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アメリカ・メリーランド州の新型コロナウイルス感染症の検査体制(2020年9月)

※メリーランド州の新型コロナウイルス感染症への対応はこちら、検査体制の状況はこちらで紹介しています


アメリカ東海岸のメリーランド州(人口約600万人)では2020年3月5日に初めての新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染者が見つかりました。その後、新規感染者数は4〜5月にかけて1,800人に近かった日もありますが、6月末になると300~500人の間を推移するまでに減少しました。しかし、7月に入ると増加し始めましたが、8月に入ると減少し、8月末には500〜600人を推移するまでに減少しています。これに対して1日の死亡者数は4月は多かったものの、その後は減少し、6月末以降は20人以下となっており、少ない日は数人という日も出てきています。

こうした状況の変化に伴い、3月30日に発令された外出禁止令(自宅待機命令:Stay-at-Home Order)は、約1ヶ月半が経過した5月15日の17時に解除され、自宅待機に関する勧告(Safer-at-Home Public Health Advisory)に移行。復興プラン『メリーランド・ストロング:復興のためのロードマップ』(Maryland Strong: Roadmap to Recovery)に示されたステージ1が開始されました。そして、6月5日の17時からステージ2が開始されました*1)。
このように社会を再開する動きが少しずつ再開されていますが、同時に検査体制が拡充されていることは見落としてはなりません。これは、検査を受けるのが今でも難しい日本とは大きく異なる点です。


*1)メリーランド州における新型コロナウイルス感染症への対応はこちらを参照。

検査体制の拡充

メリーランド州では3月17日という早い段階で、州内の全ての車両排気ガス検査場(VEIP=Vehicle Emissions Inspection Program)を活用して、ドライブスルー方式の検査場を設置することが発表されています。
当初、検査のためには医師の検査指示書(order)と予約が必要とされていましたが、5月22日からは複数の検査場で医師の検査指示書や予約なしでの検査が可能となり、これにより新型コロナウイルス感染症に暴露した可能性がある人でも検査を受けることができるようになっています。
5月22日からは薬局・コンビニエンスストアのチェーンであるCVSでも医師の検査指示書が不要のドライブスルー検査を受けることができるようになっています。

1日の検査数は、4月末になると5,000件を超える日が、5月末になると1万件を超える日が、7月中旬になると2万件を超える日が連続して見られるようになるなど、一貫して増加してきました。8月8日には1日の検査数が4万件を超えています。上に書いた通り、メリーランド州の人口は約600万人であるため、日本に比べると人口あたりの検査数が非常に多いことがわかります。
陽性率は外出禁止令(自宅待機命令:Stay-at-Home Order)が発令されていた期間は大きかったですが、最近では2〜4%ほどを推移しています。

検査体制の拡充の流れ

  • 州内全ての車両排気ガス検査場(VEIP)を閉鎖し、ドライブスルー方式の検査センターの設置を発表(3月17日)。
  • オーウィングス・ミルズ (Owings Mills)、プリンス・フレデリック (Prince Frederick)の車両排気ガス検査場(VEIP)に、新たなドライブスルー検査場を開設することを発表。これにより州内の同種の検査場は7か所となる(4月27日)。
  • 州西部ヘイガーズタウン(Hagerstown)の車両排気ガス検査場(VEIP)に新しいドライブスルー検査場を開設することを発表(5月4日)。
  • ウェストミンスターのキャロル郡農業センター(Carroll County Agriculture Center)にドライブスルー検査場を新設することを発表。これにより州内の同種の検査場は9か所になる(5月13日)。
  • プリンスジョージズ郡クリントン(Clinton)とハイアッツビル(Hyattsville)の車両排気ガス検査場(VEIP)に、新たな検査場を開設することを発表(5月19日)。
  • 今後、新型コロナウイルスに暴露した可能性があるが、症状が出ておらず、医師からの検査指示書がない人でも、州内の4カ所の検査場で予約無しのドライブスルー検査を受けることが可能になることが発表される(5月22日~)。検査料は保険でカバーされる(5月19日)。
  • CVS17店舗(ドライブスルー窓口)で、CDC(アメリカ疾病予防管理センター)が定める要件及び年齢に関するガイドラインを満たす人を対象に、ドライブスルー検査の受付が開始。検査希望者は事前にCVSのウェブサイトで予約が必要。医師からの検査指示書は不要(5月22日)。
  • プリンスジョージズ郡アッパー・マルボロ(Upper Malboro)にあるテーマパーク「シックス・フラッグス・アメリカ(Six Flags America)」に事前予約や医師の診断なしで受検できる新たなドライブスルー検査場を設置することを発表。既に発表されているプリンスジョージズ郡クリントン車両排気ガス検査場のドライブスルー検査場も5月28日から稼働予定であり、州内のドライブスルー検査場はこれで11カ所になる(5月27日)。
  • ドライブスルー検査を行う州内のCVSが30店舗に拡大(5月28日)。

※在アメリカ合衆国日本国大使館「領事メール」より。ただし、表現を改めている部分がある。

メリーランド州の検査場

メリーランド州の「新型コロナウイルス感染症の検査」(COVID-19 Testing in Maryland)のページには、主要な検査場の一覧が掲載されています。

一覧には全ての検査場が掲載されているわけではないと但し書きが付けられていますが、記事執筆時点(2020年9月1日更新の情報)で217ヶ所の検査場が掲載されています。このうち、車両排気ガス検査場(VEIP)を活用したドライブスルー検査場が7ヶ所、薬局・コンビニエンスストアのチェーンであるCVSが63ヶ所となっています。
2020年5月22日時点で掲載されていたのは80ヶ所であったため、5月末から6月末にかけて検査場数が一挙に増えていることもわかります。

また、記事執筆時点(2020年9月1日更新の情報)の217ヶ所の検査場の種類は、州7ヶ所、地方保健局(Local Health Department)23ヶ所、プライベート179ヶ所、未分類3ヶ所となっています。

メリーランド州の「新型コロナウイルス感染症の検査」(COVID-19 Testing in Maryland)のページからは、最寄りの検査場を検索することもできるようになっています。

(更新:2020年10月1日)