具体的には次の資料に掲載されているデータである。

  • 千里ニュータウン12住区の高齢化率は『千里ニュータウンの資料集(人口推移等)』(吹田市・豊中市千里ニュータウン連絡会議, 2017年10月1日)に掲載のデータ
  • 上新田の高齢化率は国勢調査の「小地域集計」「27:大阪府」のデータを集計
  • 日本の高齢化率は総務省統計局「1.高齢者の人口」に掲載のデータ

高齢化率の近年の推移

①千里ニュータウンとして開発された12住区の高齢化率はほぼ30%と横ばいが続いています。一方、④上新田の高齢化率は上昇し続けており、2019年時点で約19.0%にまで増加しました。

前期高齢者(65〜74歳)と後期高齢者(75歳〜)を分けてみると、①千里ニュータウンとして開発された12住区では前期高齢者の割合は低下し、後期高齢者の割合は上昇する傾向が見られ、既に後期高齢者の割合が、前期高齢者の割合を上回っています。④上新田は前期高齢者の割合も、後期高齢者の割合も小さいですが、継続して増加しています。

住民の年齢構成

①千里ニュータウンとして開発された12住区について、2010年と2019年の住民の年齢構成のグラフを比べると、2010年では「60〜74歳」を中心とする世代(ニュータウン第一世代)が最も大きな山、「35〜44歳」を中心とする世代が次に大きな山となっていたのに対して、2019年は「45〜49歳」を中心とする世代が最も大きな山になるという変化が見られます。近年の集合住宅の建て替えラッシュの結果がここにも現れています。②吹田市域8住区、③豊中市域4住区にも、同じ傾向が見られます。
④上新田の住民の年齢構成は、若い世代が大きな山になっています。最も大きな山は2010年では「35〜39歳」を中心とする世代、2015年では「40〜44歳」を中心とする世代、2019年では「45〜49歳」を中心とする世代というように、時間の経過とともにグラフの山は右側に移動しています。
こうした変化により、2019年時点では②吹田市域8住区、③豊中市域4住区、④上新田のいずれにおいても「45〜49歳」の人口が最も多いことになります。

まとめ

以上の結果から次のように考えることができます。

近年の集合住宅の建替えラッシュにより人口は増加し続けており、2019年には①千里ニュータウンとして開発された12住区の人口が10万人を突破しました。人口が減少している地域が多い中、人口が増加している千里ニュータウンは恵まれているかもしれません。ただし、次の視点を忘れてはならないと考えています。

1点目は、高齢者について。
集合住宅の建替えラッシュにより、千里ニュータウンでは若い世代を見かける機会が多くなりました。建物も新しくなり、千里ニュータウンが若返ったように見えることもあります。
ただし、後期高齢者の割合が上昇し続けていることに表れているように、千里ニュータウンは高齢者にとっての暮らしの場所であることも忘れてはなりません。

2点目は、年齢構成の偏りについて。
現在、千里ニュータウンとして開発された12住区の年齢構成は、「45〜49歳」を中心とする世代、「75〜79歳」を中心とする世代、「5〜9歳」を中心とする世代が山の頂点になっているというように、既成市街地と比べて住民の年齢構成が偏る傾向が見られます。これは、半世紀前のまち開き時にも、近年の建替えラッシュでも、同じ世代の人々が一斉に入居したことの結果。近年入居しているのは分譲マンションの購入者であり、(賃貸に比べて)長期にわたり住み続けることを考えると、今から20〜30年後にはまた高齢化が急速に進むことが容易に想定されます。
千里ニュータウンは、色々な地域から集まってきた人々によって作りあげられた街。(今の時代に照らせば男女の不平等ということになるのかもしれませんが)ニュータウン第一世代では専業主婦である女性が地域を守り、作りあげてきた。この蓄積が、例えばコミュニティ・カフェの「ひがしまち街角広場」につながっており、高齢者の暮らしをサポートする拠点となっています。それに対して現在の若い世代は共働きであり、かつ、ベッドタウンである千里ニュータウンにはほとんど職場がないため、男性も女性も地域を留守にしがち。定年退職後に男性と女性が共に地域デビューするとしても、その時までデビューする対象としての地域を誰が守り、作りあげていくのか。これは、いずれ千里ニュータウンが向き合わねばならない非常に大きな課題になります。

3点目は、ニュータウンとして開発された地域が、ニュータウンとして開発されなかった地域、具体的には上新田とどう付き合うかについて。
上新田は千里ニュータウンの中央に位置しながら、ニュータウン開発前から存在した集落で、ニュータウンとしては開発されませんでした(計画という観点からは「計画除外地」という表現が使われることもあります)。人口推移のグラフからは、上新田の人口が、ニュータウンとして開発された住区の約2.5倍になっていることがわかります。近隣住区論に基づいて計画された千里ニュータウンでは、1住区に1小学校、2住区に1中学校が基本とされました。豊中市域では、新千里北町・東町の2住区の子どもは第八中学校に、新千里西町・南町の2住区の子どもは第九中学校に通学する計画が立てられました。この計画には上新田は入っていませんが、当初は上新田の人口も少なかったため、大きな影響はないと想定されていたのかもしれません。
しかし、現在では上新田の人口は増加しており、上新田の子どもは第九中学校に通学することになっています。そのため、第八中学校の生徒数が252人に対して、第九中学校の生徒数は828人(*いずれも2018年5月1日現在の生徒数。『平成30年豊中市統計書』より)と生徒数は3倍以上の開きが生じており、千里ニュータウン内の隣り合う中学校であるにも関わらず教育環境が大きく異なっています。ここにも表れているように、近隣住区論が上新田とどう付き合っていくかも大きな課題です。

(更新:2022年3月2日)