『わたしの居場所、このまちの。:制度の外側と内側から見る第三の場所』(水曜社, 2021年)のご案内

居場所ハウスの団体利用・行事の変遷

「居場所ハウス」は2014年度が終わり、2015年度の運営へと入りました。あと2ヶ月でオープンから丸2年を迎えます。「居場所ハウス」は日常的にはカフェスペースとして運営していますが、朝市やイベントを行ったり、団体での利用があったりします。2013年6月13日のオープン以降に行われた団体利用・行事の実施回数を集計しました。

(1)団体利用・行事数の推移

オープンから3ヶ月ごとに時期を区分すると(オープン直後のみ2013年6月13日〜9月30日までの3.5ヶ月)、3ヶ月間で40〜50回の団体利用・行事が行われていることがわかります。
1〜2時間程度の会議や教室、丸1日使った大きなイベントなど種類は様々ですが、2日に1回の割合で何らかの団体利用・行事が行われれている計算になります。

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(2)主催団体別にみる団体利用・行事数の推移

「居場所ハウス」(NPO法人・居場所創造プロジェクト)は朝市、運営のための定例会や、草月流生け花教室などを主催しています。「居場所ハウス」が主催・共催している活動数をみると2〜3割であることがわかります。
*共催行事は、2014年12月21日にデジタル公民館まっさき、ふらいパンダ、三陸みらいシネマと共催したクリスマスキッズデーの1回です。

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(3)団体利用・行事の種類

団体利用・行事の種類をみると、実施回数が多い順番に並べると次のようになります(以下、( )内の数字はオープンから2015年3月末までの回数)。

① 健康クラブ(健康教室)(78回):毎週、水曜日の午前中に行なわれている「居場所健康クラブ」(主催はサポートセンター・おたすけ)。「居場所ハウス」のオープン当初は、末崎町住宅介護支援センターが主催する「いきいき健康教室」としてスタート。
② 会議(63回):毎月欠かさず行われている「居場所ハウス」の定例会をはじめ、同級会の打合せ、民生委員、西ロータリークラブなどの団体の会議。
③ 教室(59回):現在、毎月開かれている生け花教室に加えて、囲碁教室、竹とんぼ作りなど末崎町や近隣にお住まいの人を講師とする教室、磯花寿司、陶芸教室、和服リメイクなど末崎町以外から来てくださった方が講師となる教室。
④ 懇親会・食事会(30回):地域の人たちの食事会、同級会や、「居場所ハウス」主催のイベントが行なわれた後の慰労会など。
⑤ 交流イベント(22回):「居場所ハウス」が主催する感謝祭、盆踊り、ひな祭りと、2014年10月からスタートした居場所キッズデー、被災者の支援として行われた交流イベントなど。
⑥ 音楽(14回):国内外のミュージシャンによるコンサートやライブなど。
⑦ 体操・セラピー(14回):手もみ、ヨガ、コミュニティダンスなど。
⑧ サークル・同好会(14回):カラオケ同好会、大正琴の会の練習、2015年2月からスタートした歌声喫茶など。
⑨ 朝市(8回):2014年10月25日からスタートした「居場所ハウス」の朝市。
⑩ 講演会(5回):「居場所ハウス」がオープンした日に開催したシンポジウム、健康講演会など。
⑪ その他(23回)

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3ヶ月ごとに時期を区切ってみると、オープニングから現在までで活動の種類が変化していることがわかります。
オープン当初から現在まで「① 健康クラブ(健康教室)」「②会議」が一定数行なわれていることに変わりありません。上に書いたように「居場所健康クラブ」は毎週、「居場所ハウス」の定例会は毎月開かれています。
2014年になって回数が増えた活動は「③教室」「⑨朝市」です。「③教室」については、生け花教室が今でも定期的に行なわれていることに加えて、そば打ち、磯花寿司、パン作りなどの教室が行われました。
逆に、最近、回数が減った活動は「④懇親会・食事会」「⑥ 音楽」です。「⑥ 音楽」は、被災地支援として来てくださった方による演奏会やライブが行われていましたが、震災から時間が経過したこともあり、そのような機会が減ってきたことの現れかもしれません。「④懇親会・食事会」はオープン当初は多数行われていましたが、最近あまり行われなくなっています。ただし、現在は「おたすけ隊」(サポートセンター・おたすけで開催されている「おたすけクラブ」参加者有志)メンバーが毎週土曜日にボランティアで「居場所ハウス」の当番をしながら、一緒に昼食を食べており、団体利用・行事ではなく日常の運営の一環として食事会が行われるようになったという変化があります。

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(4)実施回数別の推移

「居場所ハウス」で開催されている団体利用・行事は、これまで一度だけ開催されたものと、複数回開催されたものがあります。
これまでに一度だけ開催されたものと、複数回開催されたものに二分すると、最近では約8割が複数回開催されている活動になってます。この中には「居場所ハウス」が主催する朝市、定例会、草月流生け花教室など毎月開催されているものや、毎週開催されている「居場所健康クラブ」(主催:サポートセンター・おたすけ)など定期的に継続されているもの、同級会の打合せのように定期的ではありませんが数回開催されたものなどがあります。

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以下は2015年3月に開催された団体利用・行事が、いつ頃からスタートしたのかを示したものです。

定例会(主催:居場所ハウス):2013年6月〜[継続]
居場所健康クラブ(主催:サポートセンター・おたすけ):2013年9月〜[継続]
移動こども図書館(主催:おはなしころりん):2013年11月〜[継続]
草月流生け花教室(主催:居場所ハウス):2014年6月〜[継続]
キッズデー(主催:デジタル公民館まっさき):2014年10月〜[継続]
朝市(主催:居場所ハウス):2014年10月〜[継続]
竹とんぼ定例会(主催:どこ竹):2014年10月〜[今までに2回実施]
ヨーガ・セラピー(主催:日本ヨーガ療法協会):2014年12月〜[継続]
歌声喫茶(主催:有志):2015年2月〜[継続]
やさしいパン作り教室(主催:居場所ハウス):2015年1月〜[2015年3月で終了]
オープン当初から継続されている活動もありますが、ヨーガ・セラピー、歌声喫茶のように比較的最近スタートした活動もあることがわかります。

最近では、一度だけ開催された団体利用・行事(単発の団体利用・行事)が減り、約8割が複数回開催されている団体利用・行事であるということは、「居場所ハウス」の活動が定着してきたことの現れだと考えてよいと思います。これは基本的にはよい傾向だと思いますが、「居場所ハウス」が多くの人にとって開かれた場所になるよう、これからも新たな活動が生まれるのを阻害しないように気をつける必要があります。

(更新:2015年月5日11)