2016年7月9日(土)〜13日(水)まで、Ibasho/Ibasho JapanのKさんらとともに、ネパールのマタティルタ(Matatirtha)村を訪問しました。前回からほぼ1ヶ月ぶりの訪問となります。
先月のワークショップでは、地域の方から村が抱える問題をあげてもらいました。あげられたのは以下のような様々な問題。
- あらゆる世代の失業、マレーシアやカタールなど海外への出稼ぎ、資金がないため新しいことを始めることができない、商品を販売する市場がない、仲介人にマージンを取られることなくどうやって商品を流通させるかなど、生業や経済に関する問題
- 教育の欠如、害虫駆除などの専門的知識の欠如、新しいスキルを身に付ける必要性など、教育や技術に関する問題
- アルコール依存、ジェンダーの問題、健康の重要性に対する意識の欠如など、暮らしに対する問題
- 仮設住宅に住んでいる人がいる、豊かなスキルがあるがそれをいかすことができないなど、高齢者に関する問題
こうした問題を解決するための様々な活動があげられましたが、ワークショップの最後にKさんは、来月の訪問までに、自分たちが取り組みたい活動を話し合って5つに決めて欲しいと伝えました。
このワークショップから1ヶ月が経過。今回の訪問の目的は、これから具体的にどのような活動を行っていくかを話し合うこと。
7月11日(月)、村の高齢者住宅(Matatirtha Oldage Home)で行ったワークショップには女性グループ(Mahila Samuha)のメンバー、地域の高齢者、高齢者住宅に入居する高齢者らの大人が約35人、前期中等教育の学校(Lower Secondary Schoolで11〜13歳の子どもが通学する)の子ども12人が参加。そして、現地でコーディネートを依頼しているソーシャル・ベンチャーBihaniの方。
ワークショップでは、最初に地域の方から取り組みたい活動をあげてもらいました。既に地域の方は取り組みたい活動を話し合って決めておられたようで、①鉢植え植物の栽培(Potted Plant)、②農園(Vegetable Farming)、④堆肥作り(Compost)、④ハンドクラフト(Handi Craft)の4つがすぐにあげられました。
参加された方には4つのグループに分かれてもらい、具体的にどのような活動していくかについて、絵を描いて説明して欲しいと伝えました。40分ほど話をしながら絵を描いてもらった後、グループごとに発表。
同時に、子どもたちには2つのグループに分かれてもらい、1つのグループの子どもには高齢者と一緒に活動したいこと、もう1つのグループの子どもには自分たちが高齢者に教えることができることについて、絵を描いてもらいました。高齢者と一緒に活動したいこととしては歌や遊びが、自分たちが高齢者に教えることができることとしては、英語やコンピューターなどがあげられました。
1日目のワークショップは2時間半ほどで終了。
ワークショップの後、高齢の男性が楽器(鍵盤がついた箱状の楽器、太鼓、鐘)で地元の曲を演奏。演奏の途中で、子ども、高齢者を含めて何人かが曲に合わせて踊ってくださいました。
実は、この日のワークショップのために、地域の方が鉢植えの植物を持って来られていました。自分たちが取り組みたい活動の見本として、持って来られたとのこと。
村の方は先月のワークショップを受けて、既に具体的な動きをしておられた。ささやかなことだと思われるかもしれませんが、これは自分たちで何か具体的な活動を始めようとする意識の表れだと感じました。そして、こうした自発的な動きはIbashoが大切にしていること。
こうした自発性がどうすれば生まれてくるのか? 簡単に答えることはできないと思いますが、マタティルタ村でのワークショップを見ていて感じたことは、自分たちにできる小さな活動に焦点をあてたからだと感じました。
6月のワークショップでは、村が抱える問題として様々なことがあげられました。その中で生業や経済に関する問題などは、自分たちには簡単に手が出せない大きな問題。そこでKさんは、まず自分たちにできる小さな活動から始めることが大切だと伝えました。
ここで大切なのは、自分たちにできる小さな活動も、生業や経済に関する大きな問題につながっていくということ。だからこそ重要になるのは、小さな活動をバラバラに行うのではなく、小さな活動を連携させながら、それを少しずつ積み重ねることによって、活動を進めていくという意識をこちらが持っておくこと、その意識を地域の方々と共有しておくことだと考えています。
(更新:2017年1月5日)