『わたしの居場所、このまちの。:制度の外側と内側から見る第三の場所』(水曜社, 2021年)のご案内

三陸鉄道の車窓から見る復興の景色

2019年3月23日、岩手県沿岸部、大船渡市の盛駅と久慈駅が三陸鉄道リアス線により結ばれました。国内最長距離の第三セクター鉄道となり、盛駅・久慈駅間は163km。盛駅~久慈駅の直通列車でも、片道約4時間半の距離となります。

東日本大震災前、盛駅~釜石駅は三陸鉄道南リアス線、釜石駅~宮古駅はJR山田線、宮古駅~久慈駅は三陸鉄道北リアス線が運行していましたが、いずれの路線も被災。その後、鉄路での復旧が進められ、2019年3月23日にJR山田線が三陸鉄道に移管され、三陸鉄道リアス線が誕生したという経緯があります*1)。

大船渡市に住んでいながら、三陸鉄道の釜石以北には乗車したことがなかったため、先日、何度か途中下車しながら、終点の久慈駅まで足を伸ばしました。
岩手県の沿岸部はリアスの地形であり、三陸鉄道はいくつものトンネルを走行。そしてトンネルを抜け湾部に出ると、眼前に広がる海。本当に綺麗な景色だと思いました。

ただ、どうしても目に留まるのが沿岸部の防潮堤。大船渡市末崎町にも防潮堤がありますので、防潮堤自体は見慣れてはいるのですが、この防潮堤が湾部に延々と続くことを思うと、復興事業の規模の大きさを感じずに入られません。
防潮堤が既に完成しているところもありましたが、まだ建設中のところも多いのが印象に残っています。防潮堤建設の是非はともかく、防潮堤の建設工事もまだしばらく続きそうです。また、防潮堤のすぐ内側もまだ未利用の土地が多く、この土地に暮らしの景色が戻ってくるにはさらに時間がかかると思われます。

宮古駅と久慈駅の間にある田野畑駅(下閉伊郡田野畑村)の近く、平井賀川にかかる水門(上部の機械室)は三陸鉄道の車両を模したデザインとなっていました。三陸鉄道の車両を模したデザインの水門は、東日本大震災前からあったようで、現在、水門の周りに新たな防潮堤が建設されていました。

三陸鉄道の車両を模したデザインが採用されていることには、三陸鉄道がこの地域のシンボル的な存在になっていることの現れかもしれません。


*1)Wikipediaの「三陸鉄道」のページより。