『わたしの居場所、このまちの。:制度の外側と内側から見る第三の場所』(水曜社, 2021年)のご案内

居場所ハウスの買物送迎

今日(2019年8月30日(金))、「居場所ハウス」にて買物送迎を行いました。今年6月からスタートさせた新たな試みで、毎月最終金曜の午前中に実施。今日で3回目となります。

「居場所ハウス」のある大船渡市末崎町には、大型のスーパーマーケットがありません。公共交通の本数も少なく(BRT大船渡線は1時間に1〜2本走っていますが、碁石方面に向かう路線バスは1日3便のみ)、また、リアス式の地形の坂が多い地形のため駅・バス停まで歩くのも容易ではありません。

他の多くの地方と同様、暮らしは車に依存していますが、運転しない人、運転免許を返納した人にとっては(特に若い世代と同居していない人にとっては)買物に行くのは大変。大型のスーパーマーケットによる買物送迎バス、移動販売車、あるいは、生協などの配達サービスもありますが、それだけでは十分でないということから、「居場所ハウス」でも新たな試みとしてスタートすることになりました。

バスは、近くの末崎町デイサービスセンターから、地域貢献の活動の一環として借りています。運転手は、「居場所ハウス」で朝市の準備を手伝ってくださっている男性に依頼しています。
買物送迎バスに乗車するためには、10:00に「居場所ハウス」に集合する(事前の予約は不要)、あるいは、自宅の近所まで迎えに来て欲しいと事前に予約するのいずれか。


今日も10:00頃、「居場所ハウス」を出発した後、事前に連絡を受けていた路線バスの「たいら団地前」バス停、「上中野」バス停、そして、中野地域の個人宅前の3ヶ所に立ち寄り、大船渡市内のスーパーマーケット(MAIYA大船渡店)に向かいました。バスに乗車したのは、運転手、「居場所ハウス」のスタッフを含めて16人です。

10:20頃、MAIYA大船渡店に到着。実質的に走行している時間は15分ほどですが、上に書いた通り、車がなければここまで来るのは容易ではありません。

MAIYA大船渡店に到着後は自由行動。MAIYA大船渡店で食料品、花などを購入したり、隣のホームセンターで手芸用品を購入したりする方がいました。

1時間ほどで買物は終了し、11:25頃、MAIYA大船渡店を出発。帰りは荷物があるため、なるべく家の近くまでお送りし、11:55頃、「居場所ハウス」に戻りました。「居場所ハウス」まで戻ってきた何人かの方は、一緒に食事をしていました。
また、途中でバスを降りた3人は、これから1人の方の家に立ち寄り、お茶を飲むと話されていました。

スーパーマーケットへの買物は、日々の暮らしに必要な物を手に入れるために行うものですが、買物送迎に同行し、次のようなことを感じました。

  • 売り場を歩いて、自分が好きなものをその場で選べるのは喜びだということ。これは、事前に指定した物を届けてもらう宅配サービスや、販売されている物が限られている移動販売車を利用することとは違う経験である。
  • みなで一緒に遠出をすること自体が、まるで遠足のようにワクワクすることだということ。
  • 買物だけで完結するのではなく、買物帰りにお茶を飲みに家に立ち寄ったり、一緒に食事をしたりと、買物に付随して関わりの機会が生まれていること。

徒歩圏内にたくさんの店舗がある都市部で生活している人、車が運転できる人にとっては想像しにくいかもしれませんが、結果としてみれば必要な物を手に入れる物だとしても、一緒に買物に出かけることは豊かな意味をもつ経験なのだということを感じました。


これから末崎町の高齢化が進めば、自家用車を運転できない人はますます増えていきます。かといって、人口が減少する末崎町に大型のスーパーマーケットが出店したり、公共交通の利便性がすぐに良くなったりすることも考えにくい。

現在、買物送迎は「居場所ハウス」の試みとして実施していますが、これをどう継続していくのか、さらに、末崎町全体にどう広げていくのかは、これから考えてい必要のある大きな課題です。