『わたしの居場所、このまちの。:制度の外側と内側から見る第三の場所』(水曜社, 2021年)のご案内

BRT大船渡線の柔軟性

岩手県の盛駅(大船渡市)と一関駅間は、かつて、JR大船渡線が運行していました。しかし、東日本大震災の被災により、盛駅と気仙沼駅(宮城県)の間はBRT(Bus Rapid Transit:バス高速輸送システム)として復旧されました。

(BRT大船渡線)

BRT大船渡線の一部区間は、かつて鉄道の線路だった部分がBRTの専用道とされていることもあり、通常の路線バスのように渋滞に巻き込まれず、定刻通りに運行できるという利点があります。同時に、走行している車両は一般道を走行できるバスであるため、専用道にトラブルが発生した場合には一般道を迂回できるという利点もあります。

このような特徴を持つBRTについて、以前、柔軟性のある公共交通機関であると書いたことがありましたが、最近、改めてこのことを感じる出来事がありました。

2023年8月2日から、専用道の緊急点検のため、大船渡市の地ノ森駅と陸前高田市の脇ノ沢駅の間の区間、一般道を迂回しています。

大船渡駅から碁石海岸口駅まで乗車することがあったのですが、大船渡駅は、すぐ脇の駅前のロータリーが臨時乗降所とされていました。

(大船渡駅前のロータリーの臨時乗降所)

碁石海岸口駅は、駅から歩いて5分ほどの所にある岩手県交通の「たいら」バス停が臨時乗降所とされていました。

(「たいら」バス停に停車するBRT)

もし鉄道であれば、線路の点検中は運行できないことになります。しかし、BRTの車両は一般道も走行できるために、専用道が点検中も、やや遠回りになりますが運行を継続できる。これは、BRTの柔軟性です。

元々、「たいら」バス停にはベンチがなかったのですが、個人が寄付した木製のベンチが置かれているのを見かけました。公共交通機関が地域の人に大切にされていることを感じたと同時に、座れる場所があることの有り難さを感じた出来事でした。

(「たいら」バス停に寄贈されたベンチ)