『わたしの居場所、このまちの。:制度の外側と内側から見る第三の場所』(水曜社, 2021年)のご案内

大人と子どもの緩やかな関わり

「居場所ハウス」の運営時間は10時〜16時までのため、平日は子どもの姿はほとんど見かけませんが、土曜・日曜、あるいは、祝日には時々子どもたちがやって来ます。
今日(2017年7月9日(日))も何人か子どもたちの姿を見かけました。

朝からは、「居場所ハウス」の近くに住んでいる小学校低学年の男の子が1人でやって来ました。一度、昼食を食べに家に帰りましたが、午後からも「居場所ハウス」に来て、夕方まで過ごしていました。男の子はラベンダーを束にするのを手伝ってくれたり、床に散らかったラベンダーを箒で掃いてくれたりしました。
今日は、碁石にあるラベンダー園が一般公開され、誰でも自由に摘んでいくことができる日でした。上に書いたラベンダーというのは、「居場所ハウス」のメンバーが摘んできたものと、「居場所ハウス」の近くに住んでいる方が分けてくださったもの。ラベンダーを干して乾燥させ、におい袋などの手芸品を作ろうという話になっています。男の子が手伝ってくれたのは、ラベンダーを干すために輪ゴムで束ねる作業でした。

午後からは、高校生の女の子2人がやって来て、16時前まで和室で話をして過ごしていました。

大人と子どもの関わり、あるいは、多世代の場所であることの重要性が言われますが、それは大人が子どものために何かをしたり、大人と子どもが同じ活動に参加して交流したりするという形を必ずしもとらなくてもよい。
大人たちの目の届くところで子どもたちが遊んだり、過ごしたりすること。大人たちが作業をしている様子を見た子どもが、作業を手伝ってくれること。このことによって、大人は地域の子どもの顔を覚えることができるし、子どもは大人の世界をちょっと垣間見ることができる。このように大人と子どもとが(交流という意識をもつことなく)緩やかなかたちで接することができる場所というのは、決して昔の話ではなく、現在においても十分に成立し得る。今日の「居場所ハウス」の光景をみていてこのようなことを感じました。