『わたしの居場所、このまちの。:制度の外側と内側から見る第三の場所』(水曜社, 2021年)のご案内

「大きな本」によるワークショップ

2012年10月7日(日)に開催された「ひがしまち街角広場」の11周年記念パーティーでは「大きな本」を使って、大阪大学+千里グッズの会メンバーによる研究発表と「ひがしまち街角広場」についての意見交換のワークショップを行いました。

1冊は、昨年の「いにしえ街歩き東町昔遊びツアー」のために作成したもの。残りの2冊は、この日のために新たに作成したもので、大阪大学のみなさんがギリギリまでかかって作成してくださったものです。

新たな本の1冊目は、新千里東町の子どもの遊びについて。最近の子どもはどこで、どのように遊んでいるのかについて、東丘小学校に通う子どもたちを対象とする調査結果をまとめたものです。例えば、建替えによって誕生したマンション内の広場が遊びの人気スポットになっているのに対し、最近の子どもは昔からある団地の広場ではあまり遊ばない、東町公園の竹林や池の近くには行かない、校区外に遊びに行かない等の報告がありました。また、お父さん世代へのヒアリングをもとにした、昔の遊びについての紹介もありました。

もう1冊は「ひがしまち街角広場」についての本で、「街角広場の歩み」、「街角広場の仲間達」、「街角広場への声」というページ構成です。

「街角広場の歩み」。
これまでに、大阪大学や千里グッズの会のメンバーが撮りためてきた107枚の写真(一部、図や新聞記事)を時系列に沿ってレイアウトしたページで、「歩いて暮らせる街づくり事業」から、近隣センター北西角でのオープン、場所の移転、そして、最近の風景と、11年間の歩みがわかる内容となっています。

「街角広場の仲間達」。
これからの「ひがしまち街角広場」のあり方を考えていくための参考とするために作成したページで、佐竹台近隣センターの「さたけん家」、新千里西町近隣センターの「笹部書店」、OPH千里佐竹台の「佐竹台サロン」、千里ニュータウン以外の場所として、大阪府の府営住宅で行われている「ふれあいリビング」、多摩ニュータウンの「福祉亭」、アメリカ・グリーンベルトの「ニューディール・カフェ」を、写真と文章で紹介しています。

「街角広場への声」。
スタッフや来訪者から伺った話、アンケート調査に書かれた声を掲載したページ。左側のページは「いま〜街角広場の「いま」について思う事~」(「利用者の声」、「雰囲気・しつらえ」、「スタッフの声」、「新しいスタッフの獲得」)についての声を、付箋に見立てた水色のカラー用紙に、右側のページには「これから~街角広場の「これから」について思う事~」(「街角広場の継続・存続は?」、「新たなロケーションは?」、「これからやりたい事・してほしい事」)についての声をピンクのカラー用紙に印刷し貼付けています。

「大きな本」の内容を紹介した後、これからの「ひがしまち街角広場」のことを考えていくために、11周年記念パーティに来られていた方たちと意見交換を行いました。
常連の人以外には入りにくいという声に対しては、「最初は入りにくかったけど、一度、知ってる人がいたから入ったら、だんだんと知り合いができて、入れるようになった」という意見。また、「入りにくいと感じている人がいることを、常連の方にも知ってもらうことが大事」という意見。スタッフに対しては、「最初は入りにくいかもしれないけれど、入りづらそうにしてる人がいたら、スタッフが声をかける必要があると思う」という意見や、「スタッフは、ボランティアでされていて気の毒なので、お弁当代をもらっていただけるようにしたらいいと思う」という意見がありました。
また、既に新聞で発表されていますが、新千里東町の近隣センターが建替えられるという計画があります。建替えが行われるとすれば、その間、一時的に「ひがしまち街角広場」の運営を休止する必要があるのか、建替わった後、「ひがしまち街角広場」の運営場所を確保できるのか、という話となりました。

これからの「ひがしまち街角広場」をどうしていくかについては、この日議論しただけで結論が出るようなことではありませんが、「千里ニュータウンだけで考えるのではなく、外へ向けて、今抱えている課題も含めて情報を発信していき、他のところと情報交換をすることで、そこからいい知恵が生まれてくると思う」、「「ひがしまち街角広場」のスタッフだけが考える問題じゃなくて、スタッフも来訪者も一緒に地域を盛り立てていかなければならないし、今日がそのきっかけになればいいと思う」、「地域のことを考える主役は、地域に住んでいる我々だけど、大学生など若い人も応援してくれている」という意見もありました。

最後に、10月26日(金)と11月10日(土)に、おおさかカンヴァスの「大きな本」のツアーを行うことの案内、そして、この日「大きな本」を印刷・作成してくださった阪大のみなさんの紹介を行い、ワークショップを終えました。

3冊の「大きな本」は、引き続き「ひがしまち街角広場」で展示中です。ワークショップの後、早速、「ひがしまち街角広場」の運営について「飲み物代はスタッフに直接渡すより、前のように貯金箱に入れる方がよかった」という意見もいただきましたし、「ひがしまち街角広場」について思うことを自由に貼付けていってもらえたらと考えています。
この「大きな本」が、「ひがしまち街角広場」への声を集めるための道具として役に立って欲しい、というのが大阪大学+千里グッズの会メンバーの思いです。