『わたしの居場所、このまちの。:制度の外側と内側から見る第三の場所』(水曜社, 2021年)のご案内

居場所ハウスで高田人形を展示

居場所ハウス」では、2月26日から3月3日まで(ただし27日は定休日)、近隣の方からお借りした高田人形を展示する予定です。
先日ご紹介した通り、高田人形とは「江戸時代末期から昭和30年代ころまで、農家や左官職人の副業として作られていたとされる土製の人形」(※「きらびやか7段飾り 貴重な「高田人形」も」・『東海新報』2014年2月16日)のこと。

「居場所ハウス」で、新聞記事に掲載されていた高田人形の写真を見たHさんが、「長屋のどこかにしまってある」ということで、早速、長屋を探してくださり、翌日、高田人形と瀬戸物でできた人形を持ってきてくださいました。
昭和10年以前に購入された高田人形です。小学校の時、末崎小学校の前にあった「まつのや」で、おばあさんに1年に1つずつ買ってもらったとのこと。2人姉妹のHさん。姉妹で喧嘩しないように、姉妹それぞれ同じ人形を買ってもらったようで、「我が家は2人〔姉妹〕だから、2つずつ買ったな、喧嘩するから」とHさん。人形の裏には、姉妹で取り違えないようにするためか、名前が書き込まれていました。

最初は土製の人形だったのが、次第に瀬戸物の人形に変わっていきました。その後、Hさん宅でも段飾りのひな人形を買ったため、土人形や瀬戸物の人形は飾らなくなったようで、今回、久しぶりに取り出したとのこと。「おひなさんも、みんなに見てもらって幸せだなぁ」とHさん。

高田人形の話を聞いているうちに、当時のひな祭りにまつわる貴重な話も聞かせていただきました。
当時、女の子のいる家では、持ち回りで、泊まりがけのひな祭りをされていたよう。女の子は、自分の人形を持って友達の家に行き、人形の飾りつけをして、一緒にご飯を作って食べ、泊まったとのこと。この話を隣で聞いていたUさんが「みなで一緒に泊まって、楽しかったなぁ。そこから学校行って、そこに帰るの」という話をしてくださいました。お米もそれぞれが出し合って、お米がなくなるまで「一週間くらい泊まった」とUさん。
何歳までひな祭りをしていましたか? と尋ねると、Hさんからも、Uさんからも、高等小学校の2年までだという返事でした。

Hさんからお借りした高田人形、瀬戸物の人形も、3月1日のひな祭りで展示させていただきます。

ひな祭りを企画したところ、思いがけず貴重な高田人形と、それにまつわる貴重な話を聞かせていただくことができました。
普段の生活では、昔のことを思い出すことはないかもしれませんが、他の人が持ってきた人形を見たり、他の人の話を聞いたりすると、当時のことが蘇ってくる。これも、「居場所ハウス」という、地域の人々が居合わせることのできる場所があるからこそ実現できることです。

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下の写真は、Mさんが、Hさん、Uさんから高田人形と、当時のひな祭りの話を聞いている様子。

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