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アメリカ・ワシントンDCの新型コロナウイルス感染症の検査体制(2020年9月)

※ワシントンDCの新型コロナウイルス感染症への対応はこちら、検査体制の状況はこちらで紹介しています。


アメリカの首都ワシントンDC(人口約70万人)では2020年3月7日に初めての新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染者が見つかりました。その後、1日の感染者数は300人を超えた日もありますが、6月末になると30~40人の間を推移するまでに減少しました。その後、やや増加しており、1日に約100人という日も出てきています。一方、1日の死亡者数は、4月末から5月上旬にかけて20人近い日もありましたが、その後は減少し、8月末になると0〜2人になっています。

こうした状況の変化に伴い、3月30日に発令された外出禁止令(自宅待機命令:Stay-at-Home Order)は、5月29日に解除されるなど、社会を再開する動きが少しずつ進められています*1)。
それと同時に、検査体制が拡充されていることは見落としてはなりません。これは、検査を受けるのが今でも難しい日本とは大きく異なる点です。


*1)ワシントンDCにおける新型コロナウイルス感染症への対応はこちらを参照。

検査体制の拡充

ワシントンDCではドライブスルー、及び、消防署を含めたウォークアップ(徒歩)の検査場がもうけられています。当初は予約が必要でしたが、その後、検査場によっては予約が不要とされています。
検査体制は徐々に拡充されており、記事執筆時点(2020年9月2日時点)では新型コロナウイルス感染症の症状がある住民、新型コロナウイルスに暴露した人は、医師の診断書が不要で、無料の検査を受けることが可能な状態となっています。また、全てのウォークアップ(徒歩)検査場では事前予約も不要とされていますが、事前にオンラインでプロファイルを入力しておくと、時間の節約になるとされています。

「DCの6歳以上の住民で、新型コロナウイルス感染症の症状(発熱、咳、喉の痛み、息切れや呼吸困難、うっ血、体の痛み、悪寒、鼻水)がある人、または、新型コロナウイルスへの暴露がわかった人は新型コロナウイルス感染症の検査を受ける必要があります。ウォーク・イン(徒歩)の検査場では、医師の診断書は必要ありません。・・・・・・

列に並ぶ時間を節約する
DCのウォークアップ(徒歩)の検査場では、医師の診断書や予約は必要ありません。しかし、列に並ぶ時間を節約するために、まず「coronavirus.dc.gov/register」にアクセスし、スマートフォン、タブレット、コンピューターからプロファイルを作成してください。」
※DC政府の「District of Columbia COVID-19 Testing Sites」のページに記載の内容を翻訳。

検査数は、5月上旬には1,000件を超える日が、6月中旬には2,000件を超える日が、7月上旬には3,000件を超える日が、7月下旬には5,000件を超える日が連続して見られるようになるなど、一貫して増加してきました。8月13日には1日の検査数が6,656人となっています。上に書いた通り、ワシントンDCの人口は約600万人であるため、日本に比べると人口あたりの検査数が非常に多いことがわかります。
陽性率は外出禁止令(自宅待機命令:Stay-at-Home Order)が発令されていた期間は大きかったですが、最近では数%を推移しています。

検査体制の拡充の流れ

  • 4月23日から、University of the District of Columbia Community College(UDC-CC)のBertie Backus Campusに新たな検査場を開設。ウォークアップ(徒歩)およびドライブスルーが可能。検査には予約が必要なため、事前にホットラインに電話すること(4月22日の記者会見)。
  • 検査基準・優先グループを拡大し、新型コロナウイルス感染症に感染した経歴を持ち、かつ、リスクが高いグループに属している無症状の一部の個人に検査の優先順位を付けることを許可する(4月22日の記者会見)。
  • 検査の優先基準を拡大し、陽性が確認された患者と接触歴のある無症状の重要インフラ労働者を含めることを発表。これには、食料品店の従業員、基幹的な政府職員、その他DCにおいて継続して職場に出勤している労働者が含まれる(4月28日の記者会見)。
  • 今週(5月5日)からハワード大学病院(Howard University Hospital)に新たな検査場を開設。新たな検査場を開設。検査には電話予約が必要(5月4日の記者会見)。
  • 新型コロナウイルス感染症への曝露率調査のため、抗体検査を実施する。調査は医療従事者、第一線従事者、エッセンシャルワーカー、集合施設に住む個人などを含む、曝露のリスクが高い個人に焦点をあてて実施される(5月11日の記者会見)。
  • 6月1日から、新たなウォークアップ(徒歩)の検査場(Judiciary Square)を開設。検査は無料で事前予約不要(5月29日の記者会見)。
  • 新たに市内の消防署にウォークアップ(徒歩)の検査場を開設。検査は無料(6月5日の記者会見)
  • 検査を受ける必要がある人は全員受けるようにすること。ウォークアップ検査場は無料かつ予約不要で検査を受けることが可能。検査が必要な人は、[1]新型コロナウイルス感染症の症状がある人、[2]陽性患者と濃厚接触がある人(接触から3~5日後に受検すること)、[3]フェーズ1にて再開された活動または憲法修正第一条の活動(抗議活動等)に参加した人で発症があるか、陽性患者と接触した可能性があり心配な人(3~5日後)(6月10日の記者会見)。
  • 6月15日から、消防署における検査、及び、子ども(6才以上)を対象とした検査場が拡大。また、ネイビー・ヤードのカナルパークにおいて、試験的な抗体検査(無料)が開始(6月15日の記者会見)。
  • 7月14日から抗体検査場を1つ追加して、計3会場で行う。全て予約が必要(7月13日の記者会見)。

※在アメリカ合衆国日本国大使館「領事メール」より。ただし、表現を改めている部分がある。

このようにワシントンDCでは症状があったり、新型コロナウイルスに暴露した可能性があったりと、少しでも不安があれば、医師を経由することなく検査を受けることができる状態になっています。こうした状態は、日本とは大きく異なります。

ワシントンDCの検査場

DC政府の「District of Columbia COVID-19 Testing Sites」のページには、記事執筆時点(2020年9月2日)で次の検査場が掲載されています。

  • ①無料の公共検査場(Free Public Testing Sites):3カ所
  • ②検査を行なっているDCの消防署(Testing at DC Firehouses):8カ所
  • ③他の提供者による検査場:14カ所

それぞれの検査場の詳細は以下の通りですが、毎日、どこかで医師の診断書も予約も不要の検査を受ける体制が整っていることがわかります。

なお、DC政府が開設する検査場としては、①②に加えて、非営利法人COREとの連携による仮設の検査場(CORE pop-up sites)があることも記載されています。

①無料の公共検査場(Free Public Testing Sites)

  • Anacostia
    ・ウォークアップ(徒歩):月・水・金曜の8時〜12時
    ・ドライブスルー:月・水・金曜の8時〜12時
  • UDC-CC Bertie Backus Campus
    ・ウォークアップ(徒歩):火・木曜の8時〜12時
    ・ドライブスルー:火・木曜の8時〜12時
  • Judiciary Square
    ・ウォークアップ(徒歩):月〜金曜の8時〜12時

UDC-CC Bertie Backus Campusは4月23に開設、Judiciary Squareは6月1日開設と、無料の公共検査場は徐々に開設されています。いずれの検査場も予約は不要ですが、列に並ぶ時間を節約するために「coronavirus.dc.gov/register」にアクセスして事前登録することが推奨されています。

②検査を行なっているDCの消防署(Testing at DC Firehouses)

  • FEMS Engine 4
    ・ウォークアップ(徒歩):月・火・水曜の16時〜20時
  • FEMS Engine 11
    ・ウォークアップ(徒歩):月・火・水曜の16時〜20時
  • FEMS Engine 24
    ・ウォークアップ(徒歩):月・火・水曜の16時〜20時
  • FEMS Engine 31
    ・ウォークアップ(徒歩):月・火・水曜の16時〜20時
  • FEMS Engine 8
    ・ウォークアップ(徒歩):火・金曜の16時〜20時、土曜の12時〜16時
  • FEMS Engine 10
    ・ウォークアップ(徒歩):木・金曜の16時〜20時、土曜の12時〜16時
  • FEMS Engine 30
    ・ウォークアップ(徒歩):木・金曜の16時〜20時、土曜の12時〜16時
  • FEMS Engine 33
    ・ウォークアップ(徒歩):木・金曜の16時〜20時、土曜の12時〜16時

消防署での検査は6月上旬から始まりました。いずれの検査場も予約は不要ですが、列に並ぶ時間を節約するために「coronavirus.dc.gov/register」にアクセスして事前登録することが推奨されています。

③他の提供者による検査場:14カ所

  • GW University Medical System ◇
  • All Care Family Medicine & Urgent Care ◇
  • Mary’s Center ◇
  • Unity Health Care ◇
  • Whitman-Walker Health
  • Medstar Health ◆
  • Sibley Memorial Hospital
  • Howard University Hospital
  • Bread for the City
  • Elaine Ellis Center of Health
  • Walgreens (1401 Rhode Island Ave., NE)
  • District Urgent Care (4903 Georgia Avenue, NW)

□Additional Member Testing Sites

  • One Medical ◆
  • Kaiser Permanente ◆

ウェブサイトには、いずれの供給者も予約先の電話番号、または、ウェブサイトが掲載されています。
◇をつけた4ヶ所は4月13日時点で公共検査場(Public Testing Sites)として、◆をつけた3ヶ所は4月13日時点でメンバー限定の検査場(Member Specific Testing Sites)として既に開設されるなど、早い段階で開設されています*2)。


DC政府の「District of Columbia COVID-19 Testing Sites」のページには、次のように自身の医療供給者(health care provider)を通して検査を受けることが奨励されています。

「DCのウォークアップやドライブスルーを含め、DCには多くの無料検査場がありますが、自身の医療供給者(health care provider)を通して検査を受けることを奨励します。なぜなら、検査結果が戻ってきた時には、患者は既にヘルスケア(health care)につながっているからです。しかし、新型コロナウイルス感染症の検査を必要とする人がいて、その人の医療供給者(health care provider)が検査を提供できない場合は、DCのウォークアップかドライブスルーのいずれかの検査場に来場するべきです。」
※DC政府の「District of Columbia COVID-19 Testing Sites」のページに記載の内容を翻訳。

(更新:2020年10月2日)