少し前にご紹介した通り、千里ニュータウンの「大きな本」プロジェクトがおおさかカンヴァスに選定されました。
「大きな本」は、まちびらき50年をむかえる千里ニュータウンの歴史と魅力を振り返り、共有し、そして、これからの千里ニュータウンの姿を考えるためのメディアを作るために提案したプロジェクトです。
現在、コンテンツとその見せ方、本の素材などを検討・制作中ですが、メンバーや関係者と議論していく中で、プロジェクトを提案するにいたった問題意識を再認し、プロジェクトでやりたいことがだんだんと明確になってきました。
今、「大きな本」で目指したいこととして、プロジェクトのメンバーで次のような話をしています。
目次
千里ニュータウンに興味をもつきっかけ「以上」の本
「大きな本」は、第一に千里ニュータウンにお住まいの方に見てもらいたい。実際にお住まいの方であるから、興味をもってもらうという以上のことをしたい。また、まちびらき50年事業がスタートし、新聞やテレビなど各種メディアに千里ニュータウンの名前が登場しており、千里ニュータウンに注目している方も多いと思われる。そのような方々に対しても、千里ニュータウンがまちびらき50年を迎えたという以上の情報を伝えたい。
豊中市エリアでも千里ニュータウンの歴史を振り返る
- 第1期:過去を知り、学ぶ期間→オープニングセレモニー(南千里)、タイムスリップ展(佐竹台)
- 第2期:今(現在)を楽しむ期間→千里50年まつり(千里中央)、千里ニュータウン・ウォーク(千里全域)
- 第3期:未来につなげる期間:千里キャンドルロード(南千里)、市民まちづくりフォーラム(千里中央)
という充実したイベントが行われる予定だが、日程・会場の都合上、過去の振り返りに関するイベントが吹田市エリアに集中してしまっている。まちびらき50年という節目の年は、千里ニュータウン全体として50年の歩みを振り返る必要がある。豊中エリアでも、今を楽しむ、未来につなげるだけでなく、歴史を振り返る機会をもうけたい。
過去をふまえ、将来の姿を思い描くために
千里ニュータウンは今年50年を迎えたが、自分たちが住んでいる街はどういう意図で計画され、どのような暮らしの蓄積があるのかが十分に継承、共有されずに建て替えが進んでいる。また、これからの千里をどのような街にしたいのか、街にどのような場所があればよいのかについて、住民が提案できる仕組みもない。そこで、昔の写真、計画図、オーラルヒストリーなど多様な資料を「大きな本」のコンテンツとして使いたい。街にどのような場所があればよいのかについて想像力を豊かにしてもらうため、全国、世界各国の事例紹介もしたい。
地域のことを参照するための身近なツール
昨年作った「大きな本」は今でも「ひがしまち街角広場」に設置しているが、1年経過した今でも新千里東町のことを参照するためのツールとして役立っており、ある場所にいつも常備されていることが重要だとわかる。凝った素材にするよりも、身近なツールとなるようなコンテンツを考えたい。
*写真は2012年9月15日(土)に「ひがしまち街角広場」で行われた東丘ダディーズクラブの定例会にて。
街の中に持ち出すことで、街の風景を変える
ある場所に「大きな本」を置くことで、いつも見慣れている風景に付加的な情報を与えたり、いつも見慣れている風景を違うふうに観る(風景を異化する)ためのものにしたい。このようなサイトスペシフィック(Site-specific)なものにするためにはある程度の冊数が必要になる。
「大きな本」が生み出す複層的な関わり
本を大きくすることで、書かれているものを一緒に読める、書かれているものを説明してくれる人の話を聞ける、個々人の思い出や感想を書き込んだり貼付けたりできる、他の人が書き込んだり貼付けたりした思い出や感想を読める、など様々な関わりを生み出すことができる。また、「「大きな本」を読んでいる人々」を眺める、という入れ子構造により、千里ニュータウンの風景を変えるという効果も大切。
今しかできないことがある
「大きな本」を持ち出す候補の場所の1つとして、府営・新千里東住宅の中庭を考えている。特徴的な囲みをもつ新千里東住宅は現在建て替えが進んでいるため、中庭に「大きな本」を置くことは今しかできない。
誰でも作れるものに
素材として透明のプラダンも検討したが、屋外で見ると裏が透けてしまい本っぽくなく、また、予算的にも厳しい。そこで、昨年同様段ボールで作ることにする。表紙などを工夫すれば昨年よりよいものが作れそう。「大きな本」は誰でも作れるものにしたいという思いもあり、この意味でも段ボールが相応しい。
「大きな本」は、2012年10月13日(土)〜21(日)に中之島で行われる「水都大阪フェス2012」会場でも展示予定です。
※何日間展示するかは現在調整中です。