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千里ニュータウンの公団団地/UR団地(C棟)一覧

近年、千里ニュータウンでは再開発により民間の分譲マンションが建設されつつありますが、当初、千里ニュータウンの団地は、府公社団地(A棟)、府営住宅(B棟)、公団団地/UR団地(C棟)、社宅(D棟)の4つに分けられていました。この記事では公団団地/UR団地(C棟)について、特に再開発前の様子をご紹介します。

千里ニュータウンにはかつて公団/URの賃貸住宅と分譲住宅、あわせて12団地がありました。このうち、賃貸の千里高野台団地、分譲の3団地は建替えられたため、現在、千里ニュータウンにあるUR団地は8団地で、いずれも賃貸住宅となっています。
8団地は、1964年から1971年の間に完成しており、完成時期は概ね住区の入居が始まった順番に一致します。初期に完成した団地は鉄筋コンクリート造(RC造)5階建のものが多く、後期になると高層の住棟が建設される傾向が見られます。

住区公団住宅/UR(C棟)建設年度戸数→変更
佐竹台(C)×
高野台(B)千里高野台団地1968218→(建替)千里グリーンヒルズ高野台
古江台(H)×
津雲台(A)千里津雲台団地19641100
藤白台(G)×
青山台(F)千里青山台団地19651846
新千里北町(I)新千里北町団地1966730
新千里北町(I)新千里北町第二団地【分譲】1967280→(建替)ジオ千里中央
新千里北町(I)新千里北町第三団地【分譲】1967162→(建替)パークハウス千里中央
新千里東町(J)新千里東町団地19701522→(一部建替)千里グリーンヒルズ東町
桃山台(D)千里桃山台団地1969228
桃山台(D)千里桃山台第二団地【分譲】1969380→(建替)グランファースト千里桃山台
桃山台(D)千里桃山市街地住宅1971142→(名称変更)千里桃山団地
竹見台(E)千里竹見台団地19672796→(一部建替)千里グリーンヒルズ竹見台
新千里西町(K)新千里西町団地1967534
新千里南町(L)×
  • 千里ニュータウン開発時に建設された公団団地/UR団地。
  • 表では入居が始まった順に住区を並べている。
  • ( )内のアルファベットは計画時に用いられていた住区の記号を表す。
  • 【分譲】の記載がないものは賃貸住宅。
  • 建設年度と戸数は、千里ニュータウン再生プラン研究会編『千里ニュータウン住宅地再生に向けた提言』(豊中市政研究所 2002年6月)に掲載の「参考資料2 千里ニュータウンにおける公的賃貸住宅の概要」、「参考資料3 千里ニュータウンにおける公的分譲住宅の概要」より。

千里ニュータウンの2017年時点の総住戸数は47,378戸。このうち、約19%にあたる9,116戸がURの賃貸住宅となっています(詳細はこちらをご覧ください)。

千里津雲台団地

  • 住区:津雲台
  • 建設年度:1964年
  • 構造:鉄筋コンクリート造5階建
  • 住棟数:48棟
  • 管理サービス事務所・集会所:C33棟
  • 住戸数:1,100戸
  • 間取り:1LDK・2DK・2LDK・3K・3DK・3LDK・4K・4DK

千里ニュータウンで最初に完成した公団住宅。津雲台近隣センターの西、千里南公園の北に位置しています。
住棟配置は平行配置が基本とされていますが、「北入り」「南入り」の住棟をペアにして配置することで(NSペアによる配置)隣接する住棟の人々の接触の機会を生み出す、正方形の平面を持つポイント型住棟(ボックス型住棟)を配置することで視線の広がりを確保する、団地内の歩道を真っ直ぐにしないことで景観の変化を生み出すなどの工夫がなされています。

『千里ニュータウンの建設』(大阪府 1970年)では千里津雲台団地と、次に紹介する千里青山台団地の初期の2団地が次のように紹介されています。

「この二団地の配置設計は、千里ニュータウンにおける企業局の基本計画の一つの特色ともいえる歩行者と車の動線分離すなわち人も車も常に安心して動くことができるという考え方を十分生かしたものである。とくに歩行者のために子供の遊び場、主婦のたまり場を付随して設け、全体として緑の多い緑道として設計されており、居住者の社会生活での中心の一部をなすよう構成されている。人々は車の危険にさらされることなく、安全に楽しくショッピングや集会所へ足を運ぶことができる。」
*大阪府編『千里ニュータウンの建設』大阪府 1970年

団地の集会所にはかつて入居者名簿が掲示されており、今でもその名残を見ることができます。団地集会所前にはキッチン用、トイレ用のボンテン(ラバーカップ)が置かれています。

千里青山台団地

  • 住区:青山台
  • 建設年度:1965年
  • 構造:鉄筋コンクリート造4・5・11階建
  • 住棟数:74棟
  • 管理サービス事務所・集会所:C42棟
  • 住戸数:1,846戸
  • 間取り:1DK・1LDK・2DK・2LDK・3K・3DK・4K・4DK

千里ニュータウンの初期の公団住宅の1つ。阪急千里線・北千里駅の北西に位置し、緩やかな丘陵地に住棟が建ち並んでいます。住棟配置は平行配置が基本ですが正方形の平面を持つポイント型住棟(ボックス型住棟)、1階部分がピロティになった住棟と多様なタイプの住棟が配置。住棟間がゆったりとられており、植えられた木々も大きく育っています。

『千里ニュータウンの建設』(大阪府 1970年)には青山台団地の特徴が次のように紹介されています。

「とくに青山台団地では、丘陵地であるため、敷地の高低処理に新しい試みを行なっている。これまでは高低の多い敷地ではヒナ壇式の造成をしてきているが、ここでは、全体をスロープ構成とし、そのスロープに合わせてボックス型の建物群を配置し、また建物の一部にピロティを採用し、屋外スペースと関連させて有効に利用している。これら屋外での生活をより楽しくするための公団独特の団地構成である。」
*大阪府編『千里ニュータウンの建設』大阪府 1970年

阪急千里線・北千里駅のすぐ北側にある11階建の高層住棟は、駅前のランドマークになっています。

近年、UR千里青山台団地では建築家・伊東豊雄氏と「ITO x UR みんなの庭プロジェクト」が行われています。

新千里北町団地

  • 住区:新千里北町
  • 建設年度:1966年
  • 構造:鉄筋コンクリート造5階建
  • 住棟数:27棟
  • 管理サービス事務所・集会所:C24棟
  • 住戸数:730戸
  • 間取り:2DK・2LDK・3K・3DK・3LDK・4K・4DK

千里中央の北側にある公団住宅。住宅の量産を目的としてメタルフォーム工法が取り入れられた団地であり、「工法の経済性追求の主旨からとくに配置上は平行配置を主体」(『千里ニュータウンの建設』(大阪府 1970年)より)とされています。

千里中央が再開発される前は、地球縄広場、立体駐車場の向こうに、新千里北町団地の住棟を眺めることができました。

新千里西町団地

  • 住区:新千里西町
  • 建設年度:1967年
  • 構造:鉄筋コンクリート造5階建
  • 住棟数:24棟
  • 管理サービス事務所・集会所:C20棟
  • 住戸数:534戸
  • 間取り:1LDK・2DK・2LDK・3K・3DK・3LDK・4K

千里中央の北側にあり、新御堂筋の向こうには新千里北町団地があります。上に書いた通り団地の住棟配置について、千里ニュータウンでは府営住宅が囲み型配置を採用したのに対して、公団住宅では平行配置が採用されました。ただし、公団住宅でも後期になると囲み型配置が採用されるようになるます。この新千里西町団地は、囲み型配置を採用する「準備段階として試作的に、この中間形式の東西軸住棟を使用した準囲み型式の団地」(『千里ニュータウンの建設』(大阪府 1970年)より)とされています。

メインのアプローチの正面のピロティ型の住棟、正方形の平面を持つポイント型住棟(ボックス型住棟)と、団地の景観を単調なものにしないため多様なタイプの住棟が配置。平行配置になっている部分には「北入り」「南入り」の住棟をペアにして配置(NSペア)されている住棟があるなど、様々な工夫がされています。

現在、各地の団地で「MUJI×UR 団地リノベーションプロジェクト」が進められていますが、新千里西町団地は千里ニュータウンで最初に「MUJI×UR団地リノベーションプロジェクト」が行われた公団住宅です。

千里竹見台団地

  • 住区:竹見台
  • 建設年度:1967年
  • 構造:鉄筋及び鉄骨鉄筋コンクリート造4・5・11・14階建
  • 住棟数:43棟
  • 管理サービス事務所・集会所:C27棟脇
  • 住戸数:2,796戸
  • 間取り:1DK・1LDK・2DK・2LDK・3K・3DK・3LDK

千里ニュータウンで後期に開発された公団住宅の1つ。阪急千里線・南千里駅の北西に建つ3棟の高層のスターハウスは、千里ニュータウンを代表する景観の1つ。この他、正方形の平面をした住棟、3階おきにエレベーターが止まる3層スキップ型の住棟など様々なタイプの住棟が見られます。

上で紹介したように、千里ニュータウンにおける団地では、府営住宅が囲み型配置を、公団住宅が平行配置を基本としていますが、千里竹見台団地では一部に囲み型配置が採用されています。

大阪万博の際、千里竹見台団地は新千里東町団地とともに、世界各国のコンパニオンの住まいとして利用されていたという歴史があります。
現在、3棟の高層スターハウスのうち2棟、及び、囲み型配置の住棟の4棟、あわせて6棟の建替が進められています。

千里桃山台団地

  • 住区:桃山台
  • 建設年度:1969年
  • 構造:鉄骨鉄筋コンクリート造12階建
  • 住棟数:1棟
  • 住戸数:228戸
  • 間取り:1LDK・2DK

千里竹見台団地のすぐ南に位置しており、鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)12階建の住棟1棟のみの団地となっています。

新千里東町団地

  • 住区:新千里東町
  • 建設年度:1970年
  • 構造:鉄筋コンクリート造及びPC造5・11階建
  • 住棟数:31棟
  • 管理サービス事務所・集会所:C31棟
  • 住戸数:1,522戸
  • 間取り:1DK・2DK・2LDK・3DK

千里ニュータウンで後期に開発された公団住宅の1つで、囲み型配置が採用。住棟を中庭を作るように配置することで、緩やかな囲みが実現されています。中庭のプレイロット(幼児遊園)に面した住棟壁面には小鳥、コアラ、キツツキ、ロケットなどの壁画が描かれています。

新千里東町団地には高層棟、中廊下型棟、階段室型棟という3タイプの住棟が組み合わせて配置されている、住棟を通り抜けできるように高層棟と中廊下型棟の1階がピロティになっている、階段室型住棟の中には両側から階段室にアクセスできるようになっている、など多様な工夫がなされています。

大阪万博の際、新千里東町団地の中層棟は千里竹見台団地とともに、世界各国のコンパニオンの住まいとして利用されていました。
2018年5月15日(火)、NPO法人・いきいきライフ協会が運営する「街かどデイハウス千里」(街デイ千里)がC21棟の101号室にオープンしました。
現在、新千里東町団地の4棟の高層棟は建替えが進められています。再開発前の新千里東町団地の様子はこちらもご覧ください。

千里桃山団地

  • 住区:桃山台
  • 建設年度:1971年
  • 構造:鉄骨鉄筋コンクリート造14階建
  • 住棟数:1棟
  • 住戸数:142戸
  • 間取り:1LDK・2DK

北大阪急行・桃山台駅のすぐ上にある1棟だけからなる団地。以前は、千里桃山市街地住宅と呼ばれていました。

建替済みの公団住宅

千里高野台団地

  • 住区:高野台
  • 建設年度:1968年
  • 住戸数:218戸

南千里の千里高野台団地は現在、建替えが進められています。

新千里北町第二団地

  • 住区:新千里北町
  • 建設年度:1967年
  • 住戸数:280戸

新千里北町近隣センターの東にあった公団の分譲住宅。民間の分譲マンション・ジオ千里中央として建替え。団地内には動物型の遊具がありましたが、遊具はジオ千里中央の中庭に移設されています。

新千里北町第三団地

  • 住区:新千里北町
  • 建設年度:1967年
  • 住戸数:162戸

新千里北町団地の東にあった公団の分譲住宅。民間の分譲マンション・パークハウス千里中央として建替えられました。

千里桃山台第二団地

  • 住区:桃山台
  • 建設年度:1969年
  • 住戸数:380戸

千里桃山台団地のすぐ南にあった公団の分譲住宅。民間の分譲マンション・グランファースト千里桃山台として建替えられました。


  • 構造、間取りはUR都市機構「URの団地について」のページより。
  • 住棟数、サービス事務所・集会所はUR都市機構「UR賃貸住宅」のページに掲載の住棟配置図より。住棟数にはサービス事務所・集会所棟が含まれる場合がある。
  • 建設年度と戸数は、千里ニュータウン再生プラン研究会編『千里ニュータウン住宅地再生に向けた提言』(豊中市政研究所 2002年6月)に掲載の「参考資料2 千里ニュータウンにおける公的賃貸住宅の概要」、「参考資料3 千里ニュータウンにおける公的分譲住宅の概要」より。
  • 配置図で白抜きにしている建物は集会所等を表す。
  • 後に増築された住棟もあるが、配置図では増築は表現していない。

参考資料

  • 大阪府編『千里ニュータウンの建設』大阪府 1970年
  • 『2007 SENRI NEWTOWN』千里ニュータウン再生連絡協議会 2007年11月
  • 千里ニュータウン再生プラン研究会編『千里ニュータウン住宅地再生に向けた提言』豊中市政研究所 2002年6月
  • 豊中市市民協働部千里地域連携センター編『ぶらり千里:魅力発見ガイドブック』豊中市 2015年3月
  • 「千里 建て替え仕上げに 3団地取り壊し UR来年度から」・『日本経済新聞』2016年11月15日号
  • 『UR賃貸住宅ストック 個別団地類型(案)一覧』UR都市機構 2018年12月
  • UR都市機構「URの団地について」のページ
  • UR都市機構「UR賃貸住宅」のページ

(更新:2022年6月4日)