『わたしの居場所、このまちの。:制度の外側と内側から見る第三の場所』(水曜社, 2021年)のご案内

岩手県大船渡市の気仙大工の土鈴

先日、大阪府の千里ニュータウンで「ディスカバー千里」(千里ニュータウン研究・情報センター)の活動をご一緒しているSさんが、岩手県大船渡市の方が造られた土鈴(どれい)を見せてくださいました。

土鈴の作者は、岩手県大船渡市盛町で「小さな土鈴館」を開いていた方。大船渡市を含む岩手県沿岸南部で有名な気仙大工にちなんで、墨壺の形をしています。大きさは、長さが約12cm、幅が約5cm、高さが約5cmの大きさ。

「気仙(けせん)大工
岩手県沿岸南部に位置する当地方は、気仙地方と呼ばれ、「気仙大工」で知られているところでもあります。
「気仙大工」は気仙地方の大工の集団です。
その足跡は江戸時代にまでさかのぼり、農民が生活を支えるために建築関係の仕事に従事し、次第に独自の技術集団が形成されました。
家大工でありながら神社・仏閣の建築にも手がけ、さらには建具や彫刻までもこなす技量を持ち合わせ、その技術力は全国的にも高く評価されています。
※昔、大工たちは仕事休みの日に自分好みの『墨壷』を彫り、棟梁はその彫りを見て職人を雇ったといいます。」
※気仙大工の土鈴の説明書きより。

土鈴とは粘土を焼成して作られた土製の鈴で、かつては祭祀に使われており、縄文時代の遺跡から見つかることもあるということです。『スーパー大辞林3.0』(三省堂, 2008年)では「土製の鈴。郷土玩具に多い。」と説明されているように、現在は郷土玩具として各地に残されています。

千里ニュータウンのSさんは「神戸土鈴友の会」の会員で、各地の土鈴を収集されてきた方。最近では収集した土鈴を博物館などに寄贈する活動もされています。そして、大船渡市で「小さな土鈴館」を開いておられた方も同じく「神戸土鈴友の会」の会員でした。これまで活動していた千里ニュータウンと岩手県大船渡には土鈴を介したつながりもありました。
なお、「神戸土鈴友の会」は1985年6月に発足した集まりで、「土鈴愛好家の交流と親睦を図り、土鈴に対する研究の発展に寄与すること」を目的として活動。2022年には35周年記念大会が開催されています*1)。


■注