『わたしの居場所、このまちの。:制度の外側と内側から見る第三の場所』(水曜社, 2021年)のご案内

居場所ハウスの6年間の来訪者数・食堂利用者数の推移

大船渡市末崎町の「居場所ハウス」は間も無くオープンから6周年を迎えます。2019年6月15日(土)には六周年記念感謝祭を開催予定です。

来訪者数

日々つけているゲストブック、日誌をカウントすると、2013年6月13日のオープンから2019年5月末までの約6年間の延べ来訪者数(スタッフを含む)は42,433人、1日平均にすると22.9人となります。

来訪者数の長期的な推移を見ると、オープン当初に比べると、1日の平均来訪者数は増加傾向にありますが、近年では大きな変化は見られません。

朝市、各種教室、サークル、会議、昼食会など何らかのイベントが行われている日と行われていない日の来訪者数を比べると、何らかのイベントが行われている日の方が来訪者数が多いのも、これまでと同じ傾向です。

食堂利用者数

「居場所ハウス」では2015年5月3日に食堂をオープンさせました。2015年5月3日から2019年5月末までの約4年間の述べ食堂利用者数(スタッフを含む)は10,608人、1日平均にすると8.8人となります。

食堂利用者数は大きな変化は見られませんが、イベントの有無による違いを見ると、最近次のような変化が見られるようになりました。

イベントが行われている日の方が食堂利用者数が多くなっていますが、2019年4〜5月には初めて2カ月連続で、イベントが行われていない日の食堂利用者数が、何らかのイベントが行われている日の食堂利用者数を上回っています。来訪者数に対する食堂利用者数の割合も、2016年3〜5月は6割を上回っています。

これらのことからは、特にイベントが行われていない日は、食事をすることが「居場所ハウス」に来る大きなきっかけになっていると考えることができます。

「居場所ハウス」ではうどん、そば、ラーメン、カレーライス、チャーハンなど全てのメニューに、農園から収穫した無農薬野菜を主な食材とする小鉢2〜3皿をつけて、400〜600円で提供しています。毎週土曜は「お楽しみランチ」として旬の食材などを用いた週替わりのメニューを500円で提供しています。
食事をすること(食事をするために外出して、スタッフや居合わせた地域の人々との関わりが持てること)は日々の暮らしにおいて最も基本となることであり、同時に、「居場所ハウス」の運営資金を得るための活動でもある。「居場所ハウス」において食堂の位置付けが大きくなっていることは、これらの2つの点で大きな意味を持っていると言えます。


「居場所ハウス」の来訪者、食堂利用者は次のような交通手段でやって来られます。

  • 徒歩で(=「居場所ハウス」の近くにお住まいの方)
  • 車を運転して
  • (自分は運転できなくても)車に乗せてもらって

データに基づいた情報ではなく、感覚的な情報では、交通手段はほぼこの3つに限定。逆に、公共交通機関を利用して来られる方はほとんどいません。この背景には、末崎町内を移動するための便利な公共交通機関がほとんどないという事情があります。

「居場所ハウス」の来訪者、食堂利用者は末崎町にお住いの方が中心ですが、末崎町の中でも細浦や碁石方面にお住いで、かつ、自分では車を運転しない方の来訪は少なくなっています。

高齢ドライバーによる交通事故が連日のようにニュースに流れており、「居場所ハウス」でも、いつ運転免許を返納するかが話題になることもありますが、運転免許を返納しても公共交通のある都市部と違い、末崎町では足の確保は本当に大きな課題です。

運転免許を変更したら家族の車に乗せてもらうという意見が出されることもありますが、身近に車に乗せてくれる家族がいない人にとって、これは解決策にはなりません。家族で解決するのではなく、地域として取り組むことでしか解決できない課題です。